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【漫画単行本4巻発売中】神獣郷オンライン!〜『器用値極振り』で聖獣と共に『不殺』で優しい魅せプレイを『配信』します!〜  作者: 時雨オオカミ
『深淵咬魚にハッピーエンドの福音を』

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陰キャの嫌いな言葉ランキング上位五位に食い込む言葉(*私調べ)


 ……

 …………

 ………………


 401迷子の検証班

 天使が舞い降りてきました

 ケイカさんに助けてもらった

 かっこいい……


 402人目の推し活検証班

 おっkwsk


 403迷子の検証班

 分かりました

 ちょっと書き溜めてきますね

 その間に集合場所に着きそうです

 幸せすぎて死にそう


 404人目の推し活検証班

 経緯書くのに書き溜めが必要とは??? 


 ……

 …………

 ………………


 425迷子の検証班


 スペック

 俺→中身は女。ケイカさん探そうとして迷子になった

 アカリちゃん→種族:ヤタガラスの女の子。一晩中踊るのはマジきつかった。ケイカさんあれを余裕でこなしたの尊敬してる。


 以下、さっきあったこと


 城の中は複雑だ

 あちらこちらに水が浸食しているうえ、柱や壁が崩れている箇所も多い

 同時に崩落した瓦礫などによって塞がれている通路も多く、目的地付近の方角を理解していても、崩落箇所を避けながら歩けば歩くほど目的地から遠ざかっていくようだった


 半泣きになりながら腕の中のアカリちゃんを抱きしめ、顔を埋める

 実際に涙は出ないが、抱きしめられて少し息苦しそうなアカリちゃんがクゥと俺の頬に嘴を寄せた

 もしかしたらこういうダンジョンの探索は向いていなかったかもしれない

 そんな風に思いながら移動を続ける


 迷子になるのは初めてではない

 いつもなら他の仲間がエコーロケーションを用いて先導をしてくれるが、今回連れているのはヤタガラスのアカリちゃんだけだ


 憧れのケイカさんに会うのだからと意識しすぎて、お供の選択を間違えたかもしれない

 でも一番の相棒はこの子なんだから仕方がないと思う

 最初のパートナーがニワトリだったとき、私はすごく嬉しかったから

 動画を見て神獣郷を始めたから


 そして、やっと本物に会えるかもなんて思って舞い上がっていたのが馬鹿みたいだな、なんて自己嫌悪に浸っていたときのことだ


 目の前に柘榴色の美しい竜が舞い降りた


 その背に乗ってふわりと羽織りをたなびかせる彼女の姿に釘付けになって、俺はしばらくフリーズしていたと思う


 画面越しではないザクロの姿は雄大だった

 体の大きさを制御しているとは思えないほどの存在感があって、そして誇らしげで、散々配信で聞いていた「ケイカさんが一緒じゃないと他の人を乗せない」という情報を見るだけで実感した


 体のところどころにキラリと光るガーネットは、大切に磨かれているのがひと面で分かるほど艶やかで、後から舞い降りてきた彼女の相棒もまた、美しかった


 アカツキの姿を見て、腕の中のアカリちゃんが歓喜の声をあげる

 そりゃそうだ

 みんなでケイカさんの活躍を見ていた

 何度も見て、素敵だなってファンになった

 だから、うちのアカリちゃんもアカツキくんのファンだった


 ケイカさんがザクロの背から降りてきて、心配そうな顔で「迷子さんでしょうか?」って俺に話しかけてきて、俺はまともな返事ができなかった

 情けない声で「あい」みたいなことしか言えてなかったと思う

 それでもケイカさんは「無事でよかったです」って笑ってくれた


 思わず「どうしてわざわざ助けにきてくれたんですか」みたいなニュアンスのことを口に出してしまったときは「しまった!」って思ったけど、口から出てしまった言葉は帰ってこない


 そうしたら、失言してしまったかと落ち込む暇すらなくケイカさんが「ファンは大切にしませんと」って悪戯げな顔で笑ってくれて、俺はまたフリーズした

 あまりにも多い情報にバグってしまった感じだった

 多分背景にNow loading……とか書いてあった


 あまりにも嬉しすぎてキョドってしまった俺は思わず視線を脇に落として、ケイカさんの肩から覗くシズク様と目がバッチリ合ってしまった

 ニパッと笑ったシズク様にトドメを刺された


 それから、天を仰いで尊さに身を打ち払わせていたらケイカさんが唐突に手を出して「一緒に入口に戻りましょう」って言って首を傾げた

 俺は胸を押さえてうずくまった

 アカリちゃんがぐえって潰れた声をあげて俺の腹を全力でクチバシで突き上げてきた

 俺は突き刺さったクチバシへの違和感が凄すぎてその場で真横に倒れ込んだ

 ケイカさんが「えーーーーーーっ!?」ってなってたけどしょうがないと思う

 配信コメントでめちゃくちゃ笑われたのもしょうがないと思う


 ようやく復活して、ご迷惑をおかけしてすみませんってことも言って

 それから歩き出したところ、ザクロに肩を掴まれて困惑した


「ほら、私が一緒ですからザクロに乗ってください。早く行っちゃいましょ!」


 ザクロの背中の上にはすでにジンがスタンバッていて、はよしろと尻尾がバシバシ揺れていて主張していた

 お猫様の言い分は実際に飼っていたことがあるのでなんとなく分かる

 よく見ればスーちゃん達もザクロの上だった

 俺がどんだけケイカさんしか見えてなかったかってことがよく分かった


「え、あ、ア、相乗り……ですか?」

「? そうですよ!」


 俺は死んだ

 腕の中のアカリちゃんもとうとう静かになった


 やばい

 尊い

 一生の思い出にする


 エレヤン様、一生推します

 びっぐらゔ


 426人目の推し活検証班

 途中まで描写頑張ってたのにだんだん面倒くさくなってきてるでしょこれ


 427人目の推し活検証班

 は? さらっと相乗りとかしてる絶許


 428人目の推し活検証班

 語彙力が溶けていく瞬間を見てしまったな


 429人目の推し活検証班

 一人称頑張って俺にしてる感あるのに途中私が混ざってて笑う


 430人目の推し活検証班

 あそっか女の子か

 女の子三人でザクロに相乗りいいね


 431迷子の検証班

 あ、ごめん

 俺中身は女だけどゴリゴリのマッチョな男アバター


 432人目の推し活検証班

 ど う し て


 433人目の推し活検証班

 一瞬で幻想が崩れて草


 434人目の推し活検証班

 女の子同士で脳内変換してた妄想がマッチョのおっさんに浸食されて泣きそう


 435人目の推し活検証班

 そりゃ締め上げられたアカリちゃんも静かになるってもんよ


 436人目の推し活検証班

 アカリちゃん大丈夫??? 生きてる??? 


 ……

 …………

 ………………


「なんかめちゃくちゃ脚色されてるぅ!?」

「だいたい合ってるじゃないですか。私なんて一言も触れられていませんよ。あの場にいたのに」

「野郎は眼中に入ってなかったんでしょうね」

「あちらも見た目は野郎なのにですか……?」

「紳士ぶってるストッキンさんが野郎とか言うと面白いですね」

「それはお互い様ですよ」


 そんな私とストッキンさんとの会話に、「これが生煽り合い……!」と感動しながら胸の前で拳をぎゅっと握る乙女ポーズをとるムキムキマッチョがいたとかなんとか。


 ちなみに呪いの侵食進行速度の実験……検証はつつがなく完了した。

 蛇そのものである聖獣や神獣の進行速度を10とするなら、龍であるシズクは8といったところだろうか。

 他の子達との検証結果と合わせて、蛇に姿形が似ていれば似ているほど進行速度が速くなり、蛇そのものの種族の子が一番被害が大きいという結論が出た。


 やはりこのシナリオのキーになるのは「蛇」らしい。


 いろんなタイプのパートナーを連れている人が集まっているため、いっせいにやる検証として今度は纏についてのものを行うらしい。


 私は城の外で一度シズクと纏をしてみるということになり、他の人達は蛇以外12種の初期聖獣と種類が近いパートナーと纏を行う。

 それから一度「纏」を行った人は休憩に入り、城の中に入って纏の検証をする人達へのサポート、および記録に参加するという感じだ。


 この外での纏と城内での纏、それぞれ13種ずつ行うため合計は最低で26人。


 検証目的のため結果に差異があるかどうかも含め、26人以上参加してもいいらしいが、外と内で記録を残すためにもしっかりと二人一組でやる必要があるらしい。


 ここで悲報です。

 視聴者の皆様には刺激の強い言葉が流れるかもしれません。身構えてくださいね。


 と、テロップに出した瞬間だった。


「はい、二人組になってくださーい」


 検証班の中の何人かがその言葉にトラウマを呼び起こされて顔芸を晒した。

 陰キャの嫌いな言葉ランキング上位五位に食い込む言葉(*私調べ)だ。面構えが違う。


「ストッキンさん」

「はい、お供しますよ」


 ストッキンさんがいなければ私も致命傷だったなこれ。


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[気になる点]  帰宅後にでも構いませんので、もう一方のサイトでの掲載もお願い致します。
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