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【漫画単行本4巻発売中】神獣郷オンライン!〜『器用値極振り』で聖獣と共に『不殺』で優しい魅せプレイを『配信』します!〜  作者: 時雨オオカミ
特殊依頼『果ての地で忠義を捧ぐ』

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妹にからかわれるんですけどー!?

 ユールセレーゼ達を浄化してから、本日はこのマヨヒガを拠点にして就寝することにした。


 一度外に出てしまうと、また迷いに迷わなければ辿り着けないからねぇ。


 別に彼女達が私達を招いたわけではないのだ。条件を満たしてはいたものの、ユールセレーゼは基本的に自分から人間を頼ろうとはしていなかったらしい。


 故に、彼女の願いを聞き届けることになったのも、依頼人の悪事を聞けたのも、私が迷って『偶然』マヨヒガに辿り着いたからだ。


 そもそも辿り着けなければ、この依頼は達成できていなかったに等しいわけで……運営は本当にクリアさせる気あんの? ないんじゃないの? 条件厳しくない? デバッグする勢いで挑まなくちゃ発見できない条件とか他にも仕込んでません? 


 この配信と情報によって、検証班が更にやる気を出したのだとか……フィールドを延々歩いたり、大きな樹木に向かってすり抜けできないかと延々体を密着させて進まないのに歩き続ける人がいたり、街中で店の角に頭を突っ込もうとする人がいたりしたらそれは検証班である。頭おかしい。


 これが配信中から変化した出来事だというのが信じられない。

 なお、既に建物の隙間からVR空間のテクスチャの外側が見えたとかいう報告が出ているらしく、神獣郷オンラインは現実時間での今夜三時間程度、緊急メンテナンスに入るらしい。


 やっちまったよ……いや、運営のミスだから別にこっちが罪悪感抱く必要なくない? むしろデバッグに貢献している。偉い……と思い込んでおくことにしよう。


 見つかったのが小さなバグでよかったね。VRで壁の外に出て延々落ち続けるバグとかあったら発狂ものでしょ。


 さて、一旦ゲームを終えてリアルのほうに戻らなければ。明日の方針を決めてから配信を切ったので、今は視界いっぱいに広がっていたコメントが見えなくなっている。また明日、再開の予約を入れといてっと。


「きゅーん?」


 ユールセレーゼが顔をこちらに向けて鳴いた。どうやら懐を空けてくれているようなので、寄り添って彼女のお腹に抱きついてみる。みんないっせいに私を囲んで抱きついたので、少しだけユールセレーゼは驚いていた。


 そっとお腹を撫でる。


 ああ、だいぶごわついている……きっと、赤ん坊を連れて逃げている最中にこうなってしまったんだろう。長い時間気を抜くことができず、毛繕いすらせずに子供を守っていたのだ。すごくブラッシングしてあげたい。


「……」


 毛並みを撫でていたら、彼女はゆっくりと顔を寄せて私の頬を舐める。生暖かい……生きてるんだなあ。


「オボロ、ブラシ使ってもいいですか?」

「くんくん」


 頷くオボロに許可を得て、彼女のブラシを使ってゆっくりとユールセレーゼの毛並みを整えていく。気持ちよさそうに四つの目を細めている姿は、とても可愛らしい。


 本当は四つも目があるなんてちょっと怖いなと思っていたんだけども、今は全然そんなことを思わない。やっぱりこの子は美しく気高い生き物だ。この赤ん坊の母親ではないけれども……母親は強しって言葉が思い浮かんでくる。


 さて、ブラッシングを終えて、目を瞑って眠ればログアウトするか、次の日に目覚めるようにするかが選べる。今回はログアウトだ。


 このあとメンテナンスで閉鎖されてしまうし。

 おやすみなさーい……。


 ◇


 パチリと目を開ける。

 ヘッドギアを外して、少しの息苦しさに眉を寄せた。暑い。

 現在時刻は夜八時。夕飯がまだのわりにはちょっと遅くなってしまったかな? 夕飯を食べて……今日は終わりだ。夜十時から三時間ほどメンテナンスがある。


 夜更かしとかせずに大人しく寝よう。


「姉さん、姉さーん」

「はーい!」


 ちょうど廊下から妹の呼ぶ声が聞こえたので返事をする。


「夕飯ができたみたいですよ!」

「分かったよ、今行くね飛鳥(あすか)ちゃん」


 次女、飛鳥。彼女も普段VRゲームに熱中している。と、言っても私ほど中毒にはなっていない。


 飛鳥のやっている『デモンズ・ハンティング』は悪魔狩りになって巨大なモンスターじみた悪魔を武器ひとつで倒していくゲームだ。昔あったゲームをVRにリメイクしてあるらしい……レベルアップ制ではないので、明確な実力が必要になる玄人向けゲームだ。


 正直、飛鳥は敵とのギリギリの攻防にアドレナリンがどっぱどっぱしながらゲームをしているので、私以上にいろいろおかしい。絶対おかしい。


 他の妹達も、ぱちっとした目が可愛い『ぱちっともんすたぁ』とかやったりしているので、華道一家でもあり、ゲーマー一家でもある。同じく伝統芸能系の家の子とお話しすると、めちゃくちゃ驚かれるね。


 水を飲んで部屋から出ると、そこには黒髪をポニーテールにしている妹、飛鳥の姿。きりっとした目元が可愛らしい自慢の次女である。


「あれ、先に行っててよかったのに」

「姉さん」

「んー?」


 飛鳥がにっこり笑ったので私も釣られてにっこり笑う。


「許せねーぜ!」

「んぶふっ!?」


 いい笑顔でサムズアップしながら言い切った妹は、すぐさま悪戯っ子のような顔で逃げていく。


「待って! 待って!? 見てたの!? あれを見ていたの!? 忘れてー! お願いー!」

「いやですよーだ!」


 妹達三人はおろか、家族全員にバラされた私の明日はどっちだ! 

 泣いてない。泣いてなんて……いない。

ユールセレーゼの浄化方法はスカウトと同じく、舞でなくても大丈夫です。

たとえば長時間一緒にいて語らうとか、ブラッシングをしてみるとか、仲良くなろうとする行動を取れば、長い時間をかけてゆっくりと浄化できます。


デモンズ・ハンティング

略して……アウトーッ!


ぱちっともんすたぁ

略してぱちもん。なんでこんな名前にした???

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― 新着の感想 ―
[一言] いたいけな長女をからかうなんて…… 許せねーぜ!(煽り)
[一言] ぱちもんはなろうでランキング入りしている作品があるので変えた方が無難?
[一言] ぱちっともんすたぁ!略してパチモン()
感想一覧
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