聖獣の気質について!
おさらいしとこう。
リリィの話によると初期の聖獣にはそれぞれ意味がある。
初期聖獣が決まるのはチュートリアルの会話が重要となる。AIであるリリィによると、彼女達にとっては幼い頃に神殿に入って、神獣達と話をして適性を判断、魂……ソウルの状態で漂っている聖獣がついていきたい人を選ぶという神聖な儀式になっているようだ。
会話の受け答え、思想、いろんなことが加味されたこの儀式では、十三の要素に対して、受け答えかたによって資質が加算されていくことになる……と。
たとえば、情熱の伝わるような受け答えをしていればどんどん情熱の項目に加算されていき、最終的に一番強い資質としてニワトリがパートナーとなる。そういうことだ。
質問に答えて主人公を決めたりするゲームと似た、単純なシステムだけど、実際にはかなり細かく設定されていて一挙一動が判定されているらしい。だからこそキャラリセットは容易じゃない。何度やっても同じになるという場合が多い。よほど意識して答えない限りは同じになるというのは、掲示板で見た。
「メモしますね」
「ええ、では話しますね――」
十三の聖獣の表す気質はこうだ。十二支プラス猫だから……。
子:渇望 ねずみ。
丑:忍耐 うし。
寅:秩序 トラ。
卯:臆病 うさぎ。
辰:誇り タツ……というかリュウ。
巳:知識 へび。
午:献身 うま。
未:友愛 ひつじ。
申:理想 さる。
酉:情熱 ニワトリ。
戌:愛情 イヌ。
亥:実直 イノシシ。
猫 : 自由 ねこ。
の十三匹だ。
ってことは最初が馬だったユウマは『献身』?
意外だなあ、どこで献身だっていう判定になったんだろうか。
知ってる人だと、ルナテミスさんが猫。自由……うん、なかなか納得できる。そんな感じの人だよね。
それからストッキンさん。ネズミ。渇望……かあ、なんだろう? 足フェチが極まりすぎて? 偏見すぎるかな。
「この中で、臆病だけがバカにされてしまうので……」
「そっか……でも、もう嫌じゃないでしょう?」
「はい、こっとんは大切なパートナーですから」
優しく微笑む彼女に安心する。よかった、やはりもう大丈夫そうだ。あれだけ取り乱していたけれど、マイナスの感情を受け取って魔獣になっていたこっとんもすぐに聖獣に戻ったし、元から優しい子なんだろうなあ。
臆病以外も場合によってはなんかマイナスと取れないこともないような。
「他の人も見てみたい……ような」
「あ、それなら広場で見てると面白いですよ? いろんな人が来ますから」
オボロがうたた寝し始めている。
会話には参加できないからねぇ。
「広場……鳳凰さん達のところですか?」
「ええ、相談に訪れる人もたくさんいますし」
そりゃ、イベント中だし……アイテムの交換をする人も多いだろう。
「そうだ、鳳凰や麒麟以外の神獣様についてなにか知っていたりしませんか?」
「神獣様について、ですか。いえ、お二方以外はあまり……調べておきましょうか?」
「え、いいんです?」
「ええ、もちろん!」
もしかして、こうやってきっかけを作らないと神獣についてのヒントって手に入らないのかなあ……。
紅茶を飲み切って、カップをソーサーに置く。小さくカチリと音がしていた。
「紅茶、おかわりしますか?」
「ん、いやいいですよ。そろそろ、遅いですし」
辺りを見渡せば、いつのまにかカフェの外は暗くなっていた。
暗い森の中でピニャータ戦も面白そうだけど……ひとまず、宿屋に戻ろうかなあ。卵もほしいし。
「今日はありがとうございました。また、来てもいいですか?」
「ケイカさんならいつでも」
そう言って、その日はリリィと別れた。
今回少し短めで申し訳ありません!




