72 マックと秘密の共有
男子高校生の日常
「んで、何故マック?」
お昼を食べると連れてかれたのは有名なハンバーガーチェーン店だった。いや、確かに昼飯はとれるし学生らしくはあるが・・・
「だって、お前最近こういうジャンキーなもの食べてないだろ。どうせ乙女的な自分の料理オンリーだろ?」
「失礼にも程があるけど、まあこういうのはあんまり食べないね」
「それに、勉強教わってから彼女と会うならここが一番近いしな」
「はい?」
その言葉に首を傾げると今度は斉藤が笑いながら言った。
「まあ、彼女とのデート前にせっかくなのでガリ勉主夫に勉強教わろうと思ったのでござる」
「いや、勝手に予定組まれても・・・というか、ガリ勉主夫って、斉藤はどこまで知ってるの?」
「黒羽ティーチャーと夜のレッスンしてることくらいでござる」
「いや、してないから!」
したくても今はまだ早いから!というツッコミは閉まってから俺は斉藤に恐る恐る聞いた。
「それは・・・誰にも言ってないよね?」
「む?レッスンにござるか?」
「じゃなくて!・・・俺と先生の関係だよ」
「安心していいでごさる。親友の大切な恋の邪魔はしないでござる。今まで拙者達ののろけを聞いてもらったお礼に少しなら聞くのでござるからな」
「ござる若干うざいけど・・・ありがとう」
その言葉に親指をたてる斉藤。まあ、斉藤はこんなんでも約束は守るから大丈夫だろう。残る問題は・・・
「雅人、流石に吉崎には話してないよね?」
あのお喋りに話していたら絶交しようと思っていたが、雅人はそれに笑ってから答えた。
「安心しろ、流石にあの馬鹿には話さないさ。ただ、薫と母さんは随分驚いてたがな」
「いや、さらりと家族に暴露しないでよ。そこからバレたら終わりなんだから」
「大丈夫だって、二人は俺と同じで口は固いから。ただ、近いうちにお前を呼んでくれと言われたがな」
この親友のサディストっぷりに若干イラッとするが、まあ確かにこいつの妹の薫ちゃんと、母親の巡李さんは信頼できるので多分大丈夫だろう。
「薫氏元気なのでござるか?」
「元気すぎるが、お前を見たらはっ倒すかもな」
「相変わらずのツンデレにござるか?」
「いや、単純にお前が嫌いなんだろ」
そんな会話をする二人をみて、そういえばこうして家族以外に向き合ったのは久しぶりかもしれないと思った。
「あのさ・・・ありがとう二人とも」
そう言うと二人は笑ってから答えた。
「なら、感謝はお前が持ってきた弁当で勘弁してやる。どうせ作ってきたんだろ?」
「おお、けんちゃんの弁当とは素晴らしい褒美でござるな」
「はいはい」
不謹慎なのはわかっているが、俺はその場で作ってきた弁当箱を広げて二人に渡す。そのあと店員に見つかって軽く怒られたが・・・・そんな馬鹿な時間を過ごすことで二人が俺に息抜きをしてくれたことはわかっていたので、なんとなく嬉しくなる。ま、たまになら友達との時間も悪くないかも・・・一番は先生と千鶴だけどね。




