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53話 vs小型ドラゴン 逃走


【風よ、2人を吹き飛ばせ、突風】


 どこからか聞こえた詠唱がマナを吹き飛ばし、マナは光線の直撃を間逃れる。


「マナ!」

 コガネらしからぬ焦った声で駆け寄る。

「マナ、しっかりして!」

 真っ青になったコガネがマナを揺するが、目を覚まさない。


「!!!!!」

 マナにコガネがついたせいか、今度はタクマに狙いを定める。

「させない!」

 コガネとは思えないドス黒い声が詠唱に乗る。


【雷の魔力よ、その電撃は一点に収縮し、強大なエネルギーの塊を敵に撃ちつけろ、レールガン】


 ドラゴンに雷の塊を撃ちつけるが、怯むどころか何事もなかったように光線を溜め続ける。

「……!?」

 タクマに狙いを定めている事に気付いた瞬間、


【風の力よ、タクマを吹き飛ばせ、突風】


 風魔法をタクマに打ち込んだ。

 とにかくドラゴンの光線の射線から外さなくてはならない。

「!!!!!」

 再びタクマに照準を合わせようとするが、

「はぁぁ!!」

 ホープの一撃がドラゴンの頭を揺らし、体勢を崩させる。

「タクマ!無事か!?」

 ホープがタクマに駆け寄るが返事がない。


「おい、タクマ!」

 ホープも必死にタクマを揺さぶるが、起きる気配はない。

「!!!!!」

「ホープ避けて!」

 コガネが焦って声を荒げる。


「く!?」

 タクマを抱え、どうにか光線を回避する。

「マナ、しっかりして!」

 泣きそうなコガネが体を揺すってマナに声をかけるが、起きる気配がない。


「コガネ、とにかく安全な場所に逃げよう!」

「うん」

 コガネが急いでマナを担ぎ、ドラゴンから距離をとる。

「!!!!!!」

 ドラゴンは脇目も振らずに突進してくる。

「やばい!」

 距離をとるにもドラゴンの方が速いのですぐ追いつかれる。


「ホープ伏せて!」

 コガネの声に、急いで転ぶように地に伏せる。


【雷の力よ、その電撃は一点に収縮し、強大なエネルギーの塊を敵に撃ちつけろ、レールガン】


 コガネの魔法がホープの真上を通り過ぎ、ドラゴンに直撃するが、

「効いてない……」

 悔しそうに声を上げる。

「!!!!!!」


 絶対に許さんと言わんばかりに、ドラゴンが耳障りな雄叫びをあげる。

「ぐぅぅぁぁああ……頭が!」

「あああぁぁァァアアア」

 果たしてこれも1つの技なのだろうか、頭が割れそうな叫び声が響く。


 必死に耳を塞ぐが、全く意味をなさない。

「コガネ……とにかく引こう!」

「わかった」

 何を言っているのか全くわからなかったが、逃げようという意思だけは感じとり、


【光の力よ、その輝きは強さを増し、敵の視界を眩ませよ、フラッシュ】


 魔法陣から目も開けられなさそうな光が放たれる。

「閃光斬!」

 ホープはドラゴンの目元に向かって光の斬撃を一閃かまし、2人を担いで逃げる。


 こうして、ドラゴンの視界が失せているうちに、どうにか逃げおおせたのだ。





「ここまで逃げれば大丈夫だろう……」

 ある程度逃げたが、頃合いでホープが止まる。

「そうだね」

 なにせ町が見えないどころか、ドラゴンの姿も見えないし、足音や声も聞こえない。


 だいぶ遠くまで逃げたらしい。


「「……」」

 2人の間には重い空気が漂っている。


 理由は後悔。もっと早く気づいていれば、もっと早く駆けつけていれば。

 そうすれば、マナもタクマもこんな目に合わなかったのではないか。そんな後悔。


「回復……するね」

「……あぁ、頼んだ」

 言う必要もない言葉でこの空気をどうにかしようとしたが、無理だった。


 こうゆう嫌な空気を壊してくれるのは、いつもマナだ。

 こんな時バカ言って雰囲気を和らげるのは、いつもタクマだ。


【癒しの願いよ、我が言葉を受け入れ2人の傷を癒したまえ、ハイパーヒーリング】


 2人を乗せた魔法陣から緑色の光が放たれる。

 2人分なので、回復速度も回復量も劣る。


 それでも、外傷はまだかなり目立つが、内傷はおよそ回復した。


 回復した後、疲労からか2人共寝息を立てて寝てしまった。

「マナ!起きー」

「コガネ」

「……」

 今はそっとしておいてあげて、とは言っていないが、察したコガネがマナをそのまま寝かす。


「起きたら早く来れなかった事謝らないとな」

「うん」

 虚に俯くコガネの頭を、ホープがそっと撫でた。


「ごめん、ホープも辛いのに、私ばっか」

「気にするな、皆んなが辛い思いする方が俺は辛い」

「……」





「ふあぁぁあぁぁ……」

 大きな欠伸と共に緩いが意識を取り戻した。

「おぉタクマ!目が覚めたか!よかった!」

 突然ホープが飛び付き抱きついてきた。


「うわぁ!?ホープさん!?」

 何事でしょうか。


「よかった……!」

 コガネも目に涙を含ませ、胸を撫で下ろしている。

 よく見たらコガネはタクマとマナの手を握っていた。


 相当心配してくれたらしい。


 あの後何度も回復をかけたお陰で、傷はほぼ完全に癒えた。

「あの、どうしてここに」

「タクマ、すまない。もっと早く駆けつけていれば……」


 ホープが謝ってきた。なぜか謝ってきた。何故謝ってきた?


「え?いえいえ全然!むしろ来てくれなかったら僕たち多分死んでたんで、助かりました」

 責任感が強く、他人に優しいホープだから、もっとこうしておけば良かったと考えてしまう。

 それも誰かの為に。


 自分を追い詰めすぎて潰れないか心配だ。


「コガネさんも、回復してくれてありがとうございます!」

「うん」

 コガネさんも感情は表に出なく、他人にあまり興味ないが、興味があったり好きな人はとことん好きだ。


 だからここでタクマやマナが死なずに助かってよかった。


「それよりマナさんは無事なんですか?」

「無事。でも魔力が枯渇してるから当分目は覚まさない……かも?」

「疑問形……?でもそんなに魔力使ってたんですね」

 なんか非常に申し訳ない気持ちでいっぱいになってしまった。


 本当に魔法は練習しておくべきだ。


「そういえばドラゴンは!って、うわっ!?」

 ふと思い出したように立ち上がったがそのまま倒れてしまった。

「大丈夫か!?」

 心配するホープに対し、

「馬鹿なの、傷は癒えたけど疲労が取れた訳じゃないんだよ。そうなるに決まってるじゃん」


 辛辣なコガネだ。

 つまり動くなって事だ。


「すみません……で、ドラゴンは?」

「逃げた」

「逃げた!?あんなに殺す気満々だったのに!?」

「違う、俺らが逃げたんだ」

「あ、僕らが逃げたんですね!コガネさん?」

「ごめん」

 何言われるのか察したのか直ぐに謝ってきた。普段のコガネに似つかわず、しゅんとしてしまった。


 どうやらタクマがこんな状態になったことが余程応えているらしい。


 2人のせいじゃないのに。


「逃げてから結構経ったんですね?」

「……ああ」

 なにせ日が沈み始めている。このままここにいても魔物が来る。


 武器はこの辺りどこにも落ちて為、実態のない魔物は余程脅威ではないが、普通の魔物も存在している。


 ゴブリンみたいな強くない魔物ならまだしも、オークみたいな面倒くさい相手が出てきてはたまったものじゃない。


「どうします?」

「どうします?って言われてもな……」

 間違いない。どうにかなってたらこんなところにいない。


「帰ろ?」

「コガネさん!?」

「あ……違うの、一旦町に戻ろうって言いたかった」

「コガネさん、不器用ですか……?」

 まぁ万全な状況で明日再びドラゴンを迎え撃つという考えの下だろう。


「呑気だなお前ら……」

「でも帰るのは賛成ですよ。今日僕もう動ける気しないで……す……置いてかないでください!」

「置いてかないよ!ちゃんと担いで連れて帰るよ!」

「ホープうるさい!」

「あぁすまんマナ……え、マナ!?」

「マナ!」

 コガネが目覚めたばかりのマナに抱きつくと、

「コガネ痛いよぉ!」

 と言いながらも頭を撫でている。


「マナさん、いつ起きたんですか!?」

「タクマとコガネが漫才しているあたりから?かな?」

「そうなの、タクマがいじめてくるの!」

 一体何が「そうなの」なのだろうか、繋げ方無理矢理すぎないか?


「コガネさん、嘘言わないでください……」

「そうなの?可哀想に……タクマ!」

「鵜呑みにしないでください!!」

「お前らも夫婦漫才はその辺にしとけ」

「「それはホープ(さん)とコガネ(さん)だ!!」」

 絶妙に息が合った。


「な!?タクマ、知ってたのか!?」

 一気にホープの顔が真っ赤になった。

「そりゃ〜知ってますよぉ!」


 つい最近まで知らなかったくせに得意げに鼻を伸ばす。

「……」

「コガネぇ、顔赤いよ〜?」

「マナうるさい」

 コガネも頬を赤く染めている。


 そんなコガネを愛おしそうに撫で回すマナ。

 ようやくいつもの光景が少し戻ってきた。


「そ、それはいいから。早く町に戻るぞ!」

 タクマとマナは体が動かないのでホープがタクマを、コガネがマナをそれぞれ担いで町に戻ることになった。


「重くないですか?」

「別に大丈夫だよ!」

 ホープはまじで優しい。


 タクマやコガネ側に染まらないで欲しいものだ。


「コガネ、無理しないでね?」

「マナは軽いから大丈夫」

「コガネェェ!!」

 背中越しにコガネに抱きつくマナ。

 辺りは暗いが、ようやく4人全員明るい雰囲気に戻った。





「……やばい、ホープさん!」

「どうした!?」

 全員魔力感知を使って移動していた為、彷徨い続けることはなかったが、タクマの魔力感知は他の3人より優れている。


 全員ドラゴンを見つけ次第、避けて通ろうと考えていたが、

「ドラゴンが町を襲ってる!!」

「「「え!?」」」

 思わず足を止めてしまうホープとコガネだったが、

「ホープ!コガネ!急いで!」

 急に止まった2人にマナが言葉で鞭を打った。

「「ごめん!」」

 再び急いで走り出す。

「町を襲ってるって!被害はもうでてるのか!」

 焦りからか、ホープの口調はかなり早い。


「いえ、多分まだ出てないです。でもまともに牽制出来てる冒険家もいなさそうなので……」

「時間の問題か」

 このままいくと最悪の事態になる。それだけは阻止しなければならない。

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