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【漫画単行本4巻発売中】神獣郷オンライン!〜『器用値極振り』で聖獣と共に『不殺』で優しい魅せプレイを『配信』します!〜  作者: 時雨オオカミ
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攻撃無効化の特性は敵に回るとクソである

 ――――――


【『ツクモガミ』ペーパー・ドレイク】

 属性: ? 

 レベル:20

 体力:??? 

 SP: ??? 


※ 道具カテゴリーの存在のため、破壊しても殺害カウントは入りません。

 ――――――



 無数の白い紙でできたドラゴンが吠える。


 見た目は前肢(ぜんし)に翼膜がついたいわゆるワイバーンタイプだけれど、ずっしりと二足で立ってこちらを睨んでいる。翼膜にはギザギザのトゲのようなものがついていて、尻尾の先は刃のように鋭い。

 額からは鋭く頑丈そうなツノが二本生えていて、腹部には禍々しい口のような亀裂が入っている。


 見た目だけなら『魔獣』のように見えるが、さてどうだろう。

 まずは行動パターンを読み解きながらスカウト方法を探るしかない。


「みんな、散らばってください。撹乱しながら様子を見ます!」

「ウォン!」

「にゃおおおん!」


 パッと鳴きながら離れる二匹に、黙って体の大きさを調整しながら地面に降りるシズク。そしてアカツキがペーパー・ドレイクの背後に回り込み軽い火の粉でヘイト管理をし(意識を引い)てかぎ爪攻撃を受け流す。


 アカツキのみなら『比翼』で他の子よりも能力が上がっているため、かなり安全に回避行動を取り続けることができると分かっているからだ。


 そしてその間に私は疾風の舞を使って全員の素早さを底上げする。攻撃をするつもりは、攻略に必要じゃない限りほぼないので攻撃力をあげる系統の舞はスキルスロットから外してしまっていた。


 能力アップ(バフ)をかけ終えてからは、とりあえず小手調べに『スカウト』を乗せたシズクやオボロの攻撃が紙の竜に当たる。

 しかし予想外だったのはこのあとだ。




 ――――――


 ペーパー・ドレイクはアイテム分類のため、スカウト不可です。


 ――――――




「スカウトできない……!?」


『そりゃピニャータもスカウトはできなかったし』

『同じツクモガミの泳ぐ刃物もスカウトで入手するものではなかったですからねぇ』

『破壊しても不殺に影響はないってことは、普通にこのまま倒してもいいんだろう』


 コメントを拾いながら考える。確かにピニャータはスカウト不可能だったし、むしろどんどん壊していい。そのほうがいいと理由づけがちゃんとされていた。そういうイベントであり、壊すべきだったのは厄除けの身代わり人形みたいなものだったからだ。


 確かにあのときのイベントはそうだった。でも、今は? 相手は恐らく隠しボスである。なにやら背景に込み入った事情がありそうだ。


 すでに亡くなっている人物の、まあなんというか、厨二病を拗らせていたときに描いた『俺の考えたサイキョーのパートナー』が年月を経て『ツクモガミ』として動いて攻撃してきているわけだよね。


 アイテムだからスカウトも不可。

 でも『ホラーもののお約束』としては、大まかにこのままあっさり倒して終わり……なんてパターンと、亡くなった人の未練を晴らしてハッピー成仏! というパターンがある。


 果たして、成仏エンドがこのペーパー・ドレイクにあると思うだろうか? 


「慎重に行きましょう。もしかしたら、ユールセレーゼ達のようにスカウト不可の状態でも、完全浄化クリアの方法があるかもしれません」


 私は、どうしても物悲しいこのペーパークラフトが、なにかを成そうとしている気がするんです……と湿っぽく言ってからオマケに呟く。


「隠しボスのためとはいえ、二度もお化け屋敷に来るのは嫌です」


『本音本音!』

『隠しきれない本音がwww』

『セーブのための鳥居……なかったもんね……』


 そう、簡易セーブ用の鳥居がなかったのである。つまり、ここでゲームオーバー……というか初デスでもすればもう一度お化け屋敷に入るところからやり直しだ。そんなの嫌だ。絶対に嫌だ! というわけですごく慎重に見極める必要があるのである。


「ペグァァァァ!」


 紙竜が間抜けな声で吠える。

 今度はなにか来るかと身構えていると、視界の端をカラフルななにかが通り過ぎていった。


 視線で追うと、それは部屋の中に散らばっていたぬいぐるみだと分かる。

 そのぬいぐるみは、紙竜の右腕に二つしがみつく。

 最終的に紙竜の右腕は真っ白ではなく、絵に描いてあったように赤色の腕に変化していた。


「シャーーーー!」


 ちょうどそのタイミングで、牽制のためにシズクが放った水が紙竜に当たるが……ぬいぐるみがひとつだけ取れて、それで終わりだった。


 紙竜さんはまるでダメージでも受けなかったかのように元気である。


「えっ」


『もしかして:体力減ってない』

『は? クソゲーじゃん』

『さてはクソモンスだなテメー!!!』

『言ってる間に更にぬいぐるみがくっついてますが』

『なるほど、何度でも復活するのかあれ』

『結論=クソ』


 ペーパー・ドレイクは、主に腕のかぎ爪で攻撃をしたり、尻尾の刃で薙ぎ払ったりとしているが、必ず攻撃を受けるときはぬいぐるみのある部位で受けて無傷だ。


 ぬいぐるみは剥がしても剥がしても、主に攻撃・回復の行動で補充され、いつまで経っても本体にダメージが届かない。無限に『最初の一回攻撃を無効化する』のであろう効果が続いている。


 恐らく、あのぬいぐるみを全部剥がさない限り攻撃は無効化され続けるだけだろう。


「普通に倒すのすら難しいってどういうことですかそれ……」


 セーブもしていない。わりと絶望的な状況がここにあった。


どのくらいクソなのかを表すと……「無制限ばけのかわ・アイスフェイス」?

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― 新着の感想 ―
[一言] 特性:かたやぶりで貫通しません?それあと、毒とか火傷の特殊状態に呪い(ゴーストタイプが打った方)、あられ、砂嵐などの天候ダメ
[一言] 無制限ダミーbyスパロボ64 的なクソさを感じた
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