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37話 3人の子供


 翌日、昨日出来なかった依頼を受けに再びギルドへ向かった。


「今日は依頼出来ますかね?」

「依頼人が不在でなければ出来るはずだ、因みに今日も無理そうなら別の依頼受ける」

「……ちっ」


 なんかマナから舌打ちが聞こえた気がしたが、気のせいだろう。


「タクマは昨日マナとコガネにしばかれたんだろ?あまり無茶しなくていいよ」

「はは、どうも」


 昨日のことをそれなりに知っているらしい。

 無様に2連敗したのも知っているのだろうか。


「こんにちは、今日は依頼受けれますか?」

 マナが受付人に尋ねる。

「マナさんこんにちは、少々お待ちください」

 受付人がタブレットを操作し、睨めっこ状態になる。

「というか、顔覚えてるんですね」


 たった一言依頼受けれるか尋ねただけでタブレットを操作し始めている。


「冒険家が少ないってのと、俺たちが長い間ここに留まってるからな、いつの間にか覚えられた」

「全然覚えられないよりずっといい」

「コガネさん過去に何かあったんですか?」

「うるさい」

 頬が膨れ上がっていく。


 どうやら何かあったらしい。多分自分1人だけ延々と覚えて貰えなかったとかそんなところでしょ。


「今日出来るって!」

 マナがウキウキで雑談を遮る。


「おねえさんたちが僕たちのごえいさん?」

 1人の少女と2人の少年が後ろから声をかける。

 この子達が依頼人らしい……って幼い!?小学校低学年くらいじゃないのか?


「そうだよ!お姉さんたちが君たちを守ってあげる強い味方だよ!よろしくね!」

 マナがしゃがんで目線を合わせて挨拶する。

「おにいさんおねえさん、よろしくお願いします!」

 3人は律儀に頭を下げて挨拶する。


「…………」

 一方タクマは3人を見て戦慄していた。

「タクマ?」

「あぁいえ……よろしくね!」


 必死に気持ちを切り替えて、マナがやっていたように目線を合わせて挨拶する。


「ロリコン!」

「マナさん何か言いました?」

「んー?別に何も?」

 全力でしらばくれていやがる。


「というかこの掛け合いはコガネさんとの方がよくやるイメージなんだが、コガネさんは?」

「よろしく」

 しゃがんで3人の頭を撫でている。


 クッソ笑顔、思いっきりメロメロじゃねーか。


「ホープさんは2人みたいに過剰反応しないんですね?」


 少し離れて見ていたホープに並び、5人の光景を見つめる。


「過剰反応って……まぁ特別子供が好きって訳でもないし、誰か1人俺みたいな人がいないと困るだろ?」

「……ごもっともですわ」


 どこまでいっても真面目さんだ。


「でも、今回その役割は僕かもですね」

「どうゆうことだ?」

 どうやらタクマが今回も向こう側にいるのだと思っているようだが。


「ホープさんって、あの3人どう思いますか?」

「どうって……3人とも良い子で、可愛い子だなって?」

「可愛い子……そう見えてるんですね」

「いやそうゆう意味じゃないんだが!?」

「ん?あぁ知ってますそうゆう意味じゃないことは!」


 流石にホープはロリコンではないだろう。


「でも……僕には」

「僕には?」

「……?」


「よし、出発しよう!」

 マナが勢いよく立ち上がり、出口へ歩き出す。

「はい、行きまーって待って、着替えてないですよ!」

「必要ない、行こう」


 コガネも立ち上がり出口へ歩き出す。


「待って私服で依頼受けるんですか?危なくないですか?」

「危なくないよ!武器持ってない訳じゃないし、大丈夫だって!」

「そうゆう問題……!?」


 確かに武器は持ってるけども、それは昨日たまたま森で戦って今日の依頼ついでに個室に返す予定の偶然の産物でして。


「ホープさん!」

「……諦めろ、いくよ」

「……マジですか」

「5人で行かせる方が危険だ」


 右から順に少年コガネ少女マナ少年、仲良く手を繋いで歩いている。

 こいつら護衛する気あんのかって思ってしまう背景だ。


 確かに危険だ。


「本来微笑ましい光景のはずなのに、もの凄い危機感を持たなきゃいけないなんて……」

「タクマもこっち側に来るなら胃を痛めることもあるよ……」

「できれば向こう側で楽しくやっていきたいです」

 そんな会話を交わしながらギルドを出て、都市を出た。


 しかし、本当に気を引き締めないといけないのは確かだ。


 タクマの魔力故なのか。


「僕には、あの子供3人が、蛇の魔物にしか見えないですから」





 7人が向かった先は砂地がある方面の出口。

「暑い」


 コガネが氷魔法を頭上に浮かせながら気だるそうに吐く。


「スカートの中が蒸れる……!」

 マナも風魔法を上から浴びながら吐く。

「2人は魔法で多少対策出来るからいいじゃないですか……」


「おねえさんたち早く!おいてくよ!」

 さっきまで2人の隣にいた子供たちは遥か前を歩いている。

「3人ともはよ来い!」

 さっきまでタクマの隣にいたホープは子供たちと並んで遥か前を歩いている。

「防具着てくればよかった……」


 コガネが頭上の氷を砕いて自分に振りかける。


「防具って凄いんですね、以前来た時こんな暑くなかったのに……」

「前はそもそも寒かったからね、でも今日は雲一つない快晴!倒れちゃいそうだね!」

「倒れそうなテンションじゃないですね、今にも走り出しそう……」


 ホープと子供3人が待ってくれているが、途方もない距離に感じる。


「せめてこの氷が……ってそうだ!」

「……?」

 思い切りジャンプし、コガネの氷の上に着地する。

「これなら移動もないしひんやりだし、最高だね!」


 コガネの氷の上で寝転ぶ。


 ひんやりしてて気持ちいい。


「待って私も!」

 マナもコガネの氷の上に乗り、隣に寝転ぶ。


 マナが元々使ってた風魔法も相まって、それなりに快適になった。


「……!」

 なんとなくコガネが怒っているのがわかる。自分の為の魔法をこんな悪用されてー

「私も」

 コガネも飛び乗ってきた。


 全然怒ってなかった。


 浮かんだ氷の上に揺られながら、少なくとも歩いていくよりかは早く追いついた。


「おねえちゃんたちずるい!僕も乗せて!」

 1人の少年が叫ぶ。

「私も乗りたい!」

「俺も!」


 それにつられたように2人の少年少女も叫ぶ。

 スペースは充分ある、乗りそう。


「よいしょっと!ホープさん少年2人お願いしてもいいですか?」


 氷から降り、少女を姫抱っこする。


「おっけ、よいしょっと!」

 ホープは両肩に少年2人を抱える。

「「よっと!」」

 同時に跳躍し、氷の上に飛び乗る。


「タクマ王子、お疲れ〜!」

「姫抱っこしただけで王子扱いって……マナさんって意外とロマンチックな脳してますね!」

「えへへ、そう?」

「……」


 褒めてないんだが?


「お、おにいさん!」

 姫抱っこされていた少女がなんかすごい照れ臭そうに話しかけてくる。

「どうしたの?」

 しゃがんで目線を合わせる。

「ありがとう!」

 頬を赤くしてお礼を言う。

「どういたしまして!」


 女の子はまんざらでも無さそう。やっぱロマンチックな脳って、童心忘れてないって意味では褒め言葉だったのか。


 蛇の魔物だけど。


「「おにいさんありがとう!」」

 少年2人は憧れの目線でホープを見ている。もう基準が分からん。


 そんなこんなで全員でふわふわ浮かびながら目的地に向かうことになった。





「あそこ!あそこだよ!」

 1人の少年が指を刺して大声で叫ぶ。


 指された先には、根っこが支えるように洞穴が出来ていた。


「ここ、すっごく深いんだ!」

 もう1人の少年が楽しそうに話す。

 やっぱりこの年の男の子は好奇心旺盛だ。


 いや、蛇だから細いところが好きなのか?


「あの中にすごいのがあるの!」

 女の子は怯えているようにも見えるが、嬉々とした感じも混ざってる。


 怖いのを我慢してでも中にある何かを見せたいらしい。


 たとえ大袈裟だったとしても、ここまで言われると気になってしょうがない。

「よし早く入りましょう!」

 いち早く降り、洞穴を覗く。

「おにいさん!」

 女の子が怯えながら目で訴えかけてくる。

「あぁごめん、まってて!」

 急いで氷に飛び上がり、担いで降りー

「タァクゥマ?まさかそんな担ぎ方で降りようなんて思ってないよね?」


 マナからとんでもない威圧が飛んでくる。


「ははは、すみません」

 姫抱っこに持ち直してゆっくり降りる。

「ごめんね!」

「ううん、ありがとう!」


「僕たちだって降りれる!」

「そうだ、これくらい!」

 少年2人は虚勢を張って飛び降りようとしている。

「おいちょっと待て、危ないよ!」


 ホープが必死に止めようとしているが、まるで聞かない。


「2人ともあぶないよ!ケガしちゃヤダ!」

「だいじょうぶだって!」

「俺らならいける!」

 女の子が必死に叫ぶが聞く耳持たない。


「2人ともちょっといい?」

 マナが少年2人の隣にしゃがむ。

「だいじょうぶ、絶対できるから!」

 自分に言い聞かせるように呟く。

 きっとホープに憧れてジャンプしたくなったのだろう。

「お姉さんと一緒にジャンプしよっか!」

 マナが満面の笑みで2人に問う。

「よっと!」

 マナが一緒に降りると知り、ホープが氷から飛び降りる。


「いいんですか?」

「マナがいるなら大丈夫」

 確信に満ちた声で返す。


 随分と信頼されているものだ。そうゆうタクマもまぁ大丈夫だとは思っている。


「はい、手繋いで!」

 マナ手を繋ぐ少年2人と、

「本当に大丈夫?」

 少し怖そうにする1人の少年。

「あれ?怖いの?」

「そんなことねーし!」

 見事に煽るのに成功した。

「せーので飛ぶよ、いい?」

「「うん!」」


 少年2人は少し怯えている。

 対してマナはすごく楽しそう。

 これは絶対大丈夫だ。


「「「せーの!」」」

 勢いよく飛び出す3人


【音の魔力よ、急激にリズムを崩し、彼らの速度を落とせ、リテヌート】


 コガネが詠唱を唱えた瞬間、3人の落ちる速度がゆっくりになる。

「……あれ、なにこれ!」

「すげー!」

 少年2人はマナの手を離し、空中でもがく。

「すごいでしょ、私達の自慢の魔導士の力だよ!」


 マナもコガネも満面の笑みだ。

 そして3人ともゆっくり地に足がつく。

 コガネも魔法を解除し、地面に降りていた。


「さて、ここからですね!」

 かなり楽しく過ごした道中だが、本番はここからだ。

 そして7人全員で洞穴に入る。

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