70 テスト当日の朝
決戦当日
「健斗?大丈夫か?」
テスト当日の朝。朝食を食べながらそう先生に聞かれたので俺は笑顔で答えた。
「はい、テスト勉強はバッチリです」
「そうじゃなくて・・・えらく眠そうに見えたからな」
「おにいちゃん、だいじょうぶ?」
千鶴ちゃんからも心配されるが・・・そんなに俺、眠そうに見えたのかな?確かにここ最近少し睡眠時間を削ったからそう見えてもおかしくはないけど・・・倒れるようなヘマをするほどに劇的には変えてないはずだ。
とはいえ、二人に心配かけるのはよくないので俺は笑顔で言った。
「大丈夫ですよ。千鶴ちゃんも心配ありがとうね」
「うん!」
「当たり前だろ、家族なんだから」
先生からそんな言葉を聞けるとは思わず嬉しくなる。家族か・・確かにこうして朝食をとってる姿はまさしく家族そのものだね。いつかはこの立ち位置が父親と夫にクラスアップすることを願う。
「そういえばテスト午前中だけだろ?午後はどうするんだ?」
「勉強して時間になったら千鶴ちゃんを迎えにいきます」
テスト期間は3日間で、午前中オンリーコースだから午後は時間ができる。もっとも俺はテスト勉強と家事と千鶴ちゃんのお迎えがあるのでそんなに時間はないが。先生も仕事が忙しいだろうし、お弁当はきちんと作ってある。
「たまには遊んでも文句は言わんぞ?」
「油断してテストに挑めませんから」
1教科でもおとすわけにはいかない。何故なら俺には果たすべき使命が残っているのだから。
「まあ、お前がいいなら構わないが・・・きちんと休むこともしろよ?」
「当たり前です。それくらいの自己管理はできます」
「頼もしいねぇ」
何年も家の家事と家族の面倒と、学校を両立してきたんだ。今さらこの程度で体調を崩すわけない。それに高校のテストは午前中×3日間のコース。小中みたいに1日コースではないからまだ楽だ。まあ、5教科+その他の教科なので科目は多いが・・・なんとかなるので多分大丈夫だ。
「遥香さんも体調気をつけてくださいね。忙しいでしょうから」
修学旅行前&テスト前で大忙しの先生にそう言うと先生は微笑んで言った。
「大丈夫だ。人の心配ばかりだと禿げるぞ?」
そう言ってから額にデコピンされる。その表情がなんだか大人っぽくで、思わず見惚れてしまったことは内緒だ。そんな感じで先生と千鶴ちゃんに癒しを貰ってから俺は戦場に向かう準備をするのだった。この戦いが終わったら俺・・・願いを叶えるんだ。あれ?なんだか死亡フラグに聞こえたけど気のせいだろう。うん。




