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91 ちーちゃんにお姫様抱っこ

嫉妬案件


「あ、おにいちゃん!」


学校が終わってから千鶴ちゃんを迎えにくると、珍しく外で遊んでいた千鶴ちゃんがこちらに駆け寄ってきた。一緒にいるのは千鶴ちゃんの友達の凛ちゃんと恵ちゃんだ。


「おにいちゃん、だっこして」

「うん?いいけど」


そうして千鶴ちゃんに言われるがまま抱っこすると千鶴ちゃんは首を横に振って言った。


「これじゃなくて、おひめさまみたいなだっこがいい」

「お姫様抱っこ?」

「うん。おねがい」


そう言われたのでその通りにする。すると、下で見ていた凛ちゃんと恵ちゃんがこちらを羨ましそうに見ていた。


「いいなーちづるちゃん。わたしもだっこしてほしい」

「わ、わたしも・・・」

「だめだよ!おにいちゃんにふれていいのはちーとままだけなんだから!」


なんとも嬉しい台詞だけど、年月が経てばきっと触れるなと言われる可能性があると思うと少しだけ寂しくなる。そんな俺の気持ちはさておき、俺はいきなりこんなことを要求してきたことに疑問になりつつ千鶴ちゃんに聞いた。


「これは何かの遊びなのかな?」

「えっとね。ちーとりんちゃんとめぐみちゃんで、えほんよんでやってみたくなったの」

「そっか、でもこういうのは好きな男の子にやって貰う方が嬉しいと思うよ」


そう言うと千鶴ちゃんは少しだけ涙目になりながら聞いてきた。


「おにいちゃんはちーのこときらいなの?」

「もちろん好きだよ。ただ家族への好きと異性への好きは別と言うか・・・まあ、千鶴ちゃんもあと数年しないうちにわかると思うよ」


女の子というのは成長が早いから、なんてことない時に恋を経験することになるだろう。その経験が全て幸せということは滅多にないだろうけど、それでもその経験が人を強くしてくれるはずだ。そこで挫けるなら支えるのも家族の役目。助力はできないまでも、アドバイスや相談に乗る、話を聞くことはできるだろう。


ま、恋愛経験ほとんど0の俺が言えることはあまり多くないけど・・・千鶴ちゃんはきっと大きくなるにつれて先生に似て美人になるだろうから、その時にどうしてもダメな時に優しく話を聞いてあげようとは思う。


「さて、とりあえず帰ろうか。今日は何を食べたい?」

「えっとね・・・はんばーぐ!」

「千鶴ちゃん本当にハンバーグ好きだね」

「うん!」


まあ、とりあえず今考えることではない。まずはこの子に父親として認められるところからだな。どうしたらいいかさっぱりだけど・・・まあ、なんとかするしかない。血の繋がりがなくても俺はこの子を本当に自分の娘のように思うから、側にいてあげたいんだ。








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