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95 姉妹の共通点

似てる部分


「やっほー、来たよー」


修学旅行の前日、明日から三泊四日の旅になるタイミングで瑠美さんが1日早くこちらに来てくれた。


「わざわざありがとうございます。明日から千鶴ちゃんのことよろしくお願いします」

「健斗くんは真面目だねー、もっとフランクでいいんだよ?」

「おばちゃんいらっしゃーい」

「やあやあ、ちーちゃん。元気そうで何よりだ」


瑠美さんに抱っこされて嬉しそうに笑う千鶴ちゃん。よくなついてるので、大丈夫だろうと思っていると瑠美さんは微笑んで言った。


「本当に可愛いなぁ・・・家の馬鹿息子と交換したいくらいだよ」

「それはダメです」

「お、即答だね」

「当たり前です。千鶴ちゃんは大切な家族ですから」


そう言うと千鶴ちゃんは嬉しそうにこちらに手を伸ばして言った。


「ちーもおにいちゃんだいすきー」

「うん。ありがとう千鶴ちゃん」

「ラブラブだねー。姉さんが嫉妬しちゃうよ?」

「遥香さんは大切な人ですから別枠ですよ」

「それはそれはお熱いことで」


瑠美さんがゆっくりと千鶴ちゃんを降ろすと千鶴ちゃんはとてとてと、部屋に戻っていく。さっき絵本に夢中だったから続きを読みたいのだろう。それを見送ってから瑠美さんを案内しようとする前に瑠美さんは言った。


「ちーちゃんには説明したの?」

「修学旅行のことですか?ええ、俺と遥香さんが留守にすることは伝えました」


最初は物凄く泣きそうな表情になったけど、時間をかけて説明してなんとか納得して貰った。


「千鶴ちゃんと3日も会えないのは辛いです」

「ま、たまには羽を伸ばしなよ。経験者から言わせると休める時に休まないと身体もたないよ?」

「わかってはいますが・・・好きでやってるので」

「うーん。健斗くんは地味に社畜向きの性格だよね」

「なんですかその嬉しくない例え」


現代社会の闇を担えると言われて若干げんなりすると瑠美さんは笑って言った。


「まあまあ、残りわずかな学生生活をせっかくなら楽しみなよ。あと大きなイベントと言ったら文化祭とかあるんじゃないの?」

「ありますね。クラスでの企画以外は参加するつもりないですが」

「お?そういえば、姉さんのクラスなんだっけ。一般公開の日にちーちゃん連れて行くよー」

「嬉しいですけど、あんまり目立つのはまずいと言いますか」

「大丈夫、大丈夫。親戚みたいな扱いでいくから。兄弟の結婚で血縁になるのなんてざらなことだしね」


なんとも大胆な発想に思わず苦笑してしまうが、そういうところは似てるのかもしれないと思うのだった。



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