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異世界に飛ばされたのでたまに日記を書くことにした。  作者: 丘/丘野 優


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25日目(中)

 《平常の迷宮》第五層のボスは、ゴブリンナイトと呼ばれる魔物だ。

 これは、通常のゴブリン……つまりはグリーンゴブリンが武具を身につけ、更には武術までも扱えるようになった魔物である。

 どんな武具を身につけているかは個体によるが、一番多いのが剣であり、次に槍だと言われている。

 弓の場合にはゴブリンアーチャーと呼ばれて別種とされるので、また違ってくる。

 まぁ、この辺の分類は人間が勝手に決めているところもあるので、本当にそれで正しいのかどうかは議論があるが……。

 剣術や槍術の他、弓術って地球では歴史上、騎士が身につけてきたものだよな。

 日本だと武士だろうが……そう考えると、別にゴブリンアーチャーもゴブリンナイトの範疇なんじゃないのか?とか思ってしまう。

 一応、この世界には鑑定があるが、鑑定の結果というのもそこまで信用できないというか、絶対というわけでもないようだ。

 どれだけそのスキルに熟練してるかとか、そもそもの知識量とか、そういうものに影響されるらしい。

 そのため、この世界における学問というのはしっかりと意味がある。

 スキルにどういう感じかは分からないが反映されるようなのだ。

 というか、スキルと、通常の修練によって身につけた技術の差が曖昧なんだよな……。

 まぁこの辺はリューに意見を聞きたいところだが、あいつの話は難しくて微妙なところがある。

 しっかり理解するためには腰を据える必要があるだろう。

 それか、頼み込んで簡単に噛み砕いてもらうか。

 言えばやってくれそうな気もするから、今度色々聞いてみるかね……でも、えげつない報酬を要求されそうな気もするので考え所だ。

 この場合のえげつない、とは高価という話ではなく、俺の身の安全の話である。

 考えたくもない……。


 いや、そんなことよりも今日はボス部屋だ。

 俺は今、ボス部屋へと続く大扉の前に立っていた。

 金属製に見えるが、触れてみてもどんな金属とも違う不思議な感触の返ってくる素材で出来ている。

 これに攻撃を加えても破壊することは難しいらしい。

 少なくとも既存のどんなスキルで攻撃しても、破壊できた試しはないようだ。

 迷宮の壁は意外に壊せるようだが、壊したところで次の日には、というか数時間、数十分で修復してしまうらしい。

 そもそもそれすらも壊すのにはかなり苦労するようで、労力の無駄なので誰もやらないようだが。

 迷宮の壁を壊して素材として手に入れようとしても、これは迷宮を出る時に消えてしまうようだしな。

 本当に無駄な労力になる。


「……さて、行きますか……」


 かなりの重量がありそうなボス部屋の扉だが、意外に開けやすい。

 というか、開けという意思を込めて押すと半ば自動的に開いてくれるのだ。

 ゴゴゴゴ、といういかにもな音を響かせながら開いていく扉の向こうに、俺の目的とするボスが立っているのが見えた。

 

「……ゴブリンナイト……じゃなくないか?」


 そこにいるのは、ゴブリンナイト、のはずだった。

 確かに、低身長の、武具を纏ったゴブリンが立ってはいる。

 ただし、その肌の色が緑じゃない。


「赤肌……レッドゴブリン……そのナイトか……」


 ゴブリンの基本的な強さはその肌の色でわかると言われる。

 最も強力なものは肌も含め、全てが黄金に輝いているらしい。

 これはアウロラですら一度見かけたことがある程度のようだ。

 次に白である。

 治癒系の術に長けていて、タフであり、また聖なる術すら扱うディバインゴブリンと呼ばれるものだ。

 神に祝福されたゴブリンとも言われており、遭遇したら生きて帰るのは諦めろと言われるほどのもの。

 次にブラックであり、ここからはかなり格が下がる。

 最も弱いものなら、今の俺でもなんとか倒せるくらいになのだから、それはそうだ。

 そしてレッドと続き、最弱がグリーンだ。

 そこから考えると、アウロラと歩いていたときに遭遇した奴らよりはマシ寄りなのだが、それでも五層で出るような相手じゃないはずなのに……。

 逃げ帰るか?

 いや……。


「そういうわけにもいかないよな」


 断じてアウロラを恐れてのことじゃない。

 これくらいの奴から逃げ出すようでは、いつまで経っても強くはなれない。

 そう思ったのだ。

 だから俺は勇気を出して、ボス部屋に一歩、足を踏み入れたのだった。

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