68 プチ嫉妬
フレンドリーな妹さん
「ただいまー瑠美来てるのか?」
「姉さんお帰りなさい」
「おう、って二人で何してるんだ?」
そう聞かれて俺と瑠美さんはキョトンとしてから瑠美さんが答えた。
「夕飯のお手伝いだよー。健斗くん本当にお料理上手なんだね」
「それはわかるが、二人でやる必要あるのか?」
「おーなになに?嫉妬?可愛いねー姉さんはー」
随分とテンションが高い人だけどウザいとは思わないのは先生に似てるからだろうか?先生もそれに対して特に言及しないでため息混じりに言った。
「すまないな、瑠美が迷惑かけたみたいで」
「お気になさらず、こうして誰かと台所に立つのは随分と久しぶりなので楽しいです」
「そうか?なら今度私が付き合ってやろうか?」
「姉さん料理できないじゃん」
「・・・食材出したりとかはできる」
そう呟く先生に俺は微笑んで言った。
「楽しみにしてます」
「ん、そうか」
そんな俺と先生のやり取りをみて瑠美さんはくすりと笑って言った。
「ラブラブだねー、これでまだ結婚してないんだから結婚したらどうなるのか気になるね」
「何も変わらないさ。私が健斗を一層愛するようになるだけで」
「まあ、少なくとも和也さんよりは健斗くんの方がまともでいいと私は思うよ。教師としては少しだけあれだけど」
「お前の和也嫌いも相変わらずだな」
そう呆れる先生だが・・・瑠美さん和也さんのこと嫌ってたの?そんな俺の疑問に答えるように瑠美さんは口を尖らせて言った。
「だって、あの人昔から苦手なんだもん。悲劇のヒーロー気取りで」
「実際そうなんだから仕方ないだろ?」
「そうは言っても限度があるよ。しかも姉さんとちーちゃん残して先に逝くとか信じられない」
「仕方ないことなんだよ」
「全く・・・まあ、健斗くんなら大丈夫だって信じてあげるよ。何しろちーちゃんのあの顔と姉さんの態度を見れば安心できるし、何より家事できるしね」
「ありがとうございます」
家事できなければアウトだったのだろうか?ならこの手のことが出来ることに感謝せねば。
「というか、和也はダメでなんでいきなりの健斗はOKなんだ?」
「人柄かな?健斗くんは草食系の中でも特に草食系の優しさを持ってそうに見えたから」
「私の健斗をヘタレと言いたいのか?」
「むしろ、姉さんが肉食系すぎるから健斗くんを壊さないか心配だよー」
妹にまで心配されるほどの肉食系・・・気にはなるがそれ以上の言及はできなかった。というか、俺ってそんなに見た目ヘタレに見えるの?確かにヘタレだけど、無意識にそう言われると気にしてしまうが・・・うん、アイデンティティーを大切に!




