724 オタ友訪問
お久しぶりです
「おー、この子が桜ちゃんでござるか」
クリスマスと遥香の誕生日という一大イベントを終えてから、数日後。
年末に向けて動き出す時に、その友人は訪ねてきた。
まあ、斉藤なんだけどね。
「けんちゃんも2人の子持ちでござるか・・・不思議なものでござるな」
「というか、今日来て大丈夫なの?」
この時期は色々と立て込んでるのでは?と聞くと、斉藤は肩を竦めて言った。
「これから聖地に旅立つので、その前に寄ろうと思ったのでござるよ。今年は今日を逃すとお祝い出来ないと思って、色々持ってきたでござる」
「ありがたいけど、しれっとお祝いにオススメの作品混ぜるのは止めてね」
お祝いの中に、何点かアニメのBluRayやら、漫画ラノベ、同人誌と混ざっており思わずそう言ってしまう。
「娘さんの英才教育でござるよ」
「二次元禁止とか堅物なことは言わないけど、明らかに娘向きじゃない作品もあるけど・・・」
「そっちは、奥方用でござる」
年上女性とのラブコメとか、子供向けではないものの方が多い気が・・・というか、それを遥香に読ませてどうしろと?
「何にしても、おめでとうでござるよ、けんちゃん」
「ありがとう」
「隣のカップルは留守でござったが、仲良くやってるでござるか?」
「ラブラブみたいだよ」
忙しくて、雅人ともあんまり会えてないみたいなので、軽く近況は話しておく。
まあ、水瀬さんとラブラブ以外に特筆すべき点はないけど。
強いて言えば、同棲生活に慣れ始めたという感じかな。
「平和そうで何よりでござる」
「斉藤はどうなの?」
「これといって変化はないでござるな。彼女とも関係良好でござるし」
「そっか」
「ただ、けんちゃん達をイベントに誘えないのが残念でござるな」
「流石に桜も生まれたばかりだしね。雅人も、可愛い彼女から離れたくないだろうし」
付き合ってあげたい気持ちも無くはないが、子供の側を離れたくはないし、離れれば確実に気になって集中できないので仕方ない。
それに、子育てが楽しすぎるし、桜を見て和む時間も楽しいので、出来るだけ近くには居たいしね。
雅人に関しては、同棲したばかりの彼女である水瀬さんから離れるとは考えられないだろうし、無理矢理引き剥がすと恨まれそうなのでそんな真似は出来なかった。
というか、好きな人の側に居たい気持ちは痛いほど分かるので、それを邪魔する野暮な真似を俺も斉藤もしたくはないのだ。
「仕方ないでござるな。暇になったらまた遊びにくるでござる」
「イベント頑張ってね」
「勿論でござるよ」
そう言って、去っていく友人はなんとも元気そうで何よりだ。




