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【漫画単行本4巻発売中】神獣郷オンライン!〜『器用値極振り』で聖獣と共に『不殺』で優しい魅せプレイを『配信』します!〜  作者: 時雨オオカミ
神獣進化!『山頂に暁光が差す日』

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火と氷が舞う月夜の試練

 位置取りとしては、月見のできる十メートルくらいの(やぐら)の上に私。東側の止まり木にいるのがアカツキ。

 そして櫓の下にオボロ、シズク、ジン、の三匹がそれぞれ配置。シズクはするすると木を登って私やアカツキと同じ目線の位置で待機。


 シズクは既に遊泳状態のため雨属性スキルの威力が上昇。

 太陽が出ていないためアカツキのスキルの威力は下がるけれども、アカツキはその場から動いてはいけない縛りがあるためにあってもなくても正直大丈夫。


 オボロ、ジンは遊撃隊だ。

 櫓の周りを走りながら襲撃してくる魔獣を撃退したり麻痺させて戦意喪失させる役目。


 アイテムは各自が使えるように設定してあるので、自分の判断で回復もできる。アイテムは全部持久戦用に揃えてあるのでなくなることはない……はず。


 まずはスキルのオート機能を使って楽をしながら周囲をさりげなく確認する。まだ襲撃はない。道案内のカラスはワープで屋敷に戻ったらしい。帰り道はワープだから安全なのね、なるほど。


「……ふっ」


 シズクはそう素早くないので固定砲台状態になってもらう。

 大きくなって一目連状態になると自然と嵐になってしまうので、少し能力は下がるが体の大きさを抑えて成人男性と並ぶくらいの大蛇の姿になってもらっている。


 体の大きい聖獣は狭いフィールドだと不利になるのでこういう機能がある。たまにレアアイテムとして出てくる店売り、もしくは課金売りアイテムの『鍵』を買えばこの機能が解放されるのだ。


 ペット化アクセサリーと違うのは体の大きさが自由自在になる点と、能力が制限されるとはいえ、威力が七割くらいはちゃんと出ることだ。ペット化アクセサリーだと三割も出ないからね。


 オートで行われる足運びと手の動き。大勢の人ができるようにか単純化された動きではあるけども、何度も何度も同じことを繰り返すと少し気疲れしてしまう。


 って今からこれじゃあダメだよね! 


「……ふーっ」


 深呼吸をして手先、足先に意識を集中する。

 スキルを選択し続けている限りオート機能で勝手に体が動く。勝手に体が動くのは少し違和感があるけれども、意識を舞以外に割くことができるので状況把握には最適だ。


 舞を始めてから十分が経過。

 パチリと篝火の火が跳ねる。


 同時に頭上からなにかが高速で飛び込んできて――水の塊で吹っ飛ばされていった。


 シズクのほうへ視線を向けると、大口を開けていて『アクア・ブラスト』を放った直後だと分かる。


 舞い始めて十分で襲撃が開始されたらしい。これを早いか遅いかというと……早いかな。だって一晩中これやるんだよ? もう少し猶予あってもよくない? 


 一度めの襲撃がきっかけとなったのか、それからはあちこちから魔獣の群れが押し寄せてくる。うーん、なんとなく物陰から出てくるワニを叩くゲームをしている気分。


 固定砲台と化しているシズクは空を中心に飛ぶ鳥を文字通り撃ち落としまくり、オボロは櫓の周りにスケートリンクを作って次々魔獣の元へ駆けていく。彼女が通ったあとには足元を凍らされた魔獣が残り、戦意喪失して消えていく。


 ジンは罠を張るように、薄い静電気を周囲に張り巡らせて探知用の結界みたいなものを作っている。彼も探知してすぐさま『紫電一閃』を用いて魔獣に近づき、通り過ぎるときに体を当てて麻痺らせている。


 足が凍った魔獣と、麻痺してそこらに転がる魔獣。

 見ようによっては阿鼻叫喚な絵面なんだけど……まあ生きてるし。


 生きてればなにやってもいいってわけじゃないけどさ、今はまあ仕方ないよね。


「おっと、いらっしゃい?」


 シズクが撃ち漏らした(たか)の魔獣が飛び込んでくる。

 オートモードを切り替えてマニュアルに。

 両腕を胸の前に持ってくる舞の動きの際に鷹を捕まえて一緒にくるくると回る。スカウトの光がほのかに輝いて、次に手を離したときには鷹は優しい目をして消えていった。


 即堕ちである。

 こうして舞の手順を間違えずにやるなら、なんの問題もなく自分でも魔獣にも対処できる。失敗扱いにはならないのだ。


 それもこれも、舞いながらスカウトなんてできるのは、やっぱり『器用値』のおかげだよね! いやあ、この補正がなければそんな細かいことできるわけないからね。


 ふふん、ちょこっと調子に乗りながら扇子と一緒にシズクに向けて手を振る。

 大丈夫だよ。だから、そんな撃ち漏らしてごめんなさいって顔しないでね? 


「さあさあ、まだまだやりますよ! アカツキ、見守っていてくださいね!」

「……くう」


 アカツキの周囲に火の粉が舞う。

 櫓の上は、緋色の扇子と純白の扇子から散る火の粉と粉氷できらきらと輝いていた。


 炎を扱えば羽織りが真っ赤に染まり、氷が舞えば羽織りは紅白に染まり上がる。夜の闇の中、月明かりの下に、そんな幻想的な光景が生まれ落ちる。


 長い夜は、まだまだ続く。

のちのちこのお話か、次のお話あたりに挿絵ができると思われます。

現在絵師様に出している依頼が「火と氷が使われた舞の一枚絵」なので!


レビューをいただきました! 二つめ!!! 嬉しい!!!

この場でお礼をさせていただきます。ありがとうございますー! めっちゃ嬉しいです!

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― 新着の感想 ―
[一言] 絵にしたら映えそうな構図ですよねぇ確かに ケイカさんはもぐら叩きよりワニワニパニック派なのか
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