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88 テストのご褒美

ご褒美発表


「ただいまー」


その日の夜、仕事から帰ってきた先生を俺は笑顔で出迎えた。


「おかえりなさい」

「おう、なんかご機嫌だな。テストはどうだったんだ?」

「バッチリです。順位は38位で目標越えてます」

「そうか、とりあえず後でテスト見せてくれ」


そうして千鶴ちゃんと先生が風呂に入ってから夕飯を食べて、千鶴ちゃんを寝かしつけてからの晩酌の時間に俺はテストを先生に見せていた。どの教科もかなり高く、90点超えが目立つのを見てから先生は笑顔で言った。


「うん、よしよしちゃんと勉強したんだな」

「ええ、頑張りました」

「私の教科以外でも高い点数なのは感心だ。約束通り、ご褒美をあげなくちゃな。何がいい?」


ついにそう聞かれた。俺はそれに真剣な表情をしながら答えた。


「先生をお姫様抱っこさせてください」

「・・・はい?」

「ですから、先生をお姫様抱っこさせてください」


二回繰り返すと先生はキョトンとしてから大きく笑って言った。


「ははは、これだけ頑張ったご褒美がお姫様抱っこ?しかも私をお姫様抱っこするって・・・ふふ、本当にお前は面白い奴だな」

「昔からの夢の一つなんです。好きな人をお姫様抱っこする。物語の主人公みたいで格好いいですから」

「そうか、しかし私は結構体重あるぞ?胸が大きいからな」

「大丈夫です。そのために昔から軽い筋トレはしてますから」


全く筋肉つかないから見た目では何も変わらないけど、それでも女性をお姫様抱っこして走るくらいの力はあるはず。そんな俺の言葉に笑ってから先生はこちらに近づいてきて言った。


「なら、満足するまですればいいさ」

「ええ、では俺の首に手を回して貰えます?」

「ああ、こうか?」


そうしてぎゅっと俺の首に手を回す先生。柔らかい感触にダウンしそうになるが俺はゆっくりと体重を預けてもらいなんとかお姫様抱っこする。思ったより軽い先生をお姫様抱っこすると、先生は少しだけ照れくさそうに言った。


「こうして誰かにお姫様抱っこしてもらうのは初めてだ」

「ええ、俺もです」

「なんというか・・・恥ずかしいが嬉しいな。この歳で女の子扱いされてるようで」

「歳なんて関係ないです。遥香さんは俺の大切な人ですから」

「そうか・・・恥ずかしいが、たまにならしてもいいぞ?」


そんな可愛いことを言う先生に俺は微笑んで言った。


「はい、じゃあ今度はもっとロマンチックな場所でしたいものです」

「例えば?」

「花畑とか、夕日の見える丘とか?」

「崖から落とすのは勘弁な」

「ええ、そんな勿体ないことしませんよ」


なんとなく結婚式というワードを口には出せなかった。いつかはそのことも話してみたいものだと思いつつ俺は長年の夢を堪能するのだった。





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