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【漫画単行本4巻発売中】神獣郷オンライン!〜『器用値極振り』で聖獣と共に『不殺』で優しい魅せプレイを『配信』します!〜  作者: 時雨オオカミ
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雪国での撮影タイム!!

 木々の上には手のひらサイズのコロコロと丸っこいシマエナガ。

 雪の上には全体的に丸く、よちよちと歩くペンギン。

 氷の上にも、全体的に丸っこいフォルムのアザラシやトド。

 たまに見かけるシロクマは凶暴さのカケラもなく、ふわふわもこもこで触れ合えるし……。


「天国ですか???」


 ニワトリに取り囲まれた天国もいいが、こういうのもすごくいい。滅多に見ることができない動物の、デフォルメされた可愛らしい姿がそこかしこにあって、しかもアレルギーなんて気にすることなく触れ合うこともできる。


 見るのだって、リアルのように檻や柵越しではなく、間近で観察できるし、あくまでゲームのAIなので、近づくのに危機感もそこまで必要はない。魔獣でなければ、基本的に聖獣達はおとなしく、人間に友好的な生き物だからだ。


 しゃがんで観察していれば、たまにもっこもこのキツネさんとかが走ってきて背中にぶつかってきたりする。


「見て見てアインさん! キツネさんがズボッて! ズボッてやってます! 本物ですよ!!」

「うんうん、可愛いねぇ」


 すごい至近距離で、キツネが真上にジャンプして雪の中に頭からズボッと埋まる光景。雪上で獲物をとるやりかただと聞いたり、映像で見たことがあったが、やはり目の前で見せられるとその感動は段違いだ! 可愛い。


 音を聞いて、雪の上から獲物目掛けて一直線に飛びつくための、かなり効率的な狩りらしいけど……やっぱり見てる側としては、なんか可愛いとしか言いようがない。


 しかし、それにしてもあのキツネさんはなにを食べているんだろうか? 

 気になって捕まえた獲物を見ようと近づいてみると……。


「……」

「あー……」


 キツネがくわえていたのは、足のようなものが生えてジタバタとしている骨つき肉だった。

 私はそれを見て思わず宇宙を背負った猫みたいになってしまっていて、その間にキツネさんはこちらを見向きもせずにトコトコとどこかへと去っていく。


 ……そういえば、この世界の聖獣のご飯ってそんな感じでしたね!! 


 木に肉がなってたり畑で採れたりするんだから、地面に埋まっていてもおかしくないよね!! あくまで聖獣同士での食い合い、弱肉強食みたいな描写が避けられているからか、食事周りの生態を観察しているとわりとシュールである。なんとも言い難い……。


「よし、アカツキ。シマエナガ達と並んできてもらえますか?」

「くぅ〜」


 肩からアカツキが飛び立ち、樹氷の上に。

 体の小さいシマエナガ達と並んでこちらを見下ろしてくる。そんな姿を写真に撮って保存。


 今度はオボロに頼んで、先ほどとは別のキツネさんと交流してもらい、じゃれている姿をパシャリ。お互いの尻尾を甘噛みしてニコニコしている光景は控えめに言っても最高でした。可愛すぎる。


 ちょっと仲良くなったらしいキツネさんがオボロの後をついてくるようになったので、しばらく同行。今度は雪原の真ん中のほうを目指していく。


 やはりというか、このコロコロ雪原は周囲が全て崖になっていて、そこからこちらに上がってくるには、空を飛ぶしかないようだ。けれど、フィールドの真ん中の辺りに行くにつれて緩やかな坂になっており、中心地は氷の浮かぶ海に辿り着く。どうやら、外の海で潜り、下からくぐって雪原の海に来る方法もあったようだ。


 あのときは巨大ウツボに追いかけられていたため、なるべく潜るというフィールド的にウツボが有利になりそうな行動はできなかったが、元から水棲の聖獣に乗っていたのであれば、潜ってウツボを振り切ることもできたのかもしれない。


「シズク〜、ペンギンさん達と泳いで見せてほしいです!」

「シャッ!」


 任せろ! と言わんばかりにシズクが飛び出していった。行動が頼もしいよ姐さん!! 


 シャークくんに乗せてもらって再び水中に入り、潜ってもらって様々な水棲の聖獣と泳いでいる黄金の龍の写真を撮影。意気投合したのか、ペンギン達と泳ぎのパフォーマンスをするシズクの映像も撮れてホクホクである。


 ゆったりと水中に潜ったシャークくんの上で、鮮やかな海の世界を堪能する。この動画は切り抜きを作って、広報用にツブヤイターにでも載せればバズるんじゃなかろうか? すごい綺麗だし、魚やペンギン、泳ぐ黄金の龍にまるっこいアザラシ達……と、絵面は最高である。


 5分くらい延々と綺麗な景色の中で泳ぎ続ける映像を無言で撮って、ふうと息をついた。海の中の音も静かだが、ときおりシャークくんのクォォォンという歌が聞こえてきたり、音声的にも癒し力の強い映像が撮れたと自負できる。


 これを流しながらお布団に入ればよく眠れそうだ。


「ケイカちゃん、そろそろ夜だよ」

「分かりました」


 海の中まで暗くなってきたので、凍りついた陸に上がって伸びをする。

 世界観的にはだいぶ寒い場所だが、ゲームであるために快適なひとときだった。


 ただ、アインさんはアカツキに服を乾かしてもらってちょっと寒そうにしているので、ここらが潮時だろう。日も暮れてきて、すっかり夜になってしまったので予定通りここで切り上げて帰ることにした。


 最後に少しだけ夜の景色を映像に収めて、自宅へのワープを選択する。

 竜宮城でお題の写真もしっかり撮ったし、寄り道も堪能できた。とっても充実した日だったなあ。


 オボロと仲良くなったキツネさんと、めちゃくちゃ名残惜しく思いながらバイバイと手を振る。


 真っ白だけど、尻尾の先だけ墨がついたように黒いキツネさんは一声だけ鳴いて、ゆらりと尻尾を揺らしていた。


 次に同じ子に会えたら、もしかしたら連れて帰るかもしれない。


 そんな予感を抱きつつ、私達は緋羽屋敷に帰還するのだった。


【情報解禁】


神獣郷オンラインのコミカライズ第二巻の発売が4月15日に決定でございます!!


表紙や特典などはこれから公式サイトのほうで徐々に明かされていくこととなりますので、楽しみにしていてくださいな!!


また、Amazonさんではすでに予約も開始しているようですので、ご予約のさいはそちらにどうぞ!!

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― 新着の感想 ―
[一言] >キツネがくわえていてのは、足のようなものが生えてジタバタとしている骨つき肉だった。  つまりこうですね。  ┌(┌ ^o^)┐骨付き肉ぅ……
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