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【漫画単行本4巻発売中】神獣郷オンライン!〜『器用値極振り』で聖獣と共に『不殺』で優しい魅せプレイを『配信』します!〜  作者: 時雨オオカミ
『深淵咬魚にハッピーエンドの福音を』

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歓迎のサプライズ


 ……

 …………

 ………………



 723名無しの共存者

 大ウツボと競争しだすシャーク君草


 724名無しの共存者

 エアレーのほうもめっちゃ乗り気じゃん


 725名無しの共存者

 あの状況下でキャッキャできるスーちゃん大物だわ


 726名無しの共存者

 元気になったら絶叫マシーンもの大好きになりそう(小並感)


 727名無しの共存者

 病気にもよるだろうけど許可降りるか微妙じゃね? 


 728名無しの共存者

 許可降りるくらいに元気になったらいいねえ


 729名無しの共存者

 そうだね


 730名無しの共存者

 ところで準備は整ってる? 


 731名無しの共存者

 エレヤンが街に到着するまであとどのくらいかかりそう? 


 732名無しの共存者

 スピードが速いからこれじゃああと10分(神獣郷内時間)も持たないだろうね


 733名無しの共存者

 用意は間に合ってるんだし大丈夫じゃん? 


 734名無しの共存者

 ま、遅刻しそうな人はドンマイってことで


 735名無しの共存者

 祭りじゃ祭りじゃ〜!! 


 736名無しの共存者

 コメント欄も普通にレース楽しんで勝手に賭け始めてるけど、その裏でみんなようやるわ


 737名無しの共存者

 今ならエレヤン、コメントだけで掲示板見てないっしょ? 


 738名無しの共存者

 もちろん

 ケイカちゃんは常にスレ監視しながら冒険してる俺らとは違う陽キャタイプだからね


 739名無しの共存者

 もふもふ好きでオタクだけど陽キャって人種が本当に存在するものなんだなあ


 740名無しの共存者

 いやエレヤンは完全な陽キャではなく陽の属性持った陰キャだから


 741名無しの共存者

 そこまで来るともはや訳分からんな??? 


 742名無しの共存者

 ぐわー!! 遅刻する!! 


 743名無しの共存者

 おうお前ら準備はいいか? 号令は我らが会長だ

 会長とエレヤンと仲の良い奴らに続け!! 


 いいか? 仲の良さはPLもNPCも関係ない

 前に立ってるあいつらに続け


 祭りじゃぁ!!! 


 744名無しの共存者

 イェーーーーイ!!! 


 745名無しの共存者

 Fooooooooooooooooooooooooooooo!! 


 746名無しの共存者

 シャークくんあの体格差でエアレーを追い抜いてんのやばwww


 747名無しの共存者

 Fooooooo!! 


 748名無しの共存者

 ドヤ顔してるシャークくんかわよ


 749名無しの共存者

 誰か写真撮った? エレヤンに許可もらって拡散させてもらえ


 750名無しの共存者

 あとで会長が行くってよ

 見事な写真だった


 751名無しの共存者

 さすがプロ()


 752名無しの共存者

 なんのプロなんですかねぇ


 753名無しの共存者

 そら盗撮よ


 754名無しの共存者

 あかん(あかん)


 755無しの共存者

 入港! 


 756名無しの共存者

 みんな打ち合わせ通りにな!! 


 ……

 …………

 ………………



 大海原を走り回る。それがこんなにも楽しいとは。


「負けませんよ!」

「シャークくん早いですね〜!!」


 エアレーに乗ってメーサさんを前で抱きしめているスノーテさんと、その後ろでスノーテさんに抱きついているスーちゃん。そして、シャークくんに乗っている私達で街に戻るため遊泳をしていたら、いつのまにかレースのようになっていた。


 キラキラと横を走り抜ける水飛沫が気持ち良い。

 氷海から抜けた辺りから遠くでミャアミャアと鳴くウミネコ達を追い越し、巨体による力強い泳ぎと並走する。


 最初はエアレーの泳ぐ道筋を通って抵抗を減らしていたシャークくんが、ジャンプ一番で追い越したときはかなりコメントのほうも盛り上がっていた。


 コメント欄でいつしかトトカルチョ的なものが始まり、言葉だけで賭けがどうのとわいわい騒いでいる言葉達が流れていく。本当に賭けているわけではないので問題視することもないし、純粋に楽しんでくれているのだから私には邪険にするつもりもない。


 釣り上がる口元に、もっともっとと速度を求めて騒ぐ心のうちの言葉を乗せて紡ぎ出す。アカツキの足が肩にものすごく食い込んでいたが、体力も削れないギリギリだし、それに必死に掴まっている感じがなんだか可愛らしいので余計に私の心が弾んだ。

 オボロは空気抵抗をなるべく減らすように私に寄り添って伏せているし、ジンにいたってはそもそも自分で掴まるつもりがないらしく私の装備の中に入り込んで楽をしている。


 エアレー側にいるスーちゃん達もまったく気にせずこのスピードを楽しんでいるため、その場にいる全員がスピード狂と化していた。


「ラストスパート!」


 負けんばかりにスピードを上げたエアレーが真横に肉薄する。

 しかし、シャークくんはそれを意に介さず尾びれを激しく打ち付け、ぐんと下に沈んだ。慌ててアカツキが私の腕の中に入り、私もオボロが離れないように抱いて背中を丸める。そうすることで一瞬水の中に入った視界が、次の瞬間には外へと踊り出す。


「クォォォォォォン!」


 最大パワーでのジャンプ。

 体の長さと推進力で速さを出していたエアレーの遥か前を空中をひと泳ぎすることで引き離していく。水飛沫を上げて空に飛び出した瞬間、どこかでチラリと光が見えた気がして目を細めた。


 そして、同時に目を見開く。

 なんせ、目の前に迫った砂浜にはありえないほど大勢の人が集まっていたから。


 いつもそれなりに賑わっているが、そこまでの人数が一度に集まったことなんてほとんどない。それこそ竜宮城のイベント時くらいではないだろうか。


 それほど多くの人々が砂浜に集まっていた。

 便宜上港のように街の人々が扱っている場所で、桟橋や船なんかもところどころにあるが、そちらには人はおらずに本当に砂浜に集まっているだけの状態。


 後ろからやってくるエアレーも、砂浜が眼前に迫ってそれを捉えたのかスピードが緩まった。リアルのように大津波になるようなことはないが、それでも勢いのまま近づくのは躊躇われたのかもしれない。


 私はエアレーの上にいるスノーテと目を合わせてから並走してゆっくりと砂浜へ向かった。


 遠くから見ていたときはただ、今日は人が多少多いなあくらいにしか思わなかったが、明らかに意図的に集まっているだろう人数である。


 なんせ、その中の先頭にいる人物達が見覚えのある人達ばかりだったもので。

 そして、知らないメンツにおいてもなぜかみんな手作り感満載の大きなプラカードのようなものや垂れ幕を持っていて、そのどれもに『歓迎』の文字が書かれているのだ。


 明らかに私達に向けているとしか思えないものだった。

 さらに、示し合わせたように全員が全員己のパートナーと二人で隣り合って手を振っている。四匹連れている人を見かけないのは、もしかしたら人数が多くなって一人一匹という決まりごとでもできたからなのかもしれない。


「えっと……」


 私達がようやく砂浜付近まで辿り着くと、一番前にいたストッキンさんやユウマ、ルナテミスさんにリリィといつものメンツが大きく手を振る。それに応えて私も手を振ると、みんなは笑顔でこう言った。


「おかえりなさい!!」

「え!? た、ただいま〜!?」


 なになに? なにこれどういう状況!? 


 混乱している私がシャークくんから降りて、挙動不審になりながら周囲を見渡すと、同じくエアレーから降りてきたスノーテさんとスーちゃんが近づいてきた。これ幸いと近づいてスノーテさんの服の裾とスーちゃんの小さな手をぎゅっと握って不安を紛らわせる。

 スノーテさんはメーサさんをお姫様抱っこしているので、手を握ることができないのだ。


「あの、ストッキンさん……これはいったい?」

「それはもちろん、スノーテさんとメーサさんを歓迎しようと思いまして」

「わたくしどもを……?」

「ええ、もちろん。お話は伺っておりますので、街の住民はあなた方を歓迎するという旨をどうにかはっきりとお目にしていただきたいと思った次第です」


 言いながら、ストッキンさんが目配せをする。

 すると、ユウマとルナテミスさんがアニマ・エッグを取り出してそれぞれのやりかたでパートナーと神獣纏をし始めた。


「え……?」

「我々の信頼関係を一目で分かってもらおうとするならば、これが一番でしょう? 今の時代はこうだと。そして」


 一区切りをおいて、ストッキンさんもレッグとの神獣纏を実行する。

 ネズミ耳の生えた帽子屋といった感じの紳士になった彼は、うやうやしくお辞儀をしてにっこりと笑った。


「わたくしどもの街は、これだけの人々があなたがたの話を伺ってぜひ歓待したいと考えたんです。この場にいる人々はスノーテさん。メーサさん。そしてエアレーさんと蛇ちゃんさん四名をお出迎えしたいと思った私の我儘に応えてくれた人達ばかりです。いかがでしょう? 不安なことはなにもありませんよ」


 メーサさんをお姫様抱っこしていたスノーテさんが、その言葉で決壊した。

 拭えないせいでポロポロ溢れる涙がメーサさんの服に落ちていく。


「ありがとう、ございます! なにも不安に思うことなんて、ないですね……もちろん。まさか、ここまでしていただけるなんて」


 彼女の瞳から落ちた涙が、メーサさんの頬に落ちて流れていく。

 そして、薄らと目を開いた瞳と彼女は目が合った。


「メーサさん……?」


 蛇ちゃんと、そしてメーサさん本来の瞳の色が混じったのか、オッドアイとなったメーサさんがパチクリと瞬く。


「スノーテ……? 来てくれてた、のね。夢じゃ、なかったんだ……」


 目覚めた彼女に今度は周囲の人間含む、私までもが涙腺崩壊するのにそう時間はかからなかった。


「起き、起きた〜!! 起きたんですね〜!!」


 泣きたくても簡単に泣けない私達は、ただそう泣きそうな声で喜ぶことしかできない。


 こうしてストッキンさん達が計画した歓迎のサプライズは、大成功に終わった。

お待たせいたしました!

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