87 結果発表
順位発表
うちの学校では、全てのテストの返却が終わってから掲示板に順位が貼り出される。帰ってきたテストの点数は軒並み大きく上昇していた。この調子なら50位くらいならきっと大丈夫とわかっていても貼り出される順位をドキドキしながら見る。俺の順位は・・・あった。
38位 巽健斗 469点
予想よりいい順位に少しだけ肩の力が抜けると、そんな俺の肩を叩いて雅人が言った。
「目標達成おめでとう」
「ありがとう。こんなにテスト頑張ったの初めてだよ」
「けんちゃん凄いねー拙者は50位ギリギリでござるよ」
「いや、斉藤50位とか凄くね!健斗も38位とかいつもより高いしよーいつからそんな真面目ちゃんになったんだよー!」
そう叫ぶ吉崎は150位をさ迷っていた。まあ赤点がないだけマシと言うべきか、それとも受験生なのに点数が低いことを嘆くべきなのか。
「それで?雅人はどうだったの?」
「ん?俺か?ほらあそこ」
そうして指差すのは一番上のてっぺんの数字。
1位 中条雅人 500点
満点だった。
「おいおい、満点ってマジかよ・・・」
「雅人はいつも高得点だけど今回は凄いでござるな」
「なあに、親友が本気みたいだから俺も多少本気でやっただけだよ」
「いや、本当に凄いね」
前々から学年で10位くらいにはいたけど、満点って。しかも今回のテスト結構難しかったのに、普通に全教科100点は凄すぎる。俺の努力がなんだったのかと思うくらい圧倒的な差があるが、まあ、スペックの違いだと諦める。
「まあ、半分くらいはお前のお陰だがな」
「俺の?」
「ケアレスミスでの点数がなくなれば自然とこうなる」
「つまり、あの時一緒にマックで怒られたのは無駄ではなかったと?」
「ああ、あの迷惑行為のお陰で印象強く頭に残ったのさ」
なんともマックの店員さんにはご迷惑をお掛けして申し訳ないが、それが役に立ったなら幸いだ。そんな話をしていると吉崎が首を傾げて聞いた。
「マックてなんだよ?」
「ん?こないだ健斗と斉藤と3人でマックで勉強したんだよ」
「なんで、俺だけ仲間外れ!?」
「いや、お前誘ったけど普通に断って帰っただろ?」
「そうだったか?なら、今日こそ行こうぜ!」
その誘いに俺達は顔を見合わせてから同じタイミングで頷いて言った。
「「「だが、断る」」」
「即答!?」
リアクションのうるさい吉崎に視線が集まるが、俺は目標達成に少なからず心が緩んでいたのかその時は普通に笑ってしまっていた。これでようやく先生からご褒美を貰える。長年の夢が叶うかもしれない。




