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【漫画単行本4巻発売中】神獣郷オンライン!〜『器用値極振り』で聖獣と共に『不殺』で優しい魅せプレイを『配信』します!〜  作者: 時雨オオカミ
小さな後輩?『コスプレ幼女とエレヤンお姉ちゃん』

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ログアウトのお時間です


「いっくよー!! 星色しょうたーいむ!!」


 なんというか。


「キキィ!」

「きゅい!」


 魔法少女もののショーでも見ているような気持ちになった。

 スリャーシャちゃんのセリフを言い、軽やかに走り出した彼女はものすごく大きなミズチ相手にも果敢に立ち向かう。普通の子供なら怖いと思うものだろうし、ゲーム慣れしていてもそれなりに感覚がリアルだからこそ怖いなあ……と感じるものなのだが、彼女はそれを感じさせない。


「走るのたのしーーいね!!」


 初見の私がゾッとした、ミズチによるアクアブラストの威力でさえ気にせず走り回っているくらいだ。トンッと華麗なステップなんかを踏みながら、彼女は最低限の動きで攻撃を避けている。


 ――随分と目がいいな。


 その様子を見ながら、ジッと観察して私は考える。


 見て、動く反射神経。最低限の動きで最適解の場所に移動する判断力。そして自分よりも大きな脅威に対して恐れることなく……むしろ楽しんですらいる精神力。決して油断しているわけでも、舐めているわけでもないのに楽しげな姿は、まるでミズチに遊んでもらっているかのよう。


 反射神経がものすごくいいので、体が丈夫であればスポーツ系に適性がありそうな子だ。走ることすらはじめてだと笑っていた子供が、たったの数時間でこれほどまでに動けるようになっているのだから、その才能は計り知れない。


 もったいないなあと思うのと同時に、このゲームをやりはじめて活き活きと楽しげに遊んでいる姿によかったねぇと思う気持ちが同居している。もはや私はスーちゃんの保護者目線である。今なら親御さんと語り合える気がする。


「ずーっと遊んでてもいいって楽しい!!」


 避け続けて十数分。

 時間切れでミズチが滝の中へ退散していく。それを見上げながら、バイバーイと手を振るスーちゃんは輝くような笑顔だった。


 ……うん、まあ、それはそれとして謎解きができるかというとそれはちょっと違うよね。仕方ない。


 私だって何十回も挑んでこのボスの答えを見つけたのだ。

 なにも知らされていない状態の彼女が一発攻略なんてしたときには、若い才能ってヤバいな……って遠い目をすることになってしまうところだった。


 ま、攻略周りのことはともかくとして……幼女が楽しいようなら万事オッケーなのである。


 最初からネタバレ攻略を教えるつもりはなかったので、このあとスーちゃんにはミズチをスカウトして癒すことができること。それからミズチなどのボス魔獣は、なにかの原因があって人に攻撃してくるくらい怒っていること。怒っているミズチの怒る原因を取り除いてあげればみんな幸せハッピーエンドだよという話だけしておこうと思う。


 ミズチ戦のギミックを露骨にはネタバレせず、自分で見つけられたら重畳。十回以上やってみてダメだったときや、スーちゃんが音を上げたとき、または飽きちゃいそうなときはもっと具体的にヒントを出してあげることにする。


「おつかれさま〜」


 ボス戦はミズチの撃退により終了したので、彼女のもとに移動しながら声をかける。


 すっかりお姉ちゃん気分のオボロが駆け出してスーちゃん達を労っているが、スーちゃんのほうは綺麗になった水面を熱心に覗き込んでいて気づいていない。その後ろをぽてぽてと歩いて向かうジンと私。私の肩と首にはいつものメンバー。安定の布陣である。


 ぽってぽってと歩くジンは、歩みこそゆっくりだけれど尻尾がピンと立っていて喜ばしげだ。そうだねぇ、ジンはミズチ戦はしてないもんね。話にしか聞いたことがなかったからなのか、オボロの次くらいにミズチ戦を観戦することへ熱意を注いでいる。


「あ、おねーちゃん! やったよ!!」

「すごかったです! ドキドキしてましたけど、避けるのがお上手で素晴らしい!!」

「おねーちゃんみたいになれる?」

「なれますよ!!」


 なんて可愛い後輩なんだ。どっかのハイヒールフェチとは大違いである。そうそう、こういう後輩が欲しかったんだよ。可愛い後輩が。間違っても自作したハイヒールで踏まれたがる変態はご遠慮願いたいし、それ以外でも個性……というより、我が強い連中が多すぎるのは勘弁してほしい。どいつもこいつも濃い変態しかいないのは嫌すぎる。


 貴重な癒し成分だ。今のうちにたっっっぷり堪能しておかないとね。


「それじゃあ、スーちゃん。このミズチ戦の特別なお話でも……」


 と、言っていたときだった。


「あ、時間だ〜」


 目の前の子供が、水を差されたかのようにちょっとテンションを下げながら呟いたのは。


「ゲームをやれる時間に制限でもあるんです?」

「んーん、違うの。えっと、回診?」

「なるほど」


 回診に必要なくても、ちゃんと起きてまじめにしているように見せかけるのって大事よね。分かります。


「じゃあ、さっきのセーブポイントまで戻って、今日は終わりにしましょうか」

「あい!」


 元気よくお返事をした彼女は、表面上だけなら健康そうにしか見えなかった。


コミックポルカ様公式のサイトと、ニコニコ漫画にて神獣郷オンラインのコミカライズ第十五話が配信されました。


まだご覧になっていないかたはぜひぜひご覧くださいませ!!今回は二話からチラッと出ていた……あの変態のご登場です!!

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