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【漫画単行本4巻発売中】神獣郷オンライン!〜『器用値極振り』で聖獣と共に『不殺』で優しい魅せプレイを『配信』します!〜  作者: 時雨オオカミ
初イベント!『キャンディ・ピニャータ・パニック!』

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シークレットピニャータの発生

「ねえ、ユウマ。その爆発ってどうして起こるんです? 私はそんなことになりませんが……」


 動物型のピニャータ相手に無双する聖獣達を眺めながら、そう問うた。

 共存者である私達の出番は正直、あまりない。ときおり舞って全体バフをかけ直すときくらいだろうか? 


「んーっと、まず前提なんだけどさ。霊術スキルってどんなに上位でSPコストの高いものでも、ステータスの霊力に1でも振ってればちゃんと使えるんだよ。だけど、極振りしてるとそうもいかない。攻撃系の上位霊術は本来使えないんだよね。それに、取得もできない」

「うん」


 シズクが通りかかったウサギのピニャータに巻きついて、そのままギリギリと締めつけて倒し、キャンディを回収する。絵面だけ見るとちょっと凶悪だ。


「敵に影響を及ぼさない、自分達にかける霊術ならステータスの霊力ゼロでも使えるんだけど……メテオって元々SPもたくさん使うし、威力も高くてそれだと大失敗するんだよね。幸いなのは指定先で爆発してくれることくらい?」

「でも、本来取得できないんでしょう?」

「うん、でもひとつだけ抜け道がある」

「抜け道?」

「キャラクタークリエイトのときに、ランダムでスキルをつけてもらうことだよ。あれは本当にランダムだから、産廃スキルも普通にくっついたりする。でも、僕が手に入れたのは産廃どころじゃなくてすごく有用なSSRのスキルだった……僕に1でも霊力があれば有用……って話だけど」


 なるほどね、使えなければ有用なスキルも意味がない。だから使えるように工夫した結果が……爆弾魔と。それはそれでどうかと思うけど。


「爆弾も手作りだし。ほいっと」


 上空で飛んでいるピニャータが爆発した。

 器用値もゼロなくせに正確なコントロール。多分この辺も聞けば答えてくれるんだろうけど……ある程度動画で知られている相手とはいえ、私だけ根掘り葉掘り聞くのはフェアじゃないのでここまでにしようかな。


「ジン、経験値をいっぱいもらいなさいね」

「みゃん!」


 普段、スカウトで不殺しているせいか最初は抵抗があったものの、ピニャータは作り物()()()動きがぎこちないし、生きている動物っぽくないほどにカラフルだ。全身虹色みたいなピニャータも存在するので、さすがに聖獣と間違えることもない。


 聖獣自体がピニャータ狩りを楽しんでいる節があるし、テーマパークで子供が遊ぶノリに近いのかな? 


 たまに本物の聖獣も出てくるので、そのときはユウマに下がってもらって全力スカウト! 本来の不殺プレイも同時に楽しんでいる。

 ただ、やはり出現率はピニャータのほうが高いよね。


 と、二人とそのパーティで森の奥を目指して進んでいたそのとき、視界にワールドアナウンスが流れた。




 ――――――


 シークレットピニャータ、『不可視の大泥棒』が現れました。

 シークレットピニャータ、『蠱惑の幻影』が現れました。

 シークレットピニャータ、『連携断ちの羽音』が現れました。


 ――――――




「これって」

「敵性の強いピニャータって言ってたやつだね。一定時間で現れ始める仕様だったのかな?」


 私の言葉にユウマが考察を重ねる。多分その通りだろう。

 ワールドアナウンスが出たということは、そろそろ本気で気をつけなければならない。


「不可視……ね」


 ポツリと呟いて、シズクを手招きする。


「しゅるる」


 そしてペット化アクセサリーで彼女だけ小さく戻し、首に乗せた。万が一があったら困るから、シズクが私になにかいると(しら)せやすい状態にしておくのだ。

 感覚共有は両目がサーモグラフィーになって、視界が塞がれる形になるので常に展開しているわけにもいかない。


 こうすることで、なにかいたら尻尾で首をトントンとつついて教えてもらうのである。


「警戒しながら進みましょう」

「うん」


 私達はそうして、交戦する気満々で更に奥へ奥へと足を進めるのだった。

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