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292話─光と闇の極意

 コリンが新たな敵と戦っている頃、アシュリーたちの戦いは佳境に入っていた。天空から雷を落としてくるホロ・ヴァールを仕留めるべく、動き出す。


「カトリーヌ、あいつをぶっ叩ければ一撃で倒せるはずだよ。そのためには、あいつを引きずり下ろすかこっちが跳ぶかだけど……どっちがいい?」


「そうねぇ~、それじゃあ……こっちから叩きに行っちゃいましょうか!」


「分かった。それじゃあ、二人は踏み台になって。僕が上、カトリーヌが下から挟み撃ちにするよ!」


「分かったわ! 今よ、それっ!」


「アタイが雷を防ぐ! その隙にやりな!」


 アシュリーが発生させた炎のバリアによって相手の攻撃が弱まった隙を突き、アルベルトはカトリーヌに向かって走り出す。


 カトリーヌは身体を屈め、下から掬い上げるようにアルベルトを上空へ飛ばした。直後、自身も力を込めて跳躍する。


「食らえ! 必殺の……」


「サンドプレスクラッシュ!」


「ガル……アァァアァ……」


 上下からの連携攻撃を食らい、頭を潰されたホロ・ヴァールは弱々しい声をあげ墜落していく。地面に落ちた直後、光の粒となり消滅した。


 その少し後、ホロルグラフの目が一つ潰れた。これで半分が潰れ、残るは三つとなる。ここからが山場、後半戦となるのだが……。


「お、出てきたな。四人目を倒したら、コリンの加勢に」


「……いや、あいつは僕が倒す。二人は加勢に行ってあげて」


 高速回転し、新たな面を下に向けたホロルグラフは新たなホログラムを投射する。いち早く相手の正体を悟ったアルベルトは、そうアシュリーたちに言う。


「ホログラム投影完了。ホロ・ジェイド……戦闘開始」


「彼は、僕が倒さなくちゃいけない。大丈夫、心配はいらないから。さ、行っておいで!」


「……分かったわ。でも、無茶だけはしないで」


 現れたのは、アルベルトの相棒だった男……ジェイドのホログラムだった。ケジメを付けるためにと、アルベルトは一人で戦うことを決める。


 カトリーヌたちをコリンの元へ向かわせ、ホロ・ジェイドと向かい合う。言葉を発することなく、何かを訴えかけてくる相手を見つめる。


「ごめんなさい、ジェイド。僕だけが生き残り……こうして、後を追わずに戦ってること。でも、僕は決めたんだ。これまでの罪を悔い……今度は、正義のために生きるって」


「……ナラ、見セロ。オ前ノ、覚悟ヲ」


「もちろん、そのつもりだよ。今ここで、ケジメを付ける!」


 そう叫び、アルベルトは走り出す。ホロルグラフとの戦いは、クライマックスに突入しようとしていた。



◇─────────────────────◇



「くっ、ぬうっ! やはり、偽物とはいえ……パパ上とママ上を同時に相手するのは辛いのう!」


「ディザスター……ランス【(レイン)】!」


「カーディナル……ウィップ!」


 ほぼ無言のまま、ホロ・ギアトルクとホロ・フェルメアはコリンに襲いかかる。闇の槍の隙間を縫うように鞭が振られ、安全地帯を潰す。


 抜群のコンビネーションを前に、コリンは防戦一方の状態にあった。だが、いつまでもやられっぱなしというわけではない。


 コリンもまた、修行を経て力を蓄えたのだ。コーディと共に行った特訓の成果を、今こそ見せる時がやって来た。


「いつまでもわしが攻められるだけと思うておったら大間違いじゃぞ。修行の成果、とくと見よ! セイクリッド・ウィング!」


「! ホウ……」


 コリンが魔法を発動すると、背中に四枚の光の翼が現れる。幾何学的なデザインを持つ、プレートのような翼が。


 それを見たホロ・ギアトルクは感心したような声を漏らす。修行をする中、コーディからレクチャーされたコリンは、一部だけではあるが神の力を扱えるようになった。


「見せてやろう、わしが得た新たな力を! セイクリッド・エアー!」


「グ、ウ……」


「ムグッ……!」


 翼を羽ばたかせ、コリンは聖なる力を纏う突風を巻き起こす。ホログラム二体は風に煽られ、少しずつ後ろへ下がっていく。


 特に、ホロ・フェルメアは苦しそうに呻いている。闇の眷属である彼女には、神の持つ聖なる力が抜群の効果を持つのだ。


「サセ……ヌ! ローズリボン!」


「むっ、来るか! ならば避けるまでよ!」


 翼を破壊し、突風を止めようとするホロ・フェルメア。鞭を振るうも、コリンはサッと横にスライドして避けてみせる。


 翼を一枚背中から外し、星遺物たる杖に近付ける。すると、翼と杖が合体し──聖なる輝きを放つ小さな弓になった。


「ここから狙い撃ちしてくれる! ホーリー・アロー!」


「食ラワヌ! トーループ・ウォール!」


「コレ以上ハ好キニサセナイ! ディザスター・サイス!」


 光の矢を放ち、先にホロ・フェルメアを倒そうとする……が、鞭によって矢を叩き落とされてしまう。そこにすかさず、ホロ・ギアトルクが動く。


 これ以上相棒を攻撃させまいと、死神を呼び出してコリンにけしかけたのだ。コリンは合体を解除し、聖なる魔法を発動する。


「そんなもの、消し去ってくれる! セイクリッド・セイバー!」


「カカ……カアァ!!」


 元に戻した翼を、今度は剣に変え光の斬撃を放つ。直撃を食らった死神は、そのまま霧散し消滅してしまった。


「そなたらの反撃も、ここで仕舞いじゃ! ここからはずっとわしのターンじゃぞ! 受けてみよ、ディザスター・グレイブ!」


 コリンは剣と杖を合体させ、光と闇の力を宿す薙刀を作り出す。直後、地上に降り立ちホロ・ギアトルクとホロ・フェルメア相手に大立ち回りを行う。


 二対一でありながら、薙刀を振り回し大暴れする。相手を寄せ付けず、全身を切り刻んでいく。修行の成果を見せようと、コリンは張り切っていた。


「コノ、調子ニ乗ルナ!」


「おっと、そんな大振りな攻撃当たらぬわ! ママ上直伝の薙刀術と、パパ上から継承した杖術……二つを融合させた戦法を食らえい!」


「グ、ガフッ!」


 光と闇、相反する二つの力を宿した武器を前に、ホログラム二体は力を弱められていた。本来の実力を発揮出来ず、いいようにあしらわれる。


 そこに、アシュリーたちが到着する。これでもう、完全に優劣が決定した。


「コリン、助けに来た……って、なんちゅう奴らと戦ってンだ!?」


「あら~、それにその姿……まるで天使様みたいね~、御利益がありそうだわ~」


「おお、ちょうどいいところに来てくれたのう! 今からその二人を倒すつもりなのじゃが、魔力が足りなくてのう。そなたらの魔力を分けてもらえぬか?」


「いいぜ、好きなだけ持ってけ!」


 ホロ・ギアトルクたちを吹き飛ばした後、コリンはアシュリーたちの元に駆け寄る。残る三枚の翼のうち二枚を変形させ、チューブにする。


 チューブの先端をアシュリーとカトリーヌに持ってもらい、二人から魔力を吸い上げていく。すると、薙刀から白と黒の光が放たれ始めた。


 ブラックホープの素材に使われているウルの陰陽鉄にはそれぞれ、光と闇の力を増幅させる力がある。神と魔の血を継ぐコリンに、これほど相応しい素材はない。


「よし、ゆくぞ! 二人とも、わしにくっついておれ! まだ力の加減が出来ぬでな、離れておると巻き込まれるぞよ!」


「オノレ、サセヌゾォッ!」


「もう遅いわ! 食らえ、わしの新たな奥義……スターナイト・ティアーズ!」


 コリンが杖を掲げると、光と闇の魔力が解き放たれる。相反する二つの力は大きな渦となり、ホログラムたちを呑み込んでいく。


 断末魔の声が響き渡った後、少しして渦が消える。まぶたを閉じていたアシュリーたちが目を開けると……周辺一帯の崖が、綺麗さっぱり消えていた。


「おおう、マジか……なンつー威力だよ、渓谷丸ごと消し飛ばされてるじゃねえか」


「むー、ぐぬぬ……やはり、まだ完全なコントロールは出来ぬか。魔力も空っぽ……ダメじゃ、もー立っとれんわい……」


「うふふ、ならわたしがおんぶしてあげる。一緒におうちに帰りましょうね~、コリンくん」


「うむ、助かる……酷く疲れたわい、ホント」


 周囲の地形ごと敵を消し去り、コリンは完全に力尽きる。カトリーヌの背に抱かれ、疲労の溜まった顔でため息をついた。

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― 新着の感想 ―
[一言] 後半の抽選コピーもあくまでランダムだよな?(ʘᗩʘ’) ここまで皮肉な人選とは(゜o゜;ホロ・ジェイドも思考制御されても記憶があるが故の返事か(-_-;) コリンもこんな形で両親と戦わんと…
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