幸運猫の進化は突然に
まず注目するべきは、あのフラスコに見えるガラスのビンが割れているということ。
魔獣の口に釣り針……と言っても湾曲はあんまりしていない、本当に針のようなものが貫通して刺さっていること。
アクアリウム・ドラゴン・プラント……正式名称面倒だから、仮名ドラプラの植物の体が全体的に茶緑であること。
そしてその茶緑の体が、ビン底の綺麗な水に浸かった部分だけ、茶緑から綺麗な緑に変化していっていること。
この四つかな?
それから、川は登場シーンに必要だとして……洞窟はなんのためにあるのか、という疑問も生まれる。そっちの調査もしないとね。それも考えると一発クリアできるかはちょっと分からないかなあ。
あのフラスコっぽいビンの修繕は多分必要だとして……どうやって直すんだよあんなの……カケラでもどこかにあるとか?
それから、針は早めに抜いてあげないとね。あれじゃ痛そうだし、余計に暴れ回りそうだ。人間が原因の釣り針だったのなら、魔獣から聖獣に戻すのにも必要だし。
「針を抜いて、ビンを修復して、ビンの中を真水で満たす……の順番でしょうか」
『針とビンの修復は場合によっては同時進行できない?』
『顔も植物とはいえ、針が刺さってんのは痛そう……』
『同時進行? どゆこと?』
『水入れてリフレーッシュ! ってなるわけか』
『針を外すのに、撹乱だけでも四匹はいらないでしょ。同時にビンのカケラを探せれば効率いいんじゃないかって』
なるほど? 確かにそのほうが早そうだね。
ビンの修繕も必要だとするならば、二手に分かれるのは必須だ。
「アカツキ、残ってください。オボロ、シズク、ジン、ガラスのカケラを探してきてください。恐らくあの洞窟の中だと思います」
「シャルルルル」
「ん?」
シズクの声を聞いて顔を向けると、シズクは首を振った。それを見て、オボロとジンがひと声鳴いてから洞窟に走り去っていく。シズクにも行ってほしかったんだけど……と、そこでシズクはその場でわずかに蛇行してからこちらを振り向き、首を横に振る。
「もしかして、遅いからあっちには向かえないってことです?」
「シャゥ」
「……分かりました。じゃあ、シズクはドラプラの針を水で押し流せるか試してみましょうか。アカツキも針を抜く機会を伺ってください」
返事をする二匹に頷く。
ドラプラは口が痛いのか、こちらをあんまり認識せずにその場で暴れているだけである。近づかなければ問題なさそうだけど……たまに口から飛び出てくる水とか、予想外な方向に叩きつけられるツタ葉があるので警戒は怠らない。
さて、じゃあ針を抜くために行動を――。
「うにゃーーーん!」
「あおーーーん!」
洞窟のほうを見ると、オボロの背中に大きなガラスのカケラが乗っかっており、さらにその上にサーフィンでもしているようにジンが乗っていた。
いや、いやいやいや。
「はやすぎない!?」
――――――
個体名『ジン』がパーティへ幸福をもたらした回数が、100回を超えたことを確認。
進化条件を達成しました。
進化を許可しますか?
――――――
なんと!? こんなときに!? いや、久しぶりだねやったー! とか思えばいいのか!? というか条件はなんだよと思っていたけど、幸運100回て……そんなに幸運もらってたっけ……?
まあ細かいことはいいか。
ジンがこっちに飛び込んで来るタイミングで進化しちゃいましょう!
「にゃーーーん!」
100回もあったっけ?
>>大半はピニャータイベントの幻影蝶。




