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31話 vsゴーレム 液化


「さあ、溶けろ溶けろ!あっははは!!」


 マナのテンションが増しましになっていく。

 狂気も混じってる気がする。


「マナさん大丈夫ですか?」

 思わず声をかけるが、

「ん?大丈夫大丈夫!これくらい問題ないよ!ちょっとイメージ通りの炎過ぎてテンション上がっちゃっただけ!」


 いつも通りのマナだった。


 ずっと火の中に閉じ込められているゴーレムの体はやがて真っ赤になり、ドロドロになり、岩肌からマグマ肌になった。


「さて、これで討伐完了だな」

 ホープが剣を収め、ゴーレムを眺めている。

「うん」

 コガネも杖をしまってマナの補助をやめる。

「よし!溶けきるのを確認して帰ろう!」

 まだまだ魔法をやめないマナ。


 正直全員討伐完了を確信していた。岩肌が溶けてマグマになったら内側というより体の芯も熱でやられておしまいだと考えていた。

が、

「……倒れない、ですね?」

 動きはずっと止まっているが、一向に倒れる気配がなく、元気かどうかがわからないが、まだ動けそうな気さえする。


 というか、まだ動くんじゃないかという不安の方が大きい。

 そして、


 ズシンッ!


 と、一歩踏み出した。

 案の定、動き出した。


「どうなってるんですか……」

 訳のわからない光景すぎる。岩肌、人でいう皮膚が溶けてるのにまだ動き出す。


「俺に聞かれても分からん」

 ホープはゴーレムを見て若干引いている。

 というか誰に聞いても分からないだろう。


「キモい……」

 コガネは露骨に引いており、一歩後ずさる。


 怖いからではない。

 キモいから後ずさる。


「確かにキモいですね?見た目真っ赤なバイオブ◯リーじゃん」

「ばいおぶろ◯ーって何?」

「なんでもないです、聞かなかった事にして下さい。それより、これ倒せるんですかね……?」


 ここまでやっでダメなら、正直もう勝てる気しない。溶かしてダメなら熔鉱炉に入れても意味がない気がする。


「まぁ、やるしかなー」

「え!?」

 不意にホープが吹っ飛んだ。横にはさっきまで目の前で歩いていたマグマのゴーレムがいた。

「ホープ!?」

 コガネが声を荒げてホープに駆け寄る。

「ふぅ、あっぶね」

 吹き飛ばされたはずのホープはケロリとしていた。

「無事?」

「全然無事だよ」

 

「無事なのかよ……」


「タクマ!避けろ!!」

「やばっ!?」

「ちょっ!?」

 遠くからホープの声が聞こえふと我に返り、タクマとマナが急いで後退し、ゴーレムから距離を取る。


「マナさん!今の!」

「わかんない!」

 突然すぎて何が起きたのか整理出来ない。


 手足の震えが止まらない。

 ゴーレムはタクマ目掛けて歩き出す。

「……」

 怖くてゴーレムから目が離せない。

「!?」

 不意にゴーレムが目の前に、ゴーレムの拳が目の前に現れる。

「避け……れる!!」


 下から上に振るわれた拳をギリギリで回避して後ろに飛ぶ。


 避けたはいいが、凄い量のマグマが飛び散る。


「怖!ってかなんて突然目の前まで飛んできた!」

 足を震わせながらもなんとか立っていられる。

「走ったの!」

 マナが叫ぶ。


「走った!?何がですか?」

「ゴーレムが突然目の前に現れた理由!一歩があまりに大きすぎて目の前に現れたように見えただけ!」


 つまりゴーレムは走ろうとする巨大な一歩でタクマの目の前まで届いたという事だ。


「でも……うわぁ!?」

 今度もギリギリでパンチを交わす。悠長に話しながら戦うと一瞬でやられる。

「なんであんな重っ苦しい奴がそんな速さで?」

「それは、キャァ!?」

 恐怖で身を竦めたお陰でゴーレムの攻撃を交わすマナ。


「無理無理無理キモいキモいキモい!」


【砂の魔力よ、私を守って、サンドウォール】


 マナが自分の出した砂の壁に隠れる。


 全力でビビってる。

 怖くて、ではなく、キモくてビビってる。


「多分岩肌がなくなったから。確かに岩肌はマグマになって溶けて零れ落ちた。でもそれだけ体を重くしてたものがなくなったってことはー」

「そうゆう事か……」


 言ってしまえば異常な量の重りが溶けてなくなったものだ。速くなるのも当然だ。


「でもここまで異次元に速くなることもないでしょ」


 ある程度距離が近いにしても一瞬で自分のいる場所まで急接近されるのだ。怖すぎる。


「敵に文句言ってもしょうがない。取り敢えず攻撃が通るか確かめないとな!」

 2人の元まで戻ってきたホープが収めていた剣を抜いてゴーレムに走り出す。


「ですね!やぁ!」

 剣を構え、風の魔力を纏わせた一閃を振るう。

 マグマは飛び散ったが、効かなかった。

 ベチャっと鈍い音を立てた。

「うわぁ……これ剣効かない奴だ……」


 液状のものは何度斬っても効かない、直ぐに元に戻る。


「いや、そうでもない。剣であいつの表面のマグマを剥がせば!」

 話しながらホープも一閃振るうが、まるで効いている様子はない。


「その作戦で行くならいいですけどだいぶ時間かかりまーグハッ!」

 気を抜いていたわけではないが、少し話の方に集中しただけで不意を突かれてぶっ飛ばされた。


「タクマ!コイツ……!」

 ホープがゴーレムに走り出す。

「「「コガネ!合わせろ!」」」

「「「うん」」」

 ホープとコガネがゴーレムに仕掛ける。





「ああぁぁぁ……」


 一瞬すぎて熱さはあまり感じなかったが、だいぶ痛い。めちゃくちゃ痛い。


「後ろに岩が無いだけでこんな飛ばされるのか……」

 巨大なゴーレムが小さく見えるほど飛ばされる。


「タクマ!無事?」

 不意にマナが出てきた。

「うわぁ!?びっくりした……一応無事ですかね?でも動けそうにはないです」

 無理して喋っているが、だいぶぐったりしている。


「ごめん、私、あれ無理だわ……気持ち悪すぎる」

「まぁ、気持ちはわかります」

 ドロドロに溶けた岩肌に突然高速で動く巨体。遠目から見ると確かにだいぶ気持ち悪い。


【癒しの力よ、この者の傷を治せ、ヒール】


「すみません、助かりました」

「いいよ全然!それに……私加勢したくないから回復メインで行く」

「ダメですよ!依頼受けたのマナさんとコガネさんじゃないですか!ちゃんと責任とって戦ってください!」

「うぅぅ……タクマ厳しいよぉぉ」


 全力で戦いたくなさそうだ。


「さ!行きますよ!ホープさんとコガネでも倒せない相手なので僕らも加勢しないと!」

「……うぅ」

 無理矢理マナを立ち上がらせてゴーレムに向かって走り出す。





「はぁ……はぁ……」

 コガネの息がだいぶ上がっている。

「コガネ、無理するな!」

 ホープはまだまだ元気そうだ。


「ホープさん、コガネさん!バトンタッチです!」

「おう!頼んだ!少し休んだら直ぐ加勢するから粘ってろ!」

 走りながら声をあげ2人と交代、剣を構え、ゴーレムの足に斬りかかる。

「くっそ、全然効いてない……」


 相変わらず液体を斬ったような感覚しかない。


「こいつ内部もマグマなんじゃないのか!?」

 ある程度距離を取り剣を構え直す。


「タクマ!暫く引きつけて!」

 マナが魔法陣を生成して詠唱を唱える。

「了解です!」

 と言ったものの、どうやって引きつけるかなんて考えていない。


「沢山攻撃すれば引きつけになる……っと!危ない!」

 なんとなくゴーレムが来るタイミングがわかってきた。お陰で余裕はないが集中していれば意外と避けられそうだ。


「やあぁぁ!」

 引きつけになるかどうかはわからないが、取り敢えず風の魔力を込めて、斬撃を飛ばす。とにかく飛ばす!

「めちゃくちゃ……きっつぅ!」

 むやみやたらに剣を振って魔力使って腕が痛い。


「おぉぉ……腕が」

 腕がヒリヒリする。

「でも引きつけは成功か……ってやば!?」

 急接近したゴーレムのアッパーをギリギリでかわして後方に跳ぶ。


「油断も隙もなーガハッ!?」

 一瞬で後ろに回られて背中に思いっきり打撃を喰らい、ホープとコガネのいる方に吹き飛ばされる。


「よっと!ナイスキャッチ!」

 飛んできたタクマをホープが受け止める。

「す、すみません…」

「立てる?回復する?」

「まだいけます!」

「よし!ここからは3人で行くぞ!」

「「はい!」」

「で、マナさんは!」


ウィンドボール】


 詠唱中だったらしい。そういえばそのための引き付けだ。

 しかし魔法は効いてなさそうだ。

「これもダメだ!」


 がっくり膝を落とす。


「いや、そうでもないよ。もうマグマがかなり飛び散ってる。さっきまで一撃がだいぶ重かったのに今は回復なしでも動ける程軽くなってきている。だろ、タクマ」

「そういえば、確かに……」


 さっきぶっ飛ばされた一撃は立てないほど苦痛だったが、今回は確かに痛いが割と大丈夫だ。


「勝ち筋が見えてきた」

 最初の嫌そうな顔とは一転、コガネの声がやる気に満ち溢れている。


「これなら相手キモいけどもうちょい頑張れそう!」

 マナもやる気になっている。


「簡単に作戦を伝える。マナが風魔法でマグマを剥がす、俺とタクマは揺動、コガネはマナと俺らのサポートだ。準備はいいな!」

「うん!」

「うん」

「はい!」

「よし、やるぞ!」


 そしてゴーレムと決着をつけるために作戦を実行する。

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