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【漫画単行本4巻発売中】神獣郷オンライン!〜『器用値極振り』で聖獣と共に『不殺』で優しい魅せプレイを『配信』します!〜  作者: 時雨オオカミ
四匹目!『高原を駆ける雷皇―ライコウ―』

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君のために勝利をこの足に!

 ━━━━━━


 聖獣判断の進化が行われようとしています。

 許可をしますか? 


 ━━━━━━


 アカツキのときと同じく――再び現れたそれを迷いなく選択する! 


「アオオオオオオン!」


 オボロの吠え声と共に眼下が光に包まれる。掴んでいるオボロの毛並みがざわりと揺れた。ふわふわの毛並みがより長く、下から風に流されるように広がっていく……進化の光のエフェクトが散ったその瞬間、そこに走っていたのは巨大な白い狼。


 車一台よりも大きなその体躯が力強く地面を踏み締める。

 ぐんっと上がったスピードに自然と笑みがこぼれ落ちた。




 ━━━━━━


 種族: ラピッド・ヘイル・ウルフ


 ━━━━━━


 ――素早い(あられ)の狼。

 柔らかい雪から硬い霰へと、雪属性の中でも恐らく種族的に強くなっていると思われるその名前。

 片手でオボロの背の毛を掴みながらメニュー操作をして確認したその名前と、眼下のオボロの姿をしっかりとこの瞳に焼き付ける。


 そして、進化おめでとうの心を込めて叫ぶ! 


「さいっこうですよオボロ! 素敵です……! あなたはとーっても綺麗で最高に格好いい女の子ですよ!」

「ウルォン!」


 元気の良い返事と共に、横並びになっていたライジュウを抜き去っていく。


 同時に、走るたびに動く細かい振動が、伸びた手足の分だけ柔らかく、受け流しやすくなる。(くら)もなしに器用さだけで乗っているようなものだが、そんなものをつけたらスピードに支障が出るだけなので、きっと今後もつけることはないだろう。


 落雷の青い予告線が走ったその次の瞬間にはしっかりと避けて、雷の衝撃を後肢(こうし)に受けながらさらにスピードを上げる。そんな芸当まで器用にしながらどんどんライジュウを引き離していき……長い長い3分間が終わりを告げた。


 がさりと茂みをかき分けてボス戦フィールドに戻り、ザザザと土埃をあげながら停止してライジュウが帰ってくるのを待つ。

 アカツキとシズクは帰ってきたオボロが大きくなっていたので少し驚いていたみたいだけど、歓迎するように二匹とも寄ってきた。


 今回、レースにオボロを選んだのは単純な理由。

 アカツキだと上空から簡単にライジュウを抜けるだろうけど、その代わりに予告線が出てから落雷が来るまでのタイムラグがさらに短くなって反射的に避けづらい。それにアカツキは器用特化であって素早さにはほとんど振っていない。シズクは水中から邪魔をされずに泳いでレースすることが可能だろうが、どこかに落雷がきたら確実にダメージが入る。


 一番可能性があったのが、オボロだった。

 そして、オボロはその可能性を見事に掴み取ってくれた。


 緊張しながら数秒経ち、ライジュウが現れる。


「グルルルル」


 そして、電撃に塗れてよく分からなかったライジュウの顔がほんの少しだけ見えやすくなる。苛烈な電気が収まってきたからだ。それだけライジュウの心に変化があったということで……。


 ――イイ、ショウブデ、アッタ。カンシャ、スル。


「ふあっ!?」


 思わず変な声が出た。

 あれ!? 聖獣言語とってないのになぜに!? どうして!? 


 ライジュウは瞳に理性の色を取り戻して頭を下げると、目の前にシズクのときと同じく『聖獣ライジュウはあなたに力を貸したいようです』のメッセージが現れる。迷いなくイエスにしておきつつ、先ほどの言葉がなんだったのか、混乱しながら答えを求めて配信中に流れるコメントを見に行く。


「あのあの、聖獣言語持っていないのに言葉が分かっちゃったんですけど、どういうことか分かるかたはいらっしゃいます?」


『高原はまだだからなー』

『持ってないんだ』

『意思疎通できてるからてっきり持ってるものとばかり』

『おつー』

『オボロちゃんおめでとう!』

『あー、多分それ聖獣側が人間の言語話すスキル持ってるとかじゃないの?』

『熱くいい勝負だった』

『やっぱおもしろいわ』

『でもどうせなら配信する時間を事前告知してほしい』

『分かる。そこはちょっと不親切』


 一気に流れてきたコメントに、内心すごい人が来てる!? と驚きながらも、疑問の答えとなるものを見つける。


「なるほど、ライジュウが言語能力スキルを持っている可能性ですか。納得しました。びっくりしたー。あ、あと時間に関しては申し訳ございません。計画的に配信できるようにしますね」


 いつも配信始めるのが突発的なものだからなあ。

 そりゃあ、言われちゃうよね。今後はちゃんと告知しよう。


「そ、それじゃあ……えっと、四匹目……」


 ライジュウが宝玉を口にくわえて私に手渡してくる。

 それを受け取れば契約成立。電気に包まれたライジュウがどんどん小さくなっていき……猫サイズになったあたりで光のエフェクトが散っていく。


「なあん」

「かっ」


 足元にすり寄るのは三毛猫ちゃん。

 しかし尻尾の先が雷模様のように曲がっていて。耳の先が少しだけ白い。手足は黒い毛並みで、普通の猫っぽいのは胴体とお顔だけ。


 可愛らしく鳴いたその子の体に、紫色の電気がパチリとまたたいた。


「可愛いっ!」




 ━━━━━━


 名前: 【  】

 種族: 【紫電】ライトニング・キティ

 属性: 雷

 レベル: 1

 体力: 100

 S P: 55


 ステータス:

 力: 5 防御: 5 敏捷: 40 器用: 5 霊力: 5 幸運: 40


 状態: 健康

 感受性: 10

 信頼度: 10

 忠誠度:10

 信仰度: 0


 スキル

【白虎の加護Lv1】【ライトニング・ブロウLv1】【ライトニング・ステップLv1】【パラライズ・ネイルLv1】


 ━━━━━━




 ステータスも簡単に確認して頷く。この子は男の子か。って、三毛猫の男の子ってすごい珍しいんじゃ……? まあいいや、それはそれとして。


 さて、お名前は……。


「君の名前は――迅雷から、『ジン』で!」


 はじめて、配信しながらの名付け。緊張の瞬間。

 ジンはきょとんとこちらを見つめて、それから嬉しそうに「なあん」と鳴いていた。


遅れて申し訳ございません!

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― 新着の感想 ―
[良い点] ジンをゲット! 次はウォッカなのかな!?(確実に外れる予想を書いておく)
[良い点] 三毛猫のオス!!!幸運の象徴で、航海の無事を祈願して船に乗せるんですよ。 つまりこの先良いことがあるんですね。 オボロちゃんの進化おめでとうございます。 ではお祝いの言葉を「ほよよ!」 …
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