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信じてましたのに!!

 今日は九日目。

 本日、私達はある人を屋敷に招いていた。


「おはようございます」

「おはようございます、リリィ!」


 そう、今日も彼女と会っているのである。

 なぜかというと、前回のお題と同様に今回のお題が理由である。


 お題は『ドラマチック』の一言。


 かつては敵対関係で、現在は親友となった私と彼女の関係をこそ、ドラマチックと言ってもいいと思うのだ。


 もちろん天楽の里の子達とか、それこそ『ドラマチック』を地で行っていたペチュニアさんシルヴィペアでもよかったのだが、二枚連続で、それも裏で時間軸が進行して関係が進展した写真を撮るというのもなかなか乙なものじゃないだろうか? 


 アインさん達関連の写真はもう撮ってしまったことだし、思い入れの深いリリィといっぱい写真を撮るというのもいいことだろう。というか、ぶっちゃけ私がリリィのことを好きすぎるだけである。


「えと、昨日撮ったのは対決のときでしたわね」

「そうそう、だから今日はみんなでのんびりとした平和な写真を撮りましょう」


 昨日撮ったのは、シズクを寄越せと言うリリィに対して私がオボロに乗って攻撃を仕掛けたときの一場面。扇子を振りかざし、一発殴ろうとする……フリをしたときの。


 そして、臆病な勇気を振り絞って立ち向かったこっとんと、こっとんの想いにようやく目の当たりにして向き合うこととなった、リリィの前に向くための起点のストーリー。


 敵対して、説得をして、泣き崩れ落ちることとなった彼女のストーリーの一部を切り取ったもの。


 だから今日撮るものは、その後の彼女達だ。

 私と仲良くなって、親友のようになって、いろんなときに頼って、頼られて、助けて、助けられた。


 そんな仲を表すような素敵な写真。

 と言っても。


「さあ、総出でバーベキューです!!」


 ただみんなでわいわい騒ぐだけなんだけどね? 


 今日来ているリリィのパートナーは、こっとんだけではない。

 私がスカウトを手伝ったムームーパンにクワックベリーもいる。それぞれミルクとお手製のベリージャムを手土産にバーベキューに参加してくれているのだ。


 もちろん、お肉とかは畑で採れたり樹木に成っていたりする謎肉なのでご安心を。聖獣達産の肉とかはこの世界にはありません。


 鉄串にお肉やら野菜やらを刺して次々と焼いていく。

 アブラが滴り、じゅっと一瞬だけあがる炎にアカツキがテンションをあげるという謎の行動をしたり、オボロがひゃんっと鳴きながら逃げたり……リリィが持ってきたパンにクワックベリーが作ったジャムをつけて食べたり、ただひたすら平和に楽しむ風景。


 笑顔でリリィと隣り合い、あれが美味しい、これが美味しいと言いながらお互いにお皿に料理をとったり、果物を収穫してくるねと言い残して果樹園に向かいそうになったアインさんを二人で止めたり……。


 のんびりとした、ムームーパンという名の牛の背中の上に、ネズミよろしく乗っかってドヤ顔を決めるジンにほっこりとしたり、リリィが来る前までに十分な量の果物を収穫していたレキにより、リリィへのお土産の包みが用意されたり……。


 雰囲気に酔ったプラちゃんとシャークくんが葉と砂でパフォーマンスをやり出して、見かねたシズクが局所的な雨を降らせて砂埃を鎮めたり……。


 バーベキュー用の網の上に宝石を乗せたザクロがレキに叱られたり……。


 まあいろいろあった。

 みんなで笑って、お話しして、すっかりわだかまりなんてなくなったことを表現するように、全力で楽しむ。


 それぞれが得意な料理を持ち寄ってこうして楽しむということが、どれだけ素敵なことか分かるひとときだった。


「ケイカちゃん達、写真の構図は決まった?」

「そうですね、背景でバーベキュー楽しんでるみんなの前でツーショットでもしますか?」

「いいですよ? 仲良く撮りましょう」


 きっと、リアルの友人同士で似たようなことをやっても楽しいのだろう。なんとなく明るいタイプの人達がバーベキューやりたがる気持ちが分かったかもしれない。

 でも現実ではあんまりやる気は起きないかも? だって、ゲーム内なら片付けなんて考えなくてもいいけど、リアルだと片付けまでがワンセットでついてきちゃうからね。


 リリィはこっとんを片腕に乗せ、私はアカツキを肩に乗せている状態で前に立つ。


 他のパートナー達は、全員バーベキューを自然体で楽しんでいる姿を撮るため、あえてポーズ指定などはせずに、けれど私達の背後にいるようにしてもらう。


 それから、カメラを構えるアインさんに対して「それじゃ、せーのでポーズを決めましょうね」と言って私は片手でハートのカケラを作ろうと練習する。ふふ、練習しているところを見ればリリィも自然と私がなにをしたいのか分かることだろう。なにせ親友だからね! 


「せーの」

「せーの」

「はい、チーズ」


 ……ピースしているリリィの隣で、一人むなしくハートを作るつもりだった私の図が撮れてしまった。


 し、親友……!! 

 信じてたのに!! 勝手に思惑を汲み取ってくれると考えてたのは私ですけど!! あまりにも!! 浅はかだったのは!! 私ですけども!!



 悲しいなあ……。


 なお、これはこれで面白かったので採用されたもよう。

 視聴者人気もあって、撮り直しはなしとなりました。ちくしょう……。

コミカライズから来て二日で追いついた人がいる……だと!? ありがとうございます!!

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― 新着の感想 ―
[一言] 尊いッ!!!!!(鳴き声)
2022/02/12 23:46 名無しのケイカファン
[良い点] 更新お疲れ様に御座います。 リリィさん期待を裏切ってくれて有難う御座います。 アインさんもたまには写る側になって欲しいですね。
[一言] 更新お疲れ様です! >というか、ぶっちゃけ私がリリィのことを好きすぎるだけである。 ここに百合の花畑を作ろう(即死 あぁー……もうこれ最初期からのファンは尊さで死んでるんじゃないですかね………
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