日頃の行いって大事だね!
隠し部屋から出てきて十数分。
私達は見事にお化け屋敷を突破して出口に辿り着いたのだった。
「は〜い、お疲れ様よ〜」
出口で待っていたのは、やはりサンゴさん。頭に鬼のツノカチューシャをつけてにっこりと微笑んでいる。
「スタンプお願いしまーす」
「はい、ぽんっと。お城に向かうかどうかは任意よ〜。でも、鬼楽の子達にご挨拶しておくと覚えてもらいやすいかも〜。のちのちに協力関係になるかもしれないから〜、仲良くなっておくといいわよ〜?」
……お城は任意だったのか。てっきり行かないといけないものだと思い込んでいた。ま、とにもかくにもちょっと疲れたことだし、お店に入ってひと休みしつつ、ご飯でも食べようかな?
サンゴさんと別れてお化け屋敷から出る。あー、シャバの空気は最高だな〜! そんな雰囲気! それに!
「見てくださいよ! この称号! 心清らかな聖女ですって! これでもうエレガントヤンキーからはおさらばですね!」
『審議中』
『ザワザワザワ』
『は?』
『(本気で言ってると思う?)』
『(いたって真剣に言ってると思う)』
『エレヤンからは逃れられないと思うけど』
『審議拒否』
『しょっちゅう散財してる聖女とか嫌だ』
『心清らか……?』
『優しいとは思うけど清らかではなくね?』
『悪役に借金して苗買ってたのは誰だっけ?』
『結論・心清らかな聖女 笑』
「いくら私でもしまいには泣きますよ!?」
いっせいに拒否られて涙目の私なのでした。
いくらなんでもひどくない? というか私に対して遠慮のかけらもなくない? 普通ファンってもっとこう……褒めてくれたりするものじゃないの?
『真実をお伝えするのもファンの務めでして』
『本人が勘違いしたままじゃ可哀想だにゃ〜笑』
「これストッキンさんでしょ! 分かるぞ!? ちょっと! なんてことを言うんですか! あなたにまで言われたら逃げ場がなくなるじゃないですか! あとルナテミスさんもひどすぎるぅ! 私に優しくないです!」
顔文字で審議したり「ねー?」って顔見合わせたりしながら視聴者全員が敵に回った。私に……私に味方はいないのか……?
アカツキを見る。視線をふいっと逸らされて「お手上げです」みたいな反応をされる。
オボロを見る。私と空中を視線で行ったり来たりしながら迷っている様子だったが、混乱が極まったのかゴロンとその場で横になって仰向けになる。ヘソが天に向いた服従ポーズ。お手上げ? ……そう。
シズクを見る。黙って首を振られた。シンプルにショック。
ジンを見る。首を傾げてよく分かっていない様子。それよりご飯食べに行こうぜとばかりに首元をうろちょろと飛び回る。
聖獣達でさえ味方じゃない……だと!?
『はい、結果が出たね』
『知 っ て た』
『誰一人認めてあげる人がいないの草』
シンプルに泣きそう。
ゲームの中で思いっきり号泣できたらこの場でやってそう。
「はあ……なんでこんなことに」
『日頃の行いが原因』
でしょうね!
日頃の行いでこれだけ変わるんだ。これからは気をつけよう。
……そこ、手遅れとか言わないで。悲しくなるから。
いじられつつ、私はお城の近くにある飲食店に入るのだった。
書こうとは思ってましたけど、感想欄でも否定されていて草生えた。
聖女のわりには俗物すぎるんだ……。




