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33話 vsゴーレム 終戦

「マナ、タクマ!すまん、バトンタッチだ」

「もう……無理……」

 ホープはともかく、コガネはヘロヘロだ。


「遅くなりました、了解です!」

 走りながら剣に水の魔力を込めて一閃


 どうせとどく前に蒸発するから効く期待はしてないが、効いたらラッキー程度の一閃。


 勿論効くはずなかった。


「タクマ!ホープとコガネの回復まで持たせるよ!」

「はい!」

 虚勢混じりだが、頑張れる気はする。


【風の力よ、その鋭さを持って敵を切り裂け、カマイタチ】


「タクマ!合わせて!」

「はい!」


 マナのカマイタチと同時にタクマが雷と風の魔力を乗せた擬似閃光カマイタチを合わせると、マナのカマイタチに雷の魔力を触発され、雷を帯びだした。


「え!何今の!?」

「あれ、何も知らないのに合わせてくれたの?今度教えてあげるね!」

「なんとなくわかるので大丈夫です」


 雑談で現実逃避をした後ゴーレムを見ると、避ける動作をした様子なく、平然と立っていた。


「あぁ……どうしよう」

 お先真っ暗。解決策が見当たらない。


「落ち着いて、あいつは4人でやれば勝てるって言ってた!私たちはまずコガネの回復を待つのが先!勝つ方法はそれから考えよ!」

「……はい!」


 4人でやらないと勝てないし、絶対に勝つ方法は存在するという事だ。まだ焦る時じゃない。


「タクマ、一旦引いーギャァ!?」

「マナさん!?」

 一瞬だ。一瞬でタクマの目の前にいたゴーレムは後ろのマナの前まで移動して殴り飛ばした。

「嘘……」


 コガネはまだ回復中で戦えない。マナは吹き飛ばされ戦線離脱。ホープは回復中で動けないのコガネの護衛。


 どうすればいいんだ。


「って絶望している場合じゃない!とにかく時間稼ぎ!」


 剣を構え直す。


「きっと時間稼ぎに駆り出された人ってこんな感じなんだろうな……なんか勇ましぃ!」


 思ったより余裕がある。と言うよりタイマンじゃ勝てないという諦めのせいで無駄に冷静を保っていられる。


「はぁぁぁ!!」

 雑に水の魔力を込めた剣を振りまくる。


 当然微塵も効かない。寧ろこっちが疲れるだけだ。


「今度はーまずっ!?」

 攻撃をしようとしたが、直感がやばいと叫んで引いた。


「うおぉ……」

 お陰でゴーレムの拳は回避したが、さっきまで立っていた岩肌の地面がドロドロに溶けてマグマになっている。今の喰らってたら死んでたかもしれないと思わせる。


「よく避けたな僕……」

 自画自賛。


 こんな状況で時間稼ぎだ。飽きるほど自分を褒めてやろう。


「今度は風の魔力を込めて、やあぁぁぁ!」

 また雑に沢山振るう。


「はぁぁぁ……ってこれ……」

 ひらめいたんじゃね?思わず手を止める。


「もしかして……勝てる方法思いーやばい!?」

 考え事に夢中ゴーレムが攻撃してきてるのに気づかなかった。


「って……あれ?」

 いつのまにか隣にホープとコガネが並んでる。

「間一髪、セーフ」


「おいタクマ、戦闘中にぼーっとするな。コガネがテレポートしてくれなかったら死んでたかもしれないんだぞ」

「あっ!?すみません」

 コガネのテレポートのお陰で間一髪を真逃れたらしい。

「……」

「どうした?」

「……」

「おい!タクマ!」

「はひ!?」

「タクマ!しっかりしろ!」

「すみません、でも大丈夫です!」

「大丈夫じゃないだろ、ぼーっとしすぎだ!」

「はい、もうぼーっとしません。勝てる方法を思いつきました!」


 確信を持って言う。

「これなら、いける!」


「自信ありそうだな。どうすればいいか教えてくれ、俺らはタクマ、お前に合わせる」

「でもマナさんにも……」

「大丈夫、無事だよ!それよりどうすれば倒せる?」

 既に回復したのか、実は無傷だったのかわからないが、ケロリとしている。


「無事で何よりです。えっとですねー」





「「「……」」」

「あの…皆さん?」

「本当に……出来るのか?」


 ホープは不安そうだ。確かに中々無茶な作戦だ。


「出来るのか、じゃなくてやるんです!やって見せましょう!」

「勇ましいね!いいよ!やってみないとわからないしね!」

 マナも乗り気になってくれた。


「うん、少しでも可能性があるならすがる」

 コガネも乗ってくれた。

「はぁ……よしやるか!」

 長いため息を吐いたが、ホープも乗り気にはなってくれた。

「「「よし!やるぞ!」」」

 そして作戦を実行する。


「タクマ、飛ばすよ!舌噛まないようにね!」


【風の魔力よ、その力で彼を空の世界へ誘え、フライ】


 多分あの魔物は液状だから核を壊さない限り何度でも再生する。


 しかし、魔法も剣技も生半可な攻撃じゃまともに通らない。つまり一撃で全てを込める必要がある。


 まずマナにタクマを空高くまであげてもらう。木々が邪魔にならなく、ゴーレムの視界に入らない場所は多分ここしかない。


「うおぉぉぉ!?」

 一気に空まで飛ばされた。下の人たちは信じるしか無い。


「マナ、コガネ、やるぞ!」

「うん!」

「うん」


 コガネとマナはなんでもいいから魔物の動きを止める魔法を使ってもらう。


 ホープはコガネとマナが標的にされないように撹乱。


 なんだかんだでホープはいつも1番危険な役割をしている。


「はぁぁぁ!!」

 ホープが攻撃しながら何度も移動し、徐々にコガネから距離を取る。


 ゴーレムもホープを追ってコガネから離れていく。


【砂の魔力よ、壁を形作り敵の進行を塞げ、サンドウォール】


 ゴーレムの目の前に砂の壁が出来る。


 少しでもコガネの魔法が当たりやすくなるように足止めする。


 が、ワンパンで壊される。


「あちゃ〜……ダメか?」

「ううん、ダメじゃない。もう準備出来た。私も、タクマも」

 コガネが空を見上げている。


 そこには巨大な、まるで巨大な車輪のように回る斬撃。


「おぉ、考えたな」

 ホープが空を見上げて感心する。


「え?何あれ?」

 マナはまだ理解出来ていなさそうだ。


「巨大な斬撃の……車輪?タクマ、空に飛ばされてから風の魔力を剣に乗せてずっと回ってたっぽい」

「はえぇぇ……目回らないのかな?」

「心配するところそこ?」

「2人共、まだ終わってないぞ?」

「大丈夫、もう終わる」


【音の力よ、その緩やかさで敵のリズムを落とせ、ラルゴ】


「動きを止める魔法はない。だからこれで許して」

 ゴーレム周辺の時間だけ遅くなった様に動きが鈍くなる。


「私の出番おしまい。後は頼んだ」

 コガネが杖をローブの懐にしまい、空の斬撃を見上げる。





「やば!怖!」

 高所恐怖症というわけでではないが、パラシュートのような命を助ける物がないフリーフォールは恐怖でしかない。


「とか思ってる場合じゃないな!」

 剣に風の魔力を込め、どうにか体を捻って宙で回る。


「よしよし!」

 勢いが増してきた。同時に、

「ああぁぁあ……」

 目が回る。目が回りすぎて気持ち悪い。


 風の魔法もあってか、体は勝手に回ってる。

 むしろ今止めろって方が無理だ。

 このまま、ゴーレムに、当てれば!


「タクマ!!やっちゃえ!!!」


 マナの大声が聞こえた。

「よし!」

 大回転しながらゴーレムに斬撃をかます作戦。


 要は、体液に弾かれない程強大な斬撃で核を壊しちゃおうぜってことだ。


「大丈夫だ!当たる!絶対に当たる!」


 ずっと目が回って標準が定まらない。体も回っているため構える事も出来ない。


 でも、絶対当たる。


「喰らえ!異世界転生の主人公補正!大事な場面は絶対に成功するんだぁぁ!」


 叫びながら巨大な一閃。


 その一閃は“バリン“と音を立ててゴーレムを真ん中から真っ二つにして、岩の地面に1本の巨大な亀裂を作った。


 その瞬間ゴーレムを形作っていたマグマは意志を失ったようにこぼれ落ちる。


【風よ、タクマを受け止めよ、タイフーン】


 マナの魔法によって地面に衝突せずに着地する。


「気持ち悪い……酔った……」

「ごめん!酔い覚める魔法は持ち合わせて無いや!」

「全然……大丈夫です……」

「やった、大勝利」

「全員お疲れ様!」


 マグマはいい感じに斬った岩の隙間に落ちていく。


 恐らく核であろう球体らしきものはしっかり真っ二つに割れている。既に魔力も感じない。


 無事、勝利だ!


「いや〜お見事だね!」

「「「!?」」」

 不意に後ろから声が聞こえた。

「お前……!」

「いや〜、目が怖いよ?」


 武器を構える4人。だいぶヘロヘロで次何かされても勝てる気がしない。


「よう、久しいな?ガイア」

 女性の後ろからも声が聞こえた。

「……やぁエス、君が出て来るのを待ってたよ」

「「「……エス!?」」」

 4人が声を揃える。


「やぁ、造花のみんな、お疲れ様、ちょっと2人きりにしてくれないか?」

「でも……大丈夫なんですか?」

「大丈夫。別に喧嘩をしに来た訳じゃない。ただ話し合うだけだ」

「ホープさん、どうします?」

 タクマが判断するところではないためホープに投げる。


「わかりました。みんな、行こう」

 そう言ってガイアとエスを無視して都市に戻る4人。


 ゴーレムは無事討伐。強い打撃を持たないパーティがゴーレムを倒すのはだいぶ異例らしく、受付人は目を丸くしていた。





「ひひっ!」

「タクマいつまでにやけてるの?」

 リビングでのんびりくつろいでいるところにマナが来る。


「なんか、やっと皆さんの役に立てたなって!」

「あはは、そんな事?」

「そんな事じゃないですよ!もともと足手まといでしかないのに、やっとですよ!」


 異世界に来て数日、ようやく自分が役に立って勝利を掴んだ気がする。


「ちょっと嫌なこと教えてあげよっか?」

 マナが悪戯っぽく笑う。

「……なんですか?」


「本当はね、タクマどころか私もコガネもいなくても、ホープ1人でゴーレム勝てちゃうんだよ?」

「……冗談ですか?」

「残念ながら本当だよ!昔あれより大きいのを1対1で切り刻んでたよ!」

「1対1で……」


 なんだそれ。怪獣か?


「ホープさん!!?」

 タクマの大声が家の中を支配する。


「そんな大声出さんでも後ろにいる、どうした?」

 椅子でのんびりコーヒーを飲んでいるホープを見つめ、

「ホープさん1人でもゴーレム勝てたって本当ですか?」


 少しジト目で聞いてみる。


「……」

 なんか答えてくれ!


「本当なんですね……昔ゴーレム切り刻んだんですね!?」

「……いやあの時の俺はただの戦闘狂だったから、出来れば掘り返さないで欲しいなぁ」


 ははは、さっきのタクマの勝利の余韻は一体なんだったんだ。


「だからいざとなったら俺がなんとかするなんて言ってたんですね……」


 どうやって切り刻むのかは知らないが、元々勝算はあったらしい。


「1人で勝てるなら1人でやるって発想は間違い。タクマはその辺まだ理解してなさそう?」


 コガネもホープの隣に並んで話に加わる。


「すみません、頑張って理解します」


 チームプレイの重要性はゴブリンキングの時に理解したはずなのに、異世界でチートしたい欲が強すぎて、そうゆうところは疎かにしてしまうのはどうにかしなくては。


 そんな雑談を交えながら、今日が終わりを告げていく。

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