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【漫画単行本4巻発売中】神獣郷オンライン!〜『器用値極振り』で聖獣と共に『不殺』で優しい魅せプレイを『配信』します!〜  作者: 時雨オオカミ
四匹目!『高原を駆ける雷皇―ライコウ―』

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君のために勝ちたい!疾風怒濤のライジュウレース!

 ライジュウとのレースと判断した理由は二つ。


 ひとつ。ライジュウは微妙に荒れているように見えるとはいえ、一直線にならされたコースを走っていたこと。このゲームは魔獣でさえAIが発達しているため、オフゲーのように一定の行動しかとらないというのはありえない。


 ふたつ。何度も何度も、それこそずっとこの高原に入り浸っているはずのルナテミスさんがギミックに気がつかず、しかし私がミズチ戦を終えてからはすぐに気がついて速攻クリアしたこと。


 特に後者だ。

 ルナテミスさんのことだから、絶対に何度もボス戦を行なっている。それこそ、確実にボスのスカウトが成功するまで何度も何度も、だ。あれだけ猫を収集していたのだから間違いない。


 それだけ何度もボス戦をしている人が条件を満たせず、今まで気がつかなかった条件があるとしたら……ボスがコースを走っている間一切の攻撃を加えず、走っている間の行動やコース上のビックリ・トレント達からの攻撃の一切を無視して、何秒以上ボスより優位に立ってコースを走り抜ける……とかしか思い浮かばない。


 ボスを追い越して攻撃を加えるとか、スキルでスカウト攻撃をするとか、追いかけながら取れる行動はあるが、なにもせず無視して追い越すだけなんてことを、仮にも攻略をしに来ているルナテミスさんがやるとは考えにくい。


 通常通り倒すなら追いかけて攻撃をするだろうし、ただ撃退をするだけなら場外に出ているときは休憩タイムになるだけ。


 事前にギミックがあると知らなければ意外と気づきにくい仕掛けなのかもしれない。


「ゴー! オボロ、【アイシング・ブレス】! 練習通りに行きますよ!」

「アオオオオオン!」


 走り出したライジュウを、敏捷が上がった状態のオボロに乗って追いかける。

 そして、オボロは指示通りにして、白いキラキラとした煙を口からぶわりと吐き出し目の前十メートルほどの地面を平らに凍りつかせた。


 それからは速い。


 普通なら上手く滑ることなどできやしないだろう。

 けれど、オボロは雪属性。氷の上は彼女の独壇場(どくだんじょう)! 


 要するに。


「【アイシング・ブレス】は地面に放てば失敗扱いとなりますが、ちゃんとその場が凍ります。しかし霊力こそ消費しますが、クールタイムは発生しないいわゆるぶっ壊れスキルというやつです。どうです? そんなぶっ壊れスキルを、ただアイススケートするためだけに使用しているこの、平和な利用法!」


 そう、相手が素早く、スピード勝負になるならばこちらも土俵を整えればいい。素早さがぐんぐん上がるようにして器用に氷の上を滑り、コースを【アイシング・ブレス】で制作しながら数十秒ほどでライジュウを追い越した。


 やはり、ライジュウは後ろから攻撃を仕掛けてくることもない。

 しかしその代わりコースを覚えていないといけないし、途中でビックリ・トレント達が遠くから実を投げてきたり、上から雷が無数に降ってくる地帯を通り抜けたり、道筋の上を岩石がごろごろと降ってきたりする場所を上手く障害物を避けながら走り抜けていく。


 途中で【疾風の舞】をかけ直して敏捷の強化を継続し、倒れた枯れ木を軽々と飛び越して、背後に迫るライジュウの息遣いを聞く。二分くらいはずっとリードしっぱなしだ。条件が何秒リードすることなのか、はたまた別の条件があるのか分からないけど、ここまできたら最後まで抜かれることなく勝ちたいよね! 


「くっ、速い……さすがライジュウです」


 雷といえば速さのイメージもついてくる。だからスピード勝負のギミックなのだろう……これがギミックだとは確定はしてないけど! でも絶対これだと思うんだよね。


「ウウウウ!」


 オボロの背で霊力丸(れいりょくがん)の入ったビンを割り、オボロの霊力を回復させる。ずっと同じスキルを使いっぱなしなので、三分ほどのコースとはいえど霊力消費量は異常なくらいだ。


 最後の直線。

 走り抜けようとするオボロに、ライジュウが横並びに近い位置にまでやってきた。それを横目に焦っているのか、オボロは舌を出しながら息を切らせて死に物狂いで走る。けど、ライジュウがどんどん迫ってくる! 


「私が重いから……? でも人間が勝たないと意味ないだろうし……」

「ウガウッ!」


 違う、と。その鳴きかたは「自分の実力不足だ」と、そう言っている気がした。


「グウウ、ウォンッ!」


 もっと、もっと力がほしいと。叫んでいる。

 オボロが、この勝負に『今』勝ちたいと、叫んでいるのだ。


 もしかしてこれは――。




 ━━━━━━


 聖獣判断の進化が行われようとしています。

 許可をしますか? 


 ━━━━━━




「そっか、もっと速くなりたいんですね。私のために。ありがとうございます、オボロ」


 必死にライジュウを振り切ろうとする彼女を見下ろす。

 私のために、勝利を確実に掴みたいと願うオボロの想い。受け取らない道理はない! 


「オボロ、進化です!」


 迷うことなく、私はイエスを押した。

感想は読ませていただいております!

返信は今夜できたらいいな。

それと、四匹目来そうなので今夜に章タイトルを四匹目!からなるものに差し替えます。

イベント先にやろうとしてましたけど結局四匹目揃っちゃいそうですし!

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― 新着の感想 ―
[良い点] 多分拳でイエスを叩き割ってるんだろうな……
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