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【漫画単行本4巻発売中】神獣郷オンライン!〜『器用値極振り』で聖獣と共に『不殺』で優しい魅せプレイを『配信』します!〜  作者: 時雨オオカミ
三匹目!『清らかなる絶対王蛇!』

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ピンク・ムーン・ラビット

 ぴょんこ、ぴょんこ。

 ぴょんこ、ぴょんこ。


 可愛らしいピンク色のウサギさんに連れられて裏口に回った私は、ウサギさんがペットドアになっている下の部分から店のバックヤードに入っていく様子を見守る。


「シズク、ピット器官発動」

「しゅるる」

「『感覚共有』……」


 シズクがスキルを使って扉をじっと見つめる。

 私もそれにならって感覚共有のスキルを発動させると、視界がサーモグラフィーのように切り替わる。実際のピット器官の見えかたとは違うだろうが、確かにこのほうが分かりやすいかも。


 扉の向こう側に体温の高い、ウサギ型の暖色が見える。

 ウサギさんはぴょんっと跳ねて扉の取手の部分だろうか? それとも鍵の部分? そのあたりを大きな後ろ足で蹴っ飛ばそうとしている。

 そして数十秒ほどで、扉の向こう側からカチリと鍵の開く音が響いた。



 賢いなこの子……と実感しながら扉をそっと開ける。

 すぐそばにはウサギさんの反応だけ。ずうっと奥のほうに店に続いているだろう扉っぽい縁取りがある。店のほうは暖かいらしく、奥の扉を縁取るように温度の変化があるのだ。


「お邪魔しまーす……」


 こうしてウサギさんが案内してくれるということは、聖獣自身もパートナーが悪に手を染めているということが分かっているからなのだろう。友達が間違った道に行っていたら、連れ戻すのもこの子達の役目なんだろうね。


 暗い中、そっと慎重に進み辺りを見回す。

 ちょっと広めの部屋で、オボロもアカツキも足音をなるべく消すように歩いている。ときおりカサリと音が鳴って飛び上がるように驚くが、書類みたいなものが下に落ちているから……みたいだね。


 目の前がサーモグラフィーのままだとさすがに見えづらいので、感覚共有を解いてテーブルらしきものに近寄る。


 書類っぽいものに、学校で見たことがあるような実験器具。ビーカーに、テーブルの上に置いてあるツノのようなものと、すり鉢。それから大量の細長い和紙に……あの滝の上で見た、水差しとそっくりなデザインの、普通サイズの水差し。近くにはデザイン画と思われるイラストも転がっている。


 それから手探りに細長い和紙の山の中を探してみると、あのとき見た『獣退散』の文字が書かれたものも発見した! 

 アイテムボックスから、回収していたお札を取り出して見比べる……同じものだね。筆跡も多分一緒。


 証拠はバッチリだ。運営からのミッションだからか、こっそり忍び込むだけでいろいろ分かって助かるね。


 そういえば、あのウサギはどこに? 

 見れば、ピンクのウサギさんがじっと部屋の隅でこちらを観察している。店にいるときは観察眼で見ることができなかったが、よく考えれば今なら見放題だよね? 


 よし。


「ウサギさんの種類はなんでしょねーっと」




 ━━━━━━


【魔獣ピンク・ムーン・ラビット】


 ━━━━━━




「え……?」


 そんなはずは。

 もう一度観察眼でウサギさんを確認しようとしたとき、奥からギイッと、扉の開く音がした。

どこかへんなところがございましたらご報告よろしくお願いします!

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― 新着の感想 ―
[良い点] 悪いことをする人は笑顔でいるものです。 でも美味しそうなんだから仕方ないですね。 [気になる点] 「こちら水滴。潜入に成功した。次の指示を頼む」 「そのまま直進、目標まで距離5メートル…
[一言] 前回出ていた理性が残っている魔獣っぽいですね。むしろコイツが黒幕……? こうなるとブリーダーチャンネルの掲示板回で三日月兎とか狂化とか言っているのが気になってきますね……。
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