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【漫画単行本4巻発売中】神獣郷オンライン!〜『器用値極振り』で聖獣と共に『不殺』で優しい魅せプレイを『配信』します!〜  作者: 時雨オオカミ
初イベント!『キャンディ・ピニャータ・パニック!』

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大嵐の中心に二色の鱗、舞うは風雅な龍神


 ――――――


 和種転生進化の条件を全て達成。

 個体名【シズク】は龍神種、【蛇龍(じゃりゅう) 一目連(いちもくれん)】へと進化が可能です。

 進化しますか? 


 ――――――



 イエスを押した途端、腕の中のシズクが光に包み込まれる。


「シュルルルガァァァァァッ!」


 そして、空に向かって光の柱が立つように大蛇の姿がより大きく、それこそ森の木々よりも高く大きさを変える。


 光の中から二本のツノが見えた。黄金色に輝くツノと、顔の先からまるで脱皮していくように進化の光がキラキラと散っていく。


 名前から一つ目の龍だと思っていたけれど、顔の横についた瞳は黄金で、額についた青色と金色が混ざり合う宝石が雨の中だというのに光を反射する。

 龍らしく上半身についた小さな両腕と、そこから流れるように広がる羽衣のような飛膜。背中にも続く衣が神風に揺られ、風雅にはためいていた。


 顔先から体の半分にかけて金色の鱗になっていて、ところどころ元の青色の鱗が垣間見える。そして下半身に向かってグラデーションするように青色の鱗へと変化している。


 そう、まるで青色の体から、金色の体へと脱皮して生まれ変わろうとしているかのよう……。


 それから、胴体には龍の両腕を通した大きく太いしめ縄が巻かれていて、ちょうど背中の辺りでリボン結びになり、残りが下へと垂れている。先のほうに神社にある大きな鈴がついていて、より一層『和』を感じさせる。


 まぶたの上からは触角のようなものが生えていて、それが風とともに浮遊している。尻尾は先のほうが扇子のようになっていて、金と青のコントラストがまさに『美しい』としか言いようがない。


「シズク……きれい」


 シズクが私を見下ろす。

 正面を向いたその瞳はひどく優しげだ。額の宝石が一つ目のようにも見えるし、右目が深い青色、左目が顔の鱗とまったく同じ色の金色のオッドアイで、それが一つ目を表しているようにも見える。


「ルルルルルルァァァァァォ!」


 その声さえももはや天上の音。

 大嵐の中、風も雨も、それこそ雷もすごいのに視界はそれほど酷くはない。

 それはシズクが味方だからこそ、だ。敵のピニャータ達にはひとたまりもなく、そのままリザルト画面が目の前に現れる。


 この嵐だけで、天候だけで強敵を一瞬で倒してしまった。


「これが、神獣?」

「いや、まだ聖獣だよ」


 ユウマの声に振り返る。耳をおかしくしていたコウモリはべしゃっと地面に落ちたあと、強風と雷で倒されてしまったので、すっかり聴覚も回復している。


 そして、倒し終われば嵐もすっかり止んで木漏れ日が差し込んできた。嵐のあとに日が差すというのも、なかなか神々しくて素敵だ。


「あれでまだ聖獣なんです……?」

「うん、龍神種だけど、多分まだ先がある。確か公式情報で、神獣への進化は最短で三回目って言ってたからね。今二回目でしょ?」


 ルナ・アクア・サーペントからルナ・アクアマリン・サーペントに。そして今、一目連という名の一つ目の龍神様へ。


「そ、そうですね。なら、あと一回……」


 いったいどんな風にこの子が神獣へと至るのか、それが今から楽しみだ。


『綺麗』

『まさに龍神』

『神々しすぎる。拝んでいい?』

『今のうちに拝んどけ』

『信仰します』


 この調子だと、信仰度もどんどんうなぎ上りに上がっていきそうだね。

 嬉しい。


「シズクぅ!」

「シュルルァールルゥ」


 頭上から大きな頭が降りてきて、私に優しく頬擦りをしてくる。そんな健気で可愛らしい仕草に、私は思わずその鼻先を抱きしめた。


「だい……すきぃ……!」


 すりすりすり。鼻先を感極まりながら撫で回して、最後に小さくキスをする。

 シズクはそんな私に目を細めて口元に笑みを浮かべる。嬉しそうだ! 


『ぐふっ』

『(致命傷)』

『グッホァ』

『REC』


 コメントは気にしない方向で。


「えへへー」

「それくらいにしとけよ」

「え、どうしてです?」


 ユウマの言葉にむすっとしながら返していると、思い切り膝の裏に衝撃を受けて膝カックンされた形になりながら「ぐえっ」と女らしからぬ悲鳴をあげることになった。


「誰です!?」

「ニャー!」


 足元を見ると不満そうな顔をするジン。

 あっ、と思って周りを確認しようとすると、オボロが私の腰に突っ込んできてまた悲鳴をあげた。


「オボロッ!? そのおっきい体で突っ込んできたら潰されっふぎゃあ!」


『愛が重い』

『そりゃ嫉妬されるでしょ』

『ねー』

『さっきの大好き発言何分耐久にする?』

『10分で頼む』

『無許可で音声素材が作られてて草』

『アカツキは? 一番ムッとしてそうなのに』


 コメントで気がつき、オボロに押し倒されてベロンベロン顔を舐められながらなんとかアカツキの姿を探す。

 アカツキはみんなから離れた場所でそっぽを向いていた。凛々しい顔で『気にしてませんよ』みたいな素振りで。でもときおりこちらをチラリと見るものだから、どう思っているかなんて歴然としている。


 リーダーだから寛大(かんだい)でいるのだと言わんばかりの態度に、私はなんとかオボロをどかして起き上がり、彼のもとに向かう。


「アカツキー!」

「ク!?」


 そして無防備に彼の懐へとダイビング! 

 慌てて翼で受け止めて困惑の表情をするアカツキに、ぐりぐりと羽毛の感触を楽しみながら抱きしめる。


「いつも遠慮してくれてるんですね。ありがとう。もちろん、みんな、みんな大好きに決まってます!」

「クー……」


 照れ臭そうにぷいっと顔を逸らすアカツキに、くすりと笑った。

 四匹もいて、私は幸せだけどみんなを平等に愛するのって、とっても難しいんだなと痛感する。


 これからはちゃんとこの子達の気持ちも考えないと! 

 でもそれはそれとして、シズクの進化祝いもやりたいからね! 


「ユウマ、このままみんなでお料理を作ってご飯にしましょう? お祝いもかねて! ……さて、ですから、これよりこの放送枠は一旦切って、数分したらまたほのぼのゆったり枠で配信を開始します。もうちょっと待っていてくださいね!」


 前半はユウマに。後半は視聴者に言葉をかける。


「それでは、またのちほどに!」


 そして配信を切って、リザルトを確認。既にキャンディの数は一万を軽々と超えている。キャンプしたら一度街に戻って、鳳凰さんに会いに行ってみるべきかもしれない。


「イベントって楽しいですね!」

「そう? それなら……このゲームに誘ったかいがあったよ」


 穏やかな顔で笑うユウマに感謝する。


 この日の配信映像が過去最大の再生回数になったのは、ある意味当然のことかもしれなかった……。


タイトルに悩んで遅くなりました!

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― 新着の感想 ―
[一言] 日本昔ばなしプレイができそう ぼうや~
[一言] だい·····すきぃ·····!
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