66 旅行の予定
ご予定
「そういえばテスト終わったらすぐに修学旅行か・・・」
「だねー」
テストまであと少し、なんとか頭に詰め込んでいるとそんなことを言ってくる親友に俺は生返事をする。
「にしても、東京に修学旅行ってセンス凄いよな」
「雅人は東京嫌なの?」
「嫌じゃないけど、何度か行ってるしあんまり旅行感しないよな」
「そっか」
まあ、俺からしたら多少楽しみがないわけでもない。とはいえ、不安もある。やっぱり千鶴ちゃんを置いていくのはかなり抵抗がある。もちろん先生の妹さんを信じてはいるけど、なんというか家を短期間とはいえ空けるのは主夫希望としては思うところがあるわけで、でも先生のことも心配なのでかなり複雑なのだ。
「そういや、お前は個人行動はどこ行くのか決めたのか?」
「まだ考え中。雅人は?」
「俺はその時の女で変わるから特に決めてない」
凄いゲスい台詞だけどなんとなく納得してしまう。果たして雅人は修学旅行までに何人の女子と出会いと別れを繰り返すのか。
「そういや、旅行中は黒羽とはどうするんだ?」
「どうって・・・ほどほどにやるけど」
「つまり、個人行動の時にでも二人で抜け出すと。わかった」
「それだけで納得するのは凄いけど」
時々こいつには心を読まれているような気がする。 なんだかんだで付き合い長いせいかのか、それとも俺が分かりやすいだけなのか。
「しかし、てっきりお前は修学旅行休むとばかり思ってけど、よく行く気になったな」
「まあね」
「黒羽の娘さんのこと心配して残るかと思ったけど、そっちは大丈夫なのか?」
「うん、なんとかなるらしい」
そう言うと雅人はニヤリと笑ってから言った。
「そうかそうか、黒羽にも愛人がいるのか。それならお前は出番はないな」
「不吉なこと言わないでよ」
先生に愛人がいたらかなりへこむ。いや、信じてはいるけど、もしそうなら失恋どころかドロドロの昼ドラ展開にでもなりそうで食事も喉を通らない。まあ、例えそうでも先生への愛情がなくなることはないだろうけど。
「妹さんが面倒みてくれるそうだよ」
「妹・・・やっぱり美人なのか?」
「かもね。ちなみに既婚者らしい」
「ま、そりゃ黒羽レベルの美人なら結婚してない方がおかしいわな」
妹さんか・・・いつかは会うのだろうけど、どんな風に接すればいいのか悩むな。シスコンとかだったらこんな冴えない男子高校生が先生の彼氏?なのはなんとも言えないだろうし、難しいものだ。そもそも先生は俺のことを家族に報告してるのかわかないから、なんとも言えないよな。まあ、その時がきたら無難に対応するしかないか。




