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85 寝耳に水

衝撃的な話をされる健斗さん


「健斗、話があるの」


風呂から上がってから、千鶴ちゃんの髪を乾かしてから戻ると珍しく真剣な表情の父さんからそう言われた。俺は千鶴ちゃんのために水をくんできてから父さんの前に座って聞いた。


「どうかしたの?」

「実はね、私9月から他のお店で働くことになったの」

「そうなんだ。どこで?」


そう聞くと父さんは店の名前とその場所を告げた。俺はそれを聞いてからある可能性に首を傾げた。


「もしかして引っ越すの?」

「ええ、とはいえあなたはこっちに残りなさい。あと一年ないんだから今さら転校しなくてもいいでしょう」

「と、言うことは一人暮らしになるの?」

「いえ、あなたはこの家で預かってもらうことになったから」

「・・・はい?」


まさかの返答に?を浮かべる俺に父さんは言った。


「家は売り払ってしまうから、9月いえ、夏休みの間にはこの家に引っ越してもらうことになるわ。遥香さんの了承は得てるわ」

「また随分といきなりな話だね。それって海斗にはまだ言ってないよね?」

「ええ、どうせ私からの電話なんて着信拒否してるでしょうから、あなたから伝えてくれる?」


そう言われるが・・・


「いやぁー・・・流石に今回のこれは海斗にはかなり衝撃的なんじゃないの?そもそも家を売る必要あるの?」

「ええ、流石に向こうでも家を借りるとなると維持費もかかるしね。それにあなたと遥香さんの結婚資金や海斗の進学の足しにはなるでしょう」

「まあ、遥香さんがいいなら俺は構わないけど・・・ん?」


そんなことを考えていると、袖を引っ張られる感覚。見れば千鶴ちゃんが首を傾げていた。


「おにいちゃん、ちーといっしょにすむの?」

「そうなるのかな?」

「そうなんだ!うれしい!」

「と、言うわけだ。私達も問題はないさ」


黙って聞いていた先生がそう言う。まあ、一緒に住めるなら嬉しいが色々準備は必要かな。多分空き部屋に俺は住むことになるだろうけど、実家の片付けと必要に応じて倉庫代わりにお祖父ちゃんの家に荷物を運んでから、海斗の分もある程度片付けなきゃいけないかな。とはいえ、俺は元々あまり物を持ってないので持ってくとすれば調理器具とか生活品とかかな?


あとは海斗への連絡だけど・・・今回ばかりは流石に俺にもあたってきそうだなーと、他人事のように思うのだった。いや、今初めて引っ越しの件を言われたのは俺も一緒だが、俺の場合は先生と千鶴ちゃんと一緒に住めるという利点があるのでまだ幸せだろう。一足先の同棲かな?





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