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47 図書館

ママチャリ



翌日、何故か昨夜から上機嫌な先生が仕事に出たあと、俺と千鶴ちゃんは図書館に向かっていた。・・・自転車で


「にしても・・・ママチャリまで持ってるとは遥香さんどんだけだよ」

「おにいちゃん?どうかしたの?」

「なんでもないよ千鶴ちゃん」


後ろの子供用の椅子に座る千鶴ちゃん。昔こういうの持ってなくて俺は荷台にそのまま乗って足を車輪にダイブさせたことはあったが、そんな事故が起きないであろうこの自転車のスペックの高さに驚く。まあ、うん結構重いんだけどね。世の中のママさんこれを普通に運転してるとか神がかった芸当だよね。


「千鶴ちゃん。大丈夫?」

「うん!」

「そっかよかったよ」


汗が出てくる。おかしいなまだ5月に入るばかりなのにこんなに汗をかくとは・・・体力不足かな。うん。そんな風にして自分の情けなさを痛感しながら図書館に着くと後ろから声が聞こえてきた。


「ちずるちゃん!」

「あ、りっちゃん!」


りっちゃん・・・聞いた覚えがあるような。あ、よく千鶴ちゃんの話に出てくる友達か。りっちゃんは後ろの俺を見て首を傾げてから言った。


「おにいさん、もしかしてちずるちゃんのおにいさんなの?」

「そういう君は千鶴ちゃんの友達かな?」

「うん!まとばりんです!」

「挨拶できて偉いね。巽健斗です」


そう挨拶をしていると、後ろから先生と同い年くらいのえらく色気のある女性が歩いてきた。


「凛、いきなり走ったら危ないでしょ」

「ごめんなさい。まま」

「まったく・・・えっと、千鶴ちゃんのお兄さんですよね。お噂は聞いてます。凛の母の的場律子(まとばりつこ)です」

「巽健斗です。娘さんにはいつも千鶴ちゃんがお世話になっております」


そう言うとうふふと笑って言った。


「こちらこそ。本日はお二人だけですか?」

「ええ、遥香さんは本日はお仕事でして」

「あらあらお忙しいのね」


俺と律子さんが話していると千鶴ちゃんと凛ちゃんも楽しそうに話していた。


「きょうはね、じてんしゃできたの」

「いいなー!わたしものってみたい!」

「おにいちゃんとはだめだよ?」

「なんで?」

「おにいちゃんはちーのおにいちゃんだから」


可愛い発言ありがとうござます!そんな台詞を聞けるとは思わず感動するけど、どうせならお父さんて言ってほしかったな。いや、まだ早いのはわかっているけど、こればかりはやはり思わずにはいられない。お父さんか・・・そういえば、俺は先生の家庭事情を聞いてしまったんだ。


色々壮絶な話を聞いて思ったのはやっぱりこの人達と家族になりたいというシンプルな気持ち。なら俺は今までと何も変わることはないだろう。そう思えた。



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