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【漫画単行本4巻発売中】神獣郷オンライン!〜『器用値極振り』で聖獣と共に『不殺』で優しい魅せプレイを『配信』します!〜  作者: 時雨オオカミ
初イベント!『キャンディ・ピニャータ・パニック!』

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神前舞踊、太陽・雪

「うーん、やはり昨日よりは集まりが悪い」


 現在、イベント順位32位。

 こういうVRゲームでありがちな販売個数制限がないため、人口はどしどし増えていくから二桁に乗っているのは充分すごいことなのかもしれないけれど……ユウマが五位とかにいるので少し悔しい。

 やはりあの怒涛のキャンディ取得量はユウマがいたからだったか。


「神前舞踊、日輪の舞」


 太陽の下、横ではなく縦向きの回転での攻撃と蹴りを加えた動き。右手に持った緋色の羽根がついた扇が赤く煌めき太陽属性の火の粉で残像ができる。


 その場に丸い太陽が現れたように明るい火の輪が残る。

 そして地面に一本歯の下駄で降り立ち、ざざっと土煙が上がった。扇子を振るうように手を下ろすとシャランと涼やかな音を立てて扇子についた装飾が鳴った。


 それから片手でパチンと音を立てて扇子を閉じ、着物の帯に差し込む。


「これで今日は百体目のピニャータ。キャメレオンは二匹、蝶はなしでコウモリもなし、か」


 やはりユウマがいたからこそあんな遭遇率が良かったのか。キャメレオンだけならば目視で探せるので案外仕留めることはできるのだけれど、他は本当に運が関わるらしい。


「扇子の調子はどうですか?」

「ええ、とても良いですね。やはりあなたは腕がいい。天は人に二物を与えないって本当なんですね」

「ケイカさんに言われると照れてしまいますね」

「後半は褒めてません」

「分かっています」


 変態であることを揶揄しても喜ばれてしまうだけだった。


 というかなんでこの人ついて来てるの? ストーカー? 堂々としすぎじゃない? いや、扇子を使っているところを直接見たいとは言っていたけどさ。


 まあいいか、空気かなにかだと思っておこう。そのほうが気持ち的に楽だ。


 燃えるような緋色の扇子に触れる。あたたかい。


 アカツキのアニマエッグを使用して強化しているので、この鉄扇は太陽属性攻撃が可能となった。通常一時間以上かかるこの強化を、三十分程度で強化完了して渡して来たストッキンさん様々だ。


 そう、腕はいいんだ。腕は。ただ変態なだけで。なんて残念な人なんだろう。リアルと年齢がリンクしているかどうかはまったく信用できないので、この人が本当にイケオジかどうかも分からない。

 分からないが、ゲーム内で交友するのにリアルは関係ない。


 でもこの人、私のこと神様かなにかと勘違いしていないか少し心配になってくる。敬愛? そんなの向けられるようなこともしていないし、狂信者がついているようで少し疲れる。

 世の中の動画投稿者ってすごいんだなあ。こんなのが大量にいたら私は結構きついぞ。


「オボロ」

「くうん!」


 今度は純白の冷えた鉄扇を構えて牛型のピニャータに向けて踏み込む。

 踏み込んだ先からぱきり、ぱきりと氷が張っていき隣を私に合わせて走るオボロが行く。そして連携。スキル【風花の調べ】で雪が舞い、ピニャータの足が止まる。


 それから私はピニャータの目前まで移動した。


「神前舞踊、椿の撓雪(しおりゆき)


 ピニャータに足払いをかけてバランスを崩し、そのあとすぐに飛び上がり、純白の鉄扇を閉じたままに叩きつける。


「んー、威力不足」

「がう!」


 攻撃は入ったけれど、仕留めきれずにオボロが噛み噛みして倒した。

 上手く頭に叩き込めばスタンを取れるかもしれないのだが、撓雪(しおりゆき)はまだ上手くいかない。


 ちなみに撓雪というのは重みで木の枝などをたわませている状態の雪のことを言う。わざわざインターネットで調べて技名をつけているのだ。動画投稿主として芸術点の高いモーションを作っていきたいところである。なお、背景に雪をチラつかせたりしているのはただの演出だ。


 協力してくれたオボロの頭をよしよしと撫でてアップルパイをその口に入れる。美味しそうに目を細めて食べる彼女にいくらでも貢ぎたくなるが、我慢だ。連携に成功したときにご褒美をあげることになっているのである。


「REC」

「えーっと、撮らないでくださいって言いましたよね?」

「言ってみただけですよ。ただただ目に焼き付けているだけです」

「そうですか、ならいいです」


 ストッキンさんは鉄扇の使用風景を見たいとのことだったわけだが、明らかに目的は別。どう見ても私を見ていたいだけだろう。本格的に通報してやろうかこの人。


「シズク、ジン、休憩は終わりです。次は君達ですよ」

「しゃ」

「なおおん」


 シズクとジンがこちらにやってきて、代わりにアカツキとオボロが下がり、草原に座り込む。その隣にストッキンさんも座り、オボロの背を撫でようとして……噛まれた。あれ、オボロもそんなことするんだ。


「ストッキンさんはキャンディ、いいんですか?」

「見ているだけで結構です」

「……そうですか」


 なんだか、情報を盗まれているようにも感じて居心地が悪い。

 あとでこの不安を素直に口に出して戦っているところを見せてもらうべきか……。ないとは思うが、まだ動画として出していない私の技を誰かに売る可能性もあるわけで……信用はしているけれど、フェアじゃない。


「あ、順位ひとつ上がった」


 イベントのほうは、一応順調にランキングを上がっているのだった。

言葉の応酬とか戯れを書くのがとても好き。

主人公の一枚絵を絵師様に依頼したとだけご報告を。


あと恋愛はごめんね。もし、本当に書いてほしいのであれば、TwitterのプロフにマシュマロのURLが載っているのでそちらにご連絡くださいな。

本編では書けませんが、リクエストをいただければ、書いてpixivに投げるということはできます。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 技を連続で叩き込むようにする方向にいかないと厳しそうですねえ
[気になる点] なんか最近オスとの絡みばっかでコレジャナイ感がすごいです
[一言] 総数何名かはわかりませんけど、32位って ペットボトルでアレするレベルの廃人よりもさらに上のような・・・
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