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【漫画単行本4巻発売中】神獣郷オンライン!〜『器用値極振り』で聖獣と共に『不殺』で優しい魅せプレイを『配信』します!〜  作者: 時雨オオカミ
『秩序の獣は月見て吠える』

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ドキッ♡上限なし・恐怖の赤スパ祭り!【二〜四人目】

 カランカランと軽やかな音とともにどんどんと人がやってくる。


 中にはリリィのお店では普段見かけないタイプの人もいて、少し面白い。

 告知を見たからか、以前会ったことのある人やイベント中に遭遇した人らも集まり、忙しくなってきた。


 くるくる働いて、たまに撮影と雑談をしての繰り返しである。ストッキンさんを師匠と仰ぐハイヒールフェチの人が出現したときには心の死を覚悟したが、無事切り抜けることができたので私はもうなにが来ても怖くないトランス状態にすらなっている。

 自分の作ったハイヒールを履いてもらって踏まれたい願望を持つ人に、ドン引きしながら私もユウマも犠牲になったことをここに報告します。ひじょうに冷たい目をしたままハイヒールを履いて彼を踏みつける写真を撮ったユウマは勇者だったし、あれを見て変な性癖に目覚めている人も一定数存在しているようだった。かわいそうに。普通にセクハラだったのでハイヒールの人は有志に詰め寄られていたけど、私はいっぱい報酬をもらったのでとりあえず今回のは許すことにした。撮れ高にはなるからね!! 


 それにしても、あの人も5万ゴールドくらい投げてきたんだよね……ハイヒールに金貨が溢れ出すように入れられて、というか金貨でハイヒールが埋められている宝箱差し出されたときはどうしようかと思った。受け取ったけど。


 それから、虹蛇の素材集めのときにあった河童みたいな人とも会った。みんなでキュウリをかじるとかいう不思議な撮影注文だったけど、こちらもキュウリのPRみたいな絵面で撮れて満足していただけた。


 この人はポンと5000ゴールドを置いていったけど、やっぱなんかみんな金額おかしくない? 


 リリィとのツーショットや、一緒に映る記念撮影。お金稼ぎがまだ上手くいっていないらしき子供っぽいプレイヤーからも500ゴールドとかで撮影をお願いされたりなんだりして快く引き受ける。


「はい、次のかたどうぞ〜」


 そうしていると、床に引きずるほどのローブを着ているショタがおずおずとあゆみ出てきた。ちょっと控えめな雰囲気とは裏腹に、隣に控えている聖獣がサソリの尻尾を持つライオンで、多分人喰い伝承のあるマンティコアだっていうことが結構なギャップだった。たてがみがもっふもふで、尻尾の先が当たらないようにくるりと彼の腰に巻きつけているのが微笑ましい。かなり怖い伝承のモチーフだとしても、この世界では可愛いパートナーだ。仲が良さそうでなによりである。


「お願いします」

「……! 分かりました。撮影はどのようにしますか?」

「もふもふに囲まれたくて……アカツキと、オボロと、ジンに囲まれたいんですけど……今日、いない子がいますよね?」

「ん〜、呼び出しと送還を利用して撮影をすることは可能です。アルターエゴに聞いて、クールタイムとか制限とかなしにそれが可能かどうかを確認してみますね!」


 びっくりした〜! ショタだと思っていたら女の子だった! いやでもボーイッシュ女子のアバターいいな……可愛い。

 彼女の注文に応えるべく、手短にアルターエゴを呼び出して聞いてみると、イベントバイト中でだけならいいよ! という許可を得た。

 そのため一時的にいない子を喚んで、ピンクのリボンをつけていざ撮影開始! ローブを脱いでノースリーブの、ザ・ショタ! みたいな格好になった彼女をマンティコアのパートナーさんと一緒に取り囲んだ三匹が思い思いのポーズを取って写真を撮る。

 撫で撫での許可も出したら、彼女はオボロの首に抱きつき、もっふもふの毛皮の中に埋もれて幸せそうにしていた。頭に遠慮なく飛び乗ったアカツキの羽毛の重みと、擦り寄っていったジン。そしてジェラシーしているマンティコアがぐるっと囲い込むように彼女を抱きしめているのが印象的だ。オボロも構われて嬉しいのか、尻尾が高速回転している。


「ありがとうございました」


 興奮気味に頬を赤くして一万ゴールドを手渡してくる彼女に写真を渡して、楽しげにマンティコアと会話しながらお店のパンを複数買ってから出て行くのを見送る。いい思い出になったのならなによりだ。


 それにしても、また万をもらってしまった……。

 もしかして、やっぱり上限を決めていないのはまずいのでは? そういう危機感が迫ってきているのを感じて、しかしいや気のせいだよなと目を逸らす。


 お客さんもいっぱい来ているし、考えている時間があるほど暇ではないっていうのも目を逸らしてしまう要因になっていた。


 女装状態で有名な魔法少女のポーズをさせられているユウマが、だんだんと目の光を失ってきていて指さして笑ってからかうのに忙しいっていうのもある。彼のお客さんはめちゃくちゃニッチな注文をしてくるのですごく楽しい。


「次の人どうぞ〜」

「はーい!」


 次にやってきたのは、店に入るサイズまで縮めたネッシーを連れている女の子。水色のショートカットの髪がネッシーの体の色とほぼ同じでお揃いみたいになっていて可愛い。にっこりと笑った赤い鮮やかな目でシズクに注目している様子で、なんとなく注文の察しがついた。


「うちの子とシズクちゃんとのツーショお願いします!」

「ご指名ありがとうございます〜! シズク、ツーショだって!」

「しゃう!」


 ネッシーの背中にシズクがよじ登って、背中から首元を這って通り、頭の上に。金色の小さなシズクを頭に乗せたネッシーはキラキラした瞳でシズクを頑張って見上げている。そんなネッシーに応えてか、シズクが頭の上から顔を出し、鼻先同士でちゅっとキスをした。は、鼻キスだ〜!? 


 サービス精神旺盛な彼女の対応により、ネッシーさんはぼわっと顔を赤くして目をまんまるくした。その瞬間を写真に撮って、彼女に渡すと「憧れの彼女にサービスしてもらえてよかったじゃん!」とネッシーを回収しにいく。キャパオーバーしたネッシーはエグすぎるファンサに沈んでいる。聖獣もあんなオタク仕草するんだな……という学びを得た。


「うちの子喜んでます! ありがとうございました!」

「はーい、こちらこそご指名ありがとうございました」


 1000ゴールドを受け取り、謎の安心感を得る。そうだよこれこれ。万を次々投げてくる人は受け取る側の心労も考えてくれ。これくらいが安心する〜! 


 と、思っていたら次の人で私は沈むことになるんだよね。知ってる。フラグになりそうだから先に言っておこう。


 次の人を案内していると、先ほどまで店内でイノシシの聖獣と食事をしていたセーラー服姿の女の子がこちらに来る。腰まである青い髪が青白のセーラーと合っていて、学生っぽさより港にいそうな雰囲気が強い。


「わたしもいいですか?」

「はい!」

「えっと、それじゃあケイカさんとリリィさん二人のツーショで」

「分かりました、ポーズに指定はありますか?」

「特に。この子が二人のファンで、バビルサから無事グランブルスティに進化できるように、心の応援にしてあげたいんです」

「OKです。気合い入れて写真撮りますね!」


 イノシシの聖獣……バビルサに許可を得て触れると、ごわごわしているようでさらっさらのふわっふわの毛皮に手が埋もれる。しっかりとした筋肉が感じられて、幸せそうに目を細める姿がとっても可愛い子だ。こんな子にファンだと言われて嬉しくないわけがないだろう! 


 リリィと二人でしっかりとハート型を作って寄り添い合った写真を撮り、彼女に渡す。さっき見たはずなのに、自分も早く見たい! とぴょんぴょん跳ねて写真を覗き込むもうとするバビルサがあまりにも可愛すぎた。


「こちらで」

「はい、お受け取りしますー」


 に、24000ゴールド!? と、思ったが、半分をリリィに渡してことなきを得た。心労的な意味で。


 こうしてくるくる働きながら撮影をこなしていく。

 すぐそばに、私の反応を面白がって報酬の値段を釣り上げていくタイプの客がいることを知らずに……。


「次、私でいい?」

「どうぞ〜」


 問題の、ギターを持ち歩いている子のご登場であった。

祝・800話越え!!

ここまで続いてきているのも皆様のおかげです。ありがとうございます!!これからもよろしくね!!

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― 新着の感想 ―
[一言] 果たして、家建てる以上の投げ銭をしてくる人は、いつになるだろうか?
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