エレガントとは(哲学)
「今です!!」
いっせいに大きい子達がハロウィンの悪魔にのしかかりに行く。
怖い存在は物理で対処! これが正義だよねやっぱり。
『発想が脳筋のそれなんだよなあ』
『エレガントとは(哲学)』
エレガントとは、スマートに物事を鎮圧することと見つけたり……かな。
『鎮圧って言葉を使ってる時点でなんか違うんだよ』
『スマートなのは一応認めるけど』
普通にイベントをこなそうとする人ならば、きっとアインさんの依頼も一体一体頑張って対処するのだろう。それこそ、四天王を順に対策を立てて攻略する勇者のごとく。
だが私はそんなことしない。
私はゲームをやるにしてもレベル差で上から圧し潰すことが多い。ストーリーでの戦闘ではそうやってさくさくして、寄り道をめちゃくちゃ頑張るような、そんなプレイスタイルなのである。
もちろん、正解があるならイベント戦闘は正解を導き出すまでちゃんも頑張るけどね。ミズチ戦やライジュウ戦のときのように。
このプレイスタイルは神獣郷でもよく現れていると言っていい。イベントやストーリーミッションの際は、なるべく正解を引けるように行動を選んでいるつもりだ。本心と真逆なことを言うなんてことはないが、それっぽい答えを軽くロールプレイすることはある。
けれど、寄り道である聖獣との触れ合いや畑の拡張、NPCとの積極的な交流、フィールドの散策や写真撮影などのほうが割合は大きい。
熱意の差はそれほどないが、なんというか……ストーリーはちまちま進めて、他のことは無限にやっていられるというか。こうした期間限定のイベントでもないと延々とこの子達と交流してわちゃわちゃしてるだけの日ができたりするというか……うん。
ゲームやってるとクリアへの道からは脱線したことばかりやっちゃうのとか、ゲーマーならあるあるだよね……? いきなり不安になってきた。
コメントからの同意の言葉をもらって安心しつつ、ザクロ達にどっすんと潰されて逃げられなくなったオバケちゃんの回収をする。
哀れ……ただの布になったオバケちゃんは、アインさんが丁寧に畳んで回収した。本当はただの布になる前に、ザクロとプラちゃんの下敷きになってジタバタ暴れている無駄に綺麗な生足とかが見えていたわけだが,気にしてはいけないところである。まあ、アインさんしか布にすることができないからね、仕方ないね。
……にしても、ザクロが押さえて上からプラちゃんが締め付けてるの……なんかいいな。圧し潰されたい。巻かれたい……ザクロはちょっとかたくてあったかい皮膚なんだろうし、プラちゃんに巻かれたらひんやりしてるんだろうなあ。
って。
「……は!? なんだか今、危ない扉を開きかけていた気がします!」
『それ以上変な扉を開いてどうすんだよ』
『今でも十分危ないのでは? 共存者はいぶかしんだ』
『すでに開いてるんだよなぁ……』
うん、三者三様の認識でよろしい。泣いてもいいですか? ダメですか、そうですか。
一番潰されたいのはアカツキとオボロだけどね。柔らかそう。ジンもそうだ。おっきい状態で寝ている彼らのお腹にダイブしたい。ダイブして吸って嫌な顔をされたい……。
「あの、ケイカちゃん大丈夫……?」
「大丈夫です。さて、このあとは海のほうへ行きましょう」
本日は十三日目。
あと一人のオバケを見つけ、お題もこなしたい。
「今日のお題は海なんだっけ?」
「違いますが、ちょっと似ています」
あと一日あるし、オバケのほうは多分間に合うだろう。
だから今日は……。
「お題は水中遊覧……竜宮城へ案内しますよ。まだ連れて行っていませんでしたし」
久しぶりに海の中へゴー! だ。
短くてごめんね。




