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54話 vs小型ドラゴン 決戦


「!!!!!!」

 ドラゴンが町の前で暴れている。

 町の前の木々は燃えているが、幸いまだ町に被害は出ていない。


「とにかく被害を出すな!」

「ダメだ、全然効かない!」

「回復出来る人は回復に回って!」

 町にいた冒険家たちの決死の声が響く。


「こうゆうイベントは町を出る1週間くらい前でいいんだよ!」

「意味わからん寝言言ってる場合じゃないぞ!」

「すみま閃!」

 謝りながらドラゴンに一閃振るう。


 風の魔力を込めて振ったが、かすり傷の1つもつけられないどころか、こちらを振り向きもしない。


「取り敢えず2人を家に連れて帰ろう、応戦はその後だ!」

「待って!」

「なんだマナ!2人は家でー」

「私とタクマは町に戻らない!」

「……は!?何言ってんだ!?」

 マナがとんでもない事を言い出したが、タクマは何がしたいのかなんとなく察した。


「あのドラゴンの狙いは私とタクマ。だから私とタクマが町に戻ったら町に被害が出る!」

「だから僕らがここに残ってドラゴンの注意を町から僕らにそらします!」

 そう、このドラゴンが荒れている引き金は、大元を辿らなくても、タクマとマナだ。


「理由はわかった、けどその後どうするんだ!2人とも動けないだろ!」

「だから守ってください!」

「はぁ!!?」

「私達を守ってくれるホープとコガネ超カッコいい!!」

「そこに痺れる憧れるぅ!」

 煽るように笑うマナと、名言を使ってさらに煽るタクマ。


「ああぁぁァもう!!2人とも後で覚えてろよ!!」

 ホープとコガネはロクに動けない2人を下ろし、コガネがホープの剣尖に生成された魔法陣向けて詠唱を唱え出す。


【音の魔力よ、進むたびに強くなるその力で、その一矢を極限まで高めよ、クレッシェンド】


「ホープ!」

「おっけい!せい!!」

 ホープが放った一突きは一瞬でドラゴンの元まで届き、背中に直撃する。


「!!???」

 流石にこちらに気づき振り返る。

「!!!!!!!!」

「うっさい……!」

 明らかに町を襲っていた時より強い殺気と咆哮を上げてきた。


「やっぱり狙いは僕たちでしたね?」

「だよね、言ってしまえば仇だもんね?」

「!!!!!!」

 ドラゴンが荒れ狂いながら突進してくる。

「走る天変地異だ……」

「馬鹿なこと言ってないでちゃんとしがみつけ!」


【雷と風の力よ、その速さと鋭さを持って、敵を切り刻め、閃光カマイタチ】


 カマイタチを正面から受けるが、怯む様子なく突進してくる。

「くっ……」

 諦めて魔法を止め、マナを抱えたまま後ろに飛ぶ。

「ハァ!!」

 ホープが一閃するが効いてる様子はない。


【雷の力よ、その電撃は一点に収縮し、強大なエネルギーの塊を敵に撃ちつけろ、レールガン】


 追い討ちをかけるように強大な魔力を秘めた電気の塊がドラゴンめがけて放たれる。


「レールガン!?お姉様!?」

「おいタクマ!どうした!」

「いえなんでも……」


 あぶねー、聞かれてなくてよかった。


 ドラゴンはレールガンが直撃しても怯む事も苦しむ事もない。

「おいタクマ、マナ!1体目のドラゴンはどうやって倒したんだ!」

 当然の質問だ。頑丈過ぎる鱗にどの魔法も通らないと思わせる魔法耐性。


 桁外れの攻撃と言われる魔法でも対して効かない。


「タクマが耐性壊しては私が大魔法を撃ち込んでを繰り返してた!」

「……ヤバ」

 あのコガネが嘲笑した。


 ただでさえ厚い鱗なのに耐性を壊しては鱗を貫通する強大な魔法を撃ち込んでを繰り返したという事だ。

「2人とも本当によく無事だったな……でも」

「お陰で私達2人じゃ倒せないって事がわかった、どうしよう」


 ホープはタクマよりずっと強いが、魔法や耐性をも超越するものは持ち合わせていない。


 コガネは音の力で汎用性はかなり広いが、マナに比べて一撃の最大打点は小さい。


「2人で倒せないなら4人で倒しましょう!」

「おいタクマ、お前動けないだろ……」

「はい、動けません。でも実は飛び道具は使えます!」

「は?何言ってー」

「ホープさん来ます!?」

「!!!!!!」

 ドラゴンの尾がタクマとホープ目掛けで飛んでくるが、当たる寸前でかわすことができた。


「飛び道具なんて持ってるのか?」

「とっておきのものが1つありますよ!」

 ポケットの中には、残り1つになった魔球が入っている。

 1日で使い切るとは思わなかったが、心の底から買っててよかったと感じた。


「マナ、1発1番でかい魔法撃てる魔力は残ってるか!?」

「1発だけなら!」

「おっけい!コガネ!マナを守りながら動けるか!?」

「余裕」

「俺とコガネが動揺させてる間、マナはとにかく詠唱!タクマも準備しておけ!」

「「「了解!」」」

 各々やるべきことが決まり、気持ちを整える。


「!!!!!!」

「わざわざ待ってくれてありがとう!」

 別に待っていた訳ではないだろうが。


「あれ?マナさんは?」

 コガネがマナを背負っていない。

「見えないところに置いてきた」

「おい!詠唱や魔力で場所がバレたらどうするんだよ!?」

「そうならないために、私が頑張る」

 とだけ言って詠唱を唱える。


【光の力よ、その輝きは強さを増し、敵の視界を眩ませよ、フラッシュ】


 コガネの放った魔法で、目を閉じてもぐらつくほど辺り一体が一気に明るくなり、コガネの魔力で満ち溢れる。

「やばい!目が!?」

「目隠し!!」

 後ろからホープの目を塞ぐ。タクマは自分の目を塞いでないのでしっかり喰らう。


「すまん!大丈夫か!?」

「大丈夫です、それより多分そろそろ……!」

「準備出来たよ!」

 予感が的中。マナの声が響き渡る。


「!!!!!!」

 その途端、ドラゴンの狙いはタクマとホープからマナの声がした方がへと逸れ、一心不乱に突進していく。


「無駄【テレポート】」

 ドラゴンが声のした方で暴れ回り大量の木々が薙ぎ倒されるが、そこにマナはおらず、いつのまにかマナはコガネに背負われている。


「本当、詠唱ストック出来るの便利ですね!」

 今までの戦いでも何度も見てきたが、この戦いで、改めてどれだけ便利か思い知らされた。


 それより、

「タクマ、いくぞ!」

「はい!」

 ホープがドラゴンの真上へ飛び跳ね、

「おりゃ!」

 若干拍子抜けの声と共に、ドラゴンに向かって魔球を投げる。


 そして魔球がドラゴンに当たった瞬間バリンと音を響き上げ、投げた魔球が弾け飛ぶ。


「マナさん!」

「おっけい!」


 ホープはマナの魔法に巻き込まれないよう急いで離れ、

「喰らえ!【紅蓮の矛】」

 そしてマナが魔法を放つ。


「「「「いけえええェェェ!!!」」」」

 ドラゴンの頭上に強大で巨大な矛が落ち、

「!!!!!」

 首に突き刺さった矛はドラゴンを貫通し、矛が地面に突き刺さった衝撃と爆音が響き渡る。


「はぁ……はぁ……終わったぁぁぁ」

 一言呟き、マナは気を失った。


「終わった……タクマ、無事か?」

「ちょっと、やばいかも……」


 普段殆ど魔力を使わず戦ったせいか、魔力自体は殆ど減っていないが、慣れない魔力不足に陥りタクマも気を失った。


「コガネ、マナは?」

「大丈夫、気を失ってるだけ。タクマはー」

「タクマもだ。本当によかった……」


 2人を背中から下ろして寝かし、ホープとコガネは小さな岩に腰掛ける。


「タクマが投げたさっきのやつ、何?」

「さあ、俺も知らない。でもタクマは「固有魔法が篭ったボールだからこれを投げる」とは言ってた」

「そうなの?」

「気になるが、全部明日だ。本当に頑張ったな」

 ホープは眠る2人とコガネを見て、思わず笑みをこぼした。


 暫くして、

「おーい!」

 ドライアドが4人の元に駆け寄ってきた。


「ドライアドさん、どうしました?」

 慌ててコガネとホープが立ち上がる。

「いや大したことじゃない!怪我してないか見にきただけだけど……良かった、怪我はなさそうだね!」

「いや俺らはないけど、2人はズタボロだよ?」

 反射的に眠る2人に目をやるが、

「まぁまぁ、既に癒された後でしょ?」

 2人は殆ど外傷がなかった。


「それにしても見事だったよ、流石造花だね!」

「でも、森が……!」

 コガネが焼けた森を見渡す。


 薙ぎ倒された大量の木々に焼けこげた巨木。立ち込める煙と鼻を突く火の臭い。


 被害は町の正面一体だけだが、草木の香り漂う、涼しげのある風景は明日からみれそうにない。


 しかし、ドライアドは枯れた風景を見もせずに、

「森は妖精やエルフがなんとかするし!それに、死人が出るよりよっぽど良かった!」

 無傷の町を眺めて笑顔で答えた。


「その様子だと死人は出てないんですね」

「回復魔法が得意な人達は全員回復に当たらせたし、私も手伝ったからね!」

「成る程!」


 あれだけ炎を吐いておいて一切、人的被害と物的被害が出なかったのは、ドライアドの奮闘の賜物のようだ。


「後始末とかしないといけないけど、今日はもう早く2人を家で休ませてあげて?後処理や話し合いは明日、じゃあね!」


 2人に背を向け羽根を広げ、町へ飛び立った。


「俺らも戻るか」

「うん」

 ホープとコガネもマナとタクマを担ぎ、眠っている2人の事の話に花を咲かせながら、ゆっくり町へ戻っていった。

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