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【漫画単行本4巻発売中】神獣郷オンライン!〜『器用値極振り』で聖獣と共に『不殺』で優しい魅せプレイを『配信』します!〜  作者: 時雨オオカミ
特殊依頼『果ての地で忠義を捧ぐ』

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ダメよ、シリアスさんが息してないの……!

「仕事の進捗はどうですか? 魔獣は見つかりそうでしょうか」


 首を傾げるハインツに、私は弱ったように微笑む。

 昨日の夜から今朝まで、ずっと私の所在が確認できなかったからだろう。彼はその瞳の奥に疑念を抱いている。もしかして……私が依頼された魔獣を見つけて黙っているんじゃないかっていう疑念をね。


「……申し訳ありません。実は昨日一日、山で迷ってしまって……どこをどう通ったのかも分からないのです。必死になって下山したもので」


 脇道に逸れてしまうと地図があってもなかなか、ままならないものですね――と付け加えてから、わざと目を泳がせる。そうすることでこれが嘘の言葉だと相手に確信してもらうのだ。


「それはそれは、大変でしたね。連絡もありませんし、心配していたのですよ」


 いつまでたっても監視の網に私がかからないから、血眼になって探していた……の間違いでは? なーんて言葉は口が裂けても言えない。まだ駆け引きは始まったばかりだからね。


『うっわ白々しい〜』

『で、突入とかはいいの?』


 コメントで質問が来たので、今度は手入力じゃなくてキーボードを呼び出した『思考入力』で返事を書く。視線の方向と思考の強さで文字を打つ入力方法だね。最近のVRゲームに慣れてる人なら必須の技術だ。


 前にもいくらかやってるし、育成ゲームのほうでも掲示板とかグループチャットみたいなものはあったので慣れている。


【まだ見守っていてください。なにがあってもです。ですが、できればカメラなどによる記録をお願いします】


『すでに実行中ですよ』

『りょー』

『はやっ!?』

『どーーーーせ会長』

『??? なぜ分かったんです?』

『分からないわけないっすよ』


 はいはい、いつもの。

 まあストッキンさんに関しては記録係としては信頼しているから別にいい。どうやらスカートの中まで撮ろうとはしてないようだし、その辺の分別はついているみたいだからまあひとまず置いとく。許すとは言ってないけどね。


「どうもすみません。私ではどうやら見つけることが困難なようです。ですので、この依頼を辞退したいのですが……」

「ええ? それはどうしてですか! まだ一度失敗しただけじゃないですか! 一日しか経っていませんし」

「私、方向音痴なんです。だから見つけられるかどうか……それに、赤ん坊が生きているか死んでいるかも分からないのですよ? 魔獣も、これほど見つからないとなると、どこかで亡くなってしまっているのかも……」


 つらつらと言い訳を並べていると、ハインツがいきなり立ち上がってこちらにやってくる。ビックリしたように身を縮こまらせてみると、彼は私の肩をガシッと掴んで目を覗き込んできた。


「嘘をつかないでいただきたい、ケイカ嬢」

「……嘘だなんてそんな。ひどいですわハインツさん。私のどこが嘘をついているというのですか?」


 イケメンの真顔こっわ。


「……いえ、少し揺さぶりをかけてみただけです。まさかかの有名なケイカさんが嘘をついて依頼を台無しにするなんてこと、あるはずがないですね」

「そ、そうですよ。誤解が解けたようでなによりです」


 コメント欄はホラー映画でも見ているような様相の阿鼻叫喚ぶりになっている。そうだね、ホラーみたいな演出だったね今の。普通に怖い。演技中じゃなければ顔面に張り手をかましていたかもしれない。危ない危ない。この私が素敵な女優じゃなかったら暴力女の称号がついていたかもしれない。


『素敵な女優()』

『思考入力漏れてますよ(小声)』


 おっと危ない。


「しかし、噂でのケイカ嬢はそのカラスを神獣にまで導いた女傑(じょけつ)だという話でしたが、当てが外れましたね。正直がっかりです」


 うっ。的確に心を抉るような言い方をしてきているなこいつ。やめて! 精神攻撃はやめて! そういうの嫌いです! 


「貴女に神獣様は相応しくない」


 静かな路地裏に、ポツリと決定的な言葉がこぼされる。


「……それはどういうことですか?」

「もしや! どなたかの神獣を貴女が奪ったのでは? 貴女のような、依頼を半端なところで放り出すような共存者が神獣に選ばれるわけがありませんからねぇ!」


 お前が言うなよ。


『本日のおまいう会場はこちらですか?』

『こちらで合ってます』


「なにせ、自身の金銭管理すらままならない始末!」

「ぐっふぉ……!」


『おっとケイカ嬢! この言葉は予想外だったようだ! 甚大なダメージを受けています! どう思われますか解説の皆さん!』

『恥を晒していたのは事実ですからねぇ〜、いやあ、見事に痛いところをつかれています』

『隙を与えたケイカさん本人にも非がありそうですね〜』


「んぐっ」


 唐突に解説実況始めるのやめてくれません!? 

 シリアスさん! 傷は浅いわ! お願い、息をして! シリアスさあああああん!! 


「貴女に神獣は相応しくない! 俺が保護して差し上げよう!」


 そう言って、男はアカツキに手を伸ばした。


『決め手は金銭管理の杜撰(ずさん)さだーーー!』

『オウンゴーーーーール!』


 ダメよ、シリアスさんが息してないの……! 

 誰かこいつらしばいてください‼︎

おっかしいなあ〜? 途中までちゃんとシリアスしてたのにな〜???

なんで??? ギャグを入れないと死んじゃう病???

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― 新着の感想 ―
[一言] え? ケイカさんの専属はコメディさんで、シリアスさんは遊びに来てただけじゃなかったんですか? 金銭管理は事実だからしゃーない
[一言] シリアスさんが帰ってきた思ったらよく見るとシリアルさんだった件w
[良い点] オウンゴール!本当だよね♪ [気になる点] 改めて考えてみたんだけど「ハインツ」ってフルネームはどんなんだろ? [一言] エレヤン様の信者が順調に増加中。 こういう小心者は用心に用心を重…
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