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59話 フォレストで暗躍する仮面


 3人が去ったのを見計らい、青仮面の男が再びドラゴンの死骸の前に現れる。


「全く、あんな奴らにやられるとは、最強の生物の名が泣くぞ」

 呆れをぶつけるように、ドラゴンの死骸に1つ蹴りを入れる。


「しょうがないさ、あの小僧はともかく、妖精にテンペストが相手じゃ分が悪かったんだろう」

 もう1人、長い杖を持った赤色の仮面の男が空からゆっくり降りてきた。


「テンペスト?あぁ、そういえばそんなご大層な2つ名を持ってる奴もいたな……あの女がそうだったのか」

 心底興味なさそうに呟く。


「たった2人相手にやられる魔物じゃないはずなんだがな……」

 青仮面の男が心底不思議そうに呟くが、

「2人?男女1人ずつと妖精の3人なんじゃ?」

「あの小僧は数に入れてない」

 どうやら青仮面はタクマを頭数に含んでいないようだ。


 確かに誰も予想出来ないだろう。無名で大して警戒するに値しなさそうな奴が、実はキーマンだったなどという事実には。


「しかしどうする?ドラゴン使っても表舞台に立たない奴を、どうー」

「僕に策がある」

 赤仮面の言葉を遮り、青仮面が死んだドラゴンを見上げる。


「策って、ただでさえドラゴン使う策は3人に潰されたっていうのに、これ上回る策なんて……」

「あるんだよ、それが……」

 口角を上げ、不敵な笑みを浮かべる青仮面に、

「何をするか知らんが、俺の計画の邪魔はしないでくれよ?」

 煩わしそうに言葉を返す赤仮面。


「当たり前だろ?お前の計画が台無しになったら、これまでの全てが台無しになるのと等しいからね?」


「そういえば、ここにテンペストがいるってことは、造花がフォレストに滞在してるってことなのかな?」

「それは……いい!あぁ……とてもいい事を思いついた!」

 赤仮面の呟きに何かを思いつき、再び口角を上げる青仮面。


「いっそのことここで造花を始末しよう!」

「造花を始末ね……簡単に出来るならリラに黒の仮面を殺されていないんだけどね?」

 赤仮面は、今は亡き同胞を殺めた存在を思い出していた。


 かつて造花の1人だった、今は亡き、憎き存在。


「出来るなら、リラは俺の手で殺したかったが……」

「想いに耽っている場合じゃないよ!僕はこれから今の造花の実力を確かめに行く、お前も来い」

「えぇ、俺も行くの?」

 やる気に満ち溢れる青仮面に対し、やる気がどこにもない赤仮面。


「当然だ、防御魔法も1つ必要だし、僕はこの死んだドラゴン動かすのに手一杯になるかなね、僕を死なせたくなければ来い」

「そんな脅し文句あり……?」

 赤仮面の文句を聞き流し、再び死んだドラゴンに目を向け、ドラゴンの下に魔法陣を生成し、詠唱を1つ。


【死せるドラゴンよ、我が声、我が魔力に従い、再びその力を振るい、この地に生きる命に絶望を見せろ】


 瞬間、魔法陣が光を放ち、死んでいたはずのドラゴンが立ち上がる。

「はぇ〜、流石は言霊の魔力だね」

「お世辞はいらん。所詮は僕の魔力で動くだけの死体だ。ロクな強さじゃない。だが」

「だが?」

 心底愉快そうに、ドラゴンを見上げ、

「造花以外の雑魚冒険家には、これで十分だ」

 笑いを堪えるように声を振るわせた。


「あれ?狙いは造花じゃないのか?」

「いや、造花だよ。あんなのと正面から戦えるわけないだろ?だから、まずフォレストにいる冒険家を全滅させる」

「全滅って、俺らの目的はあくまでー」

「知ってるさ。けど、いくら造花といえど、1パーティだけで私達の計画を止められない。つまり…?」

「……成る程」

 赤仮面も何か理解したのか、青仮面同様口角が上がる。


「要はフォレストから造花以外の冒険家を追い出せばそれでいいのね?よかった、俺は手荒な真似は嫌いだから……」

「よく言うぜ、お前の計画が群抜いて荒っぽいくせによ?でも」

「ようやく大詰めだね……」

「あぁ、これでようやく、ドライアドを始末出来る」


「そうと決まれば、とっとと準備してくるわ」

「俺も行くよ、防御魔法張らないといけないし。お前はボスから貰ったストックスカっちゃったもんな」

「うるせぇ」

 2人でドラゴンの背中に乗り、森の奥へと消えていった。

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