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57話 妖精


「やあ、おはようお兄さん!」

「……」

 シルフィがいる。


「おはようお兄さん!」

「おはようございます。何で僕の部屋にいるんですか?」

「何でだろうね!あははは!」

 そもそもどうやって4人の家や部屋を見つけたのだろうか。


「よし、最後は音楽お姉さんだね!」

「音楽お姉さんて……」

 今の口ぶりだとホープとマナにも似たような事したらしい。


 似たような事と言っても単に起こされただけだが、それでも朝一に見慣れない顔があるのは驚きだ。


「ふあぁぁあ……」

 あくびをしながらリビングに向かう。


 ここに来てまだ1週間経っていないが、いつのまにか何も考えずに迷う事なくリビングに向かえている。


「おはようございます」

「おはよう!」

「タクマおはよう」

 普段通り、席につこうとしたら、


 ガシャァァァァン!


 と、なんとも不穏な音が響いてきた。

「「!?」」


「おはよう」

 暫くするとコガネの部屋、というか音のした方からコガネが起きてきた。

「おはよう、ございます?」

「ごべん……なさぃ……」

 コガネの手にはシルフィが、シルフィだったものが乗っている。


「ちょっとこれ死んじゃったから埋めてくる」

「いや生きてる!生きてるよお姉さん!ごめんなさい!助けてください!」

 聞こえなかったフリして家を出ようとするコガネだが、

「コガネ!先ご飯にしよ!」

 マナの一言がコガネを止める。

「わかった」

「よ……よかったぁぁ……」

 シルフィは急死に一生を得た。





「さぁ張り切って行くよ!」

 シルフィが元気に戸を開ける。

「……よく開けれましたね?」

 人間サイズで作られたドアを造作もなく片手程度の大きさの妖精が開ける。


「どう、凄いでしょ!」

「凄いです!」

「もっと褒めていいんだよ!」

「いやです」

 なんかドヤ顔がうざい。


「「「こんにちは!」」」

「こんにちは!造花の面々じゃない!ちょうどこの依頼を渡そうと思っていたんだ。出来れば1週間以内で終わらせて欲しい。」

 ドライアドが入ってきた早々の4人に1枚の依頼書を渡す。


『直接依頼書』

壱.初めて例の女性と会った場所の調査

弐.世界樹の保護

参.上記の調査が終わり次第報告


「何ですかこの凄い依頼書!?」

「直接依頼書だよ!基本ギルドマスターから依頼が来る時しか見れないレアモノだよ!」

 確かに今までの依頼書は依頼主がギルドに駆け寄って内容を伝えて真偽を確かめて冒険家に伝える間接的だ。


 が、

「直接と間接でこんなに違うなんて……って、世界樹の保護?」

 紙質ばかりに気を取られていたが、世界樹の保護とは一体なんだろうか。

「んじゃ、よろしく頼んだよ!」

 それだけ言い残しそそくさと去ってしまったため聞けなかった。


「この依頼は明日やろう。今日はこっちな」

 ホープさんが依頼書の貼ってある掲示板を見渡す。

 シルフィも同行する為出来る限り簡単な依頼を探すが、

「どれもしんどい」

 掲示板には4枚のビラ。あまり強くない魔物の依頼がない、むしろなぜ昨日でこんな魔物を見つけてきたのだろうかと思う。


「お兄さん達、これがいいと思うよ?」

 シルフィが1枚の依頼書をタクマに渡す。

内容は、


《木の化け物が暴れている》


「トレントですか?」

 タクマはまだ戦った事のない相手だが、面倒臭い依頼しかないと言っているから恐らくあまり相手取りたくないのだろう。


「ま、これが一番ましか。これにしよう」

 場所は行商人が使う通路の近くと言われたが、サッパリピンと来ないので全て任せた。





「うわぁ……」

 行商人の馬車が通る専用にレンガが敷き詰められた道。

 森の中というわけで当然両サイドには木が羅列して生えているのだが、トレンドは木に紛れているつもりなのだろうか。


 身体中が痒いのか知らないが不自然に木が揺れている。


「気持ち悪い」

 木がウネウネしてる。

「よし、頑張ろうね!お兄さん達!」

 シルフィはやる気だ。

「「「……」」」

 残念、シルフィだけがやる気だ。


 木が動く魔物というのは容易に想像出来た。


 いや、トレントと言っても木で出来た体ではなく木のような体なのだから、木みたいな魔物が動く事は想像出来た。


 だが、ここまで気持ち悪いのは想像出来なかった。


 いざ目の前にすると木の根みたいな足はウネウネ動き、体がわさわさ揺らして枝葉が上下左右に不自然に動く光景はなんとも言えがたい。


 相手の圧ではなく、気持ち悪さで後ずさる。


「お兄さん達どうしたの?」

「いや、どうもしてない。どうもしてないんだけど……」

 目の前の光景がどうかしてる。

「なんでこの依頼受けたんだっけ……」

 遠い目をしたコガネは既にトレントに目を向けていない。

「ほらほら、腐ってないでやるよ!」

 手をパンパン叩き指揮を上げるホープだが、

「私無理だわ……」

「私も」

 マナとコガネは参ってる。

「はぁ……しょうがない、タクマ、俺と2人でやるぞ」

 ため息を吐きながらホープは剣を抜き、トレントの方を向き、構える。

「はい……」

 正直だいぶやる気が起きないが、依頼を承諾した以上やるしかない。


 剣を抜き、構えた瞬間、

「!!!!」

 トレントがこちらの殺気に気付き、走ってくる。

「うわぁぁ無理!僕も無理!気持ち悪い!」

 ウネウネ動く触手のような根の足にハロウィンカボチャの様な顔、奇声を上げ、走る度に頭の葉っぱがわさわさ揺れて拒絶反応が反射的に出てくる。


「タクマ!漢でしょ!頑張って!」

「ホー……頑……って。」

 マナがめちゃ後ろから応援してくる。


 コガネに至っては小声すぎて上手く聞き取れなかった。

 まぁなんていったかわかったけど。


「ホープ頑張って?お熱いですな〜!」

「うるさい、タクマも戦え」

 照れ隠しが隠せてませんね。


 とはいえ、女性陣があそこまで下がってしまってはやるしかない。


 ホープに任せればなんとかなるが、それは甘えだ。

「はぁ……!よし!」

 再びトレントを向き、構える。

 ホープが相手しているので息を整える余裕があって助かった。


 勢いよくトレントに

「ちょっと待ってお兄さん!」

 走り出したかったが、

「っとと、どうしました?」

 急ブレーキをかけシルフィを見る。

「ここは任せて貰えないかな!うちの力を認めさせたいし?」

「……」


 どうやら簡単な依頼にされたのが気にくわないらしい。


「別にいいですけど?」

「よしきた!」

 嬉しそうに両手を前に出して魔法陣を生成し、

「よし、いいとこ見せますよ!」

 両手を広げて詠唱を唱える。


【内に秘めたる力よ、どうか我が想いに答え、眼前の敵を打ち払え】


「うわぁぁ!?」

 急に魔法陣から木々をなぎ倒す突風が吹く。

 トレントと一緒にホープも吹き飛ぶ。


「え!?何、何が起きたの!?」

 思わずシルフィを2度見する。

「どう?驚いたでしょ?」

「マジか……!」

 なんか妖精って自然の力とか回復とかそっちのイメージの方が強かった。

 ドライアドは回復専門だったが、まさかの戦闘系の妖精か。


 まぁでもエルフや妖精の冒険家がいるっていってたし、納得ではあるが。


「いや驚いたけど、バケモノ吹き飛ばせるのは流石に引きそう……」

 まぁ魔法だからできないことはないんだろうけど、体格差をもろともしないほどの威力が出るとは。


「シルフィすごいね!」

 素直に称賛を送るマナと、

「だしょだしょ〜?」

 妙にうねうねして賛美を貰うシルフィ。


「だしょってなんやねん……」

「正直戦えないものかと思ってたけど、びっくり」

 全然びっくりしてなさそうな口調だが、コガネさんも称賛している。


「そっちで盛り上がるのはいいが、俺の心配はないのか……?」

 トレントと共に飛ばされたホープが戻ってくる。

「ご、ごめんなさい」

 ついうっかりだ。


「お疲れ様!いや〜凄かったね!凄い吹き飛んだねホープ!大丈夫!」

 マナさんが笑いながら聞くと、

「無事っちゃ無事だが誰も心配してくれなくて心が無事じゃないよ!」

 ため息吐きながら、そして苦笑いしながら返すホープ。


「よし、戻りましょう!依頼も達成ですし!」

「残念、まだ終わってないんだな!」

 マナが苦笑いしながら吹っ飛ばされたトレントに杖を向ける。


「!!!!」

 依頼は討伐。まだ倒されてなさそうだ。


「今度は私とコガネとタクマでやるからホープとシルフィは休んでいいよ!」

 マナが杖を構える。

「おう、頼んだ」

「お姉さん達頑張って!」

「勝手に僕もやることになったけど頑張ります!」

 いうてさっきは何もしてないから気にしないが、巻き込まれた。


「よし、頑張りますよ!」

 剣を抜き、トレントに向けて構える。

「気持ち悪いけど、頑張る」

 コガネも杖を手に取り構える。

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