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92 反省中

反省という名の


「さて、言い訳を聞こうか」


恒例の晩酌タイム。夕飯の席にて千鶴ちゃんが嬉しそうに今日の出来事を語ったことで先ほどから怖いくらいに笑顔な先生に俺は言った。


「いえ、言い訳も何も、遥香さんと千鶴ちゃんでは意味が違うというか、その・・・」

「なんだ?」

「あの・・・嫉妬とかしてくれてますか?」

「ああ、まあな。あれだけお姫様抱っこに拘っていた奴がちーちゃんには簡単にやったことに嫉妬を抱いちゃいけないか?」

「いえ、それは嬉しいのですが、何をしたら機嫌を直してくれますか?」


その言葉に先生は少しだけ考えてから笑顔で言った。


「そうだな、とりあえずは膝枕で我慢してやる」

「俺の膝枕ですか?」

「違う、私の膝枕だ。こっちに来い」


そう言われたのでそのまま先生の元に行くと膝枕の体勢になる。よくわからないけど、これで許してくれるなら嬉しいと思っていると、先生は俺の髪の毛を撫でて言った。


「男のくせに髪さらさらしてるな」

「ええ、なるべく手入れはしてます。歳をとってから禿げるのは嫌なので」

「この年頃から頭皮の心配か?普通生意気に、髪染めたりピアスのために穴あけたりする年頃だろ?」

「興味ないですから。そういえば遥香さんもピアスの穴ないですよね?」


前に膝枕した時や千鶴ちゃんの添い寝の時などに近くで見たが、それらしい跡はなかった。そんな俺の疑問に先生は頷いて言った。


「友達に誘われたことはあったが、私も興味はなかったからな。一度オタクの友達にコスプレ?を頼まれたことはあったが」

「したんですか?」

「一度だけな。その時に写真を撮られたが、その写真はなくしたからないな。そいつが今も持ってれば別だけど」

「意外ですね。遥香さんにそんな友達いるなんて」

「まあ、腐れ縁て奴かな。私が和也と結婚するのに否定的だった人の一人でそこから疎遠になったんだ」


妹さんと友人に止められても結婚した意志の強さは流石だと思うが、和也さんって、一体周りからどんな評価だったのか気になるな。まあ、そんなことより先生のコスプレ写真か・・・見てみたいな。そもそも昔の先生のことを俺はもっと知りたいと思ってしまう。どんな風に青春を過ごして、どうやって今の先生になったのかを。


「遥香さんは、その友達に会えたらどうしますか?」

「ん?そうだな・・・お前のことを話すくらいかな」

「俺のことですか?」

「和也を失ってから、手に入れた幸せを見せつけてやりたいのさ。瑠美が気に入ったお前ならあいつも気に入るだろうからな」

「だといいのですが」


そんなことを話ながら俺はなんとかそのコスプレ写真を手に入れたいと密かに思うのだった。





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