運営が寒いギャグを連発するのは許されません(怒)
さて、動画が無事に高画質でアップされたことを確認して立ち上がる。
うんうん、やっぱり攻撃技を相殺したときのエフェクトや粒子のキラキラが綺麗だ。我ながら上手く撮れたと自負している。
私のアバターの容姿もそれなりなので、これは人気出るでしょう！ 案の定、もふもふ触れ合い動画や検証動画はあっても魅せプレイ動画はまだなかったからね！ あとで掲示板のほうで反応がないか探して来ようかな？
なんせ発売初日なのだ。ベータテスターなんかがある程度情報を握ってまとめサイトを作ったり、随時攻略サイトが更新されたりしているが、まだまだ未知の部分も多くある。私も新しい試みを開拓して人気になっていかないとね！
……そういえば、幼馴染の遊馬はどうしているだろうか。互いにプレイの方向が合わないだろうし、若干ソリが合わない部分もあるので、一緒にやるのではなく発売後一週間経ったら会ってみるということになっているのだ。サーバーもここだけではないし、会おうと思わなければ会えないと思うが……。
どうせあの人のことだからガチガチの脳筋パーティか、もしくは闇落ち勇者的な厨二病パーティになっているだろう。私は詳しいんだ。あいつ捻くれてるからね。もっと肩の力を抜いてほのぼの行けばいいのに。
……どうして今幼馴染のことなんて考えてるかな？ まあいいや、私は私のやりたいことを貫く！
さあさあ、全員お腹いっぱいになったところで冒険再開だ！
◇
「あああああああー！？」
数時間後、すっかりと夜になった森の中で私は全力疾走していた。
「オオオオオオ！」
騒がしく背後から響いてくる重苦しい音。それもその数は見なくとも十は下らないことが分かるくらいだ。
「どうしてこうなるんですかぁぁぁぁ！」
「ウォゥ！」
「オボロ！？」
前を走っているオボロがスピードを落とし、私の背後に回ったと思うと股下から体を縮めて滑り込んでくる。そして転びそうになりながらもオボロに持ち上げられ、彼女の背中に乗った。アカツキもほっとしたようになり、オボロは遠吠えを一声あげて走るスピードがぐんっと上がった。
焦りすぎてオボロに乗って走るという発想がどこかへ行ってしまっていたので、今は彼女に感謝だ。
そっと振り返ると、背後には根っこを高速で動かしながらこちらを追ってくる樹木の姿。両脇の大きな葉っぱの中心に目玉のようなものがあり、幹には横に裂けた口のようなものがある。
普通の広葉樹っぽいのから桃っぽい実が成った樹木、それらより少し小柄で細身な樹木の三種類が群れをなして追ってきている。
「ええと、ええと、【観察眼】で見られるかな？」
逃げながらもそれぞれの木に注目して【観察眼】を発動する。
まずは普通の樹木からだ！
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種族名【ビックリ・トレント】
魔獣達の渦巻く負の感情に当てられて変化した樹木。
木に生った固い実を投げつけてくることがある。
魔獣ではなく、あくまで普通の樹木なので【スカウト不可能】である。討伐は可能。
【清水】をかけることで浄化・普通の樹木に戻すことが可能。
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水！ 今持ってないです！ しかもこの水って絶対普通の水じゃダメなやつだよね！？ しかも魔獣ですらない！ つまり現時点で対処不可能！ 逃げ続けるしかないとか絶望すぎる！
えっと、他のやつは？
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種族名【ビックリ・ピーチ・トレント】
魔獣達の渦巻く負の感情に当てられて変化した桃の樹木。
木に生った実を投げつけてくることがある。実は回収可能だが品質は最低ランク。毒を受けることもある。
魔獣ではなく、あくまで普通の樹木なので【スカウト不可能】である。討伐は可能。
【清水】をかけることで浄化・普通の樹木に戻すことが可能。
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はい絶望！ 次！
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種族名【ビックリ・Jペッパー・トレント】
魔獣達の渦巻く負の感情に当てられて変化した山椒の樹木。
木に生った実を投げつけてくることがある。回収可能だが、食べたり、実の攻撃が当たると麻痺になる。
魔獣ではなく、あくまで普通の樹木なので【スカウト不可能】である。討伐は可能。
【清水】をかけることで浄化・普通の樹木に戻すことが可能。
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ほほう山椒の木ね！
驚き桃の木山椒の木ってか？ ふざけてるんじゃねーぞ運営！！！
ただのダジャレかい！ 激寒ギャグかましてんじゃねーぞ！！！
というかこれ、もしかして浄化すれば調味料回収できる？
「オオオオオオ！」
「いやぁぁぁぁぁ！ 来ないでくださぁい！」
何度も言うけど浄化するための水がありません！
対処不可能！ 圧倒的不利！ 逃げろー！！！
