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18話 魔法講座


 ギルドを後にしてどれほど時間が経っただろう。


 魔力感知を使いながらワームを探していたが、一向に見当たらない。

 商人が使う道を辿っているが、本当に一向に姿が見えない。


 というか歩き疲れてきた。


「あーもう!全然見つからない!」

 痺れを切らしたマナが叫ぶ。

「……」

 コガネは沈黙。


 心底つまらなそうな顔をしている。


 ホープはちょくちょく雷を帯びた剣で地面や木を斬ってる。


 雷を、帯びた剣。


「あれ、そういえば、剣?」

「ん、剣がどうした?」

 タクマの独り言に反応したホープ。


 思わず声が出ただけでどうというわけではなかったが、聞けるなら聞こう。


「あのホープさん、その剣に雷帯びさせる奴どうやってやるんですか、まさか魔法ですか!」


 今のところ魔法を使う手段は、詠唱必須魔法陣必須厨二病必須のものしかないのに、ホープは詠唱魔法陣なしで雷を纏った剣を使っている。


「これ?これは俺の魔力を剣が吸ってるから雷を纏っているんだよ」

「……この剣は生きているんですか?」

「そんな訳であるか!?」


 突っ込みキレてますな。


「持ち手が俺の魔力を取って剣に送ってるんだ」

「すみません、わかんないです」


「剣の持ち手には魔力を吸う加工と魔力を剣に送る加工が施されているんだ。俺から吸った魔力は持ち手を通して剣に送られる。そして剣身で魔力が具現化して雷を纏うって事さ」


 非常に丁寧に教えてくれるが、要は魔力を帯びた斬撃みたいなものだ。


「え?それって、魔法の一種じゃ?しかも無詠唱の!」

 淡い期待に胸を膨らませるが、

「魔法じゃない、ただの真似事、擬似魔法にも及ばない。汎用性は全然ない」


 コガネが膨らんだ期待を萎ませた。


「そうだね!魔法をサポートする杖に対して、剣とか槍の接近具は無理矢理魔力を具現化するものだからね、どうしても打点に乏しいしコスパも悪いからね?」


 さらに追い討ちをかけるマナ。


「まぁ、無いよりマシだから使ってるって感じかな?」


 最後にトドメを刺すホープ。


 しかし、それだけでは諦めきれないのが憧れだ。


「それ、僕でも出来ますか!」

 多少でも魔法っぽいモノを使ってみたい。

「一応出来るよ。ちょっと休憩も兼ねやってみるか!」

 ホープが近くにあった小さな岩に腰をかける。


「よし!」

 と意気込んだはいいが、やり方がわからない。

「どうすればできますか?」

「強く握れば出来るよ」

「いつも戦っているとき強く握ってますよ」

「「「……」」」


 全員沈黙。


 どうするんだ、この空気。これから難しい依頼受けに行く空気感ゼロだよ。


「私剣士じゃないからわかんないけど、杖の場合は持ち手に魔法陣を生成する感じでやれば出来るよ!剣もそれでできるんじゃない?多分」


 とのことらしい。

「はい」


 剣の持ち手に魔法陣を生成させる。イメージで。


 すると、剣身が光り出し、魔法の剣が……!


 そうなると思った。しかし何も起こらない。

「何も起きないんですが」

 3人を見る。

「あれ?おかしいな…?」

 ホープが立ち上がりタクマの剣を確認する。

「「「はっ!!」」」

 ホープが力を込めると剣身から雷が溢れ出る。

「うん、できるな、おかしいな……?」

「あれぇぇ……」


 流石にこれは悲しいぞ?


「タクマ君、どの魔力を流すかイメージしてないでしょ!」

 確信時見た言い方で言うマナが、

「どの魔力を流すかイメージ、とはなんですか先生?」

 残念ながら何をいっているのかわからない。


 マナ先生の指導が始まる予感。


「では、魔法超初心者のタクマ君に私が懇切丁寧に教えてあげます!頑張ろうねタクマ君!」


 マナはウッキウキだが遠回しにバカにされている気持ちは相手が美女でもイラッと来るものがある。


「…………」

「ごめん、調子に乗った」

 タクマの表情を見て反省し、素直に謝るマナ。

「いいですぅ!どうせ魔法超初心者の僕なのでお構いなくぅ!」


 許しているがちょっと拗ねてみる。


「ごめん!ごめんなさい!大変失礼しました!」

 必死で謝るマナ。


 ちょっと見ていて面白い。


「ごめんなさい、少しからかいました、本当に大丈夫です。それより早く講座を始めましょう!」

「本当に許してる?」

 疑われながらも講座が始まる。


「まず魔法を出すには、魔法陣が必要って話はしたよね?自分の魔法をイメージして魔法陣から放つ、それと同じでー」

「先生、質問です!イメージで魔法が出来るなら何故全属性出せない人もいるんですか?」


「あぁその説明してなかったっけ、ごめん!それはその人がもともと持っている魔力が適正じゃないからです!」

「すみません、どうゆう事ですか?」


 もともと持っているとは。


「例えば私だったら火、風、砂、癒の魔法が使えるんだけど、これは私が生まれ持ったもので絶対に変えられないもの、つまり失くしたくても失くせない、これ以上の属性が欲しくても貰えないもの」


 つまり、マナが生まれ持った資質がこの4属性ということだ。


「たとえ私がどれだけ水の力を使おうとしても水の魔力が適正じゃないから水の魔法が撃てないってこと、わかった?」

「つまり、イメージ自体は出来ても魔力が適正じゃないから使えないって事ですか?」

 この考えはゲームやアニメと大差ない。確信気味に聞いてみると、

「そうそう!そうゆう事!」


 案の定だ。


「で、話を最初に戻すと、タクマ君が剣に込めたイメージが、ロクでもなかったのではないかと先生は考えてます!大方、剣が光りだすとか考えたのかな?」

「……」


 正解です。


 確かにさっきは剣が光って魔法の剣が出来るイメージだった。


 しかし属性はともかくタクマの固有魔法もそんな力ではない。


 自分の中に存在していない魔力を使おうとしたから不発に終わってしまったという訳だ。


 でも、ロクでもないは流石に鋭すぎです、傷ができました。


「そうと知ればあとは試すだけです!」

 張り切って剣を持ち、目を閉じ、イメージを流し込む。


 今タクマが描くイメージ、それは火と風の力。カマイタチの斬撃に火の力が乗ったもの。

 カアッと目を見開き、

「「「はっ!」」」

 と一閃。


 すると、炎のカマイタチみたく、いくつもの鋭いミカヅキ型の火が回りながら飛んでいく。


「やばい!魔法だ!」

 が、木々に焼き傷を与えただけですぐ消えてしまった。

「あれ、消えた」

 思わず声を漏らす。

「言ったでしょ、無いよりマシのただの真似事だって」


 コガネが前に出て、詠唱を唱え出す。


【雷と風の魔力よ、その速さと鋭さを持って、敵を切り刻め、閃光カマイタチ】


 コガネの魔法陣から目にも止まらぬ速さでカマイタチが出てくる。

「うわぁ……」

「これが魔法と真似事の違い」

 ドヤ顔のコガネが目に入る。


 コガネの前方の木々は、切り刻まれ、なぎ倒され、悲惨な状態になっていた。


「あとは、慣れとかもあるね!タクマ君は魔法使いたてだから、魔力を流すのが下手なんだよ!」

 マナが咄嗟にフォローを入れる。

「ホープなら私と同じ惨劇を作れる」

 コガネが薙ぎ倒された木々を見て呟く。

「惨劇って……そうだ、これだ!」

 突如閃いた。


「ワームってでかいんですよね!だったらこうゆう木々が倒された後を追っていけば!」

 3人に問うてみるが、

「残念ながらそれっぽい跡が見当たらないんだ。本来なら残っててもおかしくないんだが……」


 既に探していたらしい。


「誰かが痕跡を消したって事ですか?固有魔法で出来たり……って誰かがワームを隠す意味よ…」


 1人ツッコミを入れている場合じゃないのに。


「仮固有魔法だったら、あたり魔力だらけ。魔力感知で気づかない筈がない」

 コガネがタクマの考えを基にしてみたが、あえなく沈没。

「じゃあ、倒された木々を戻す魔法?」


 更に返すが、

「残念ながらそれも無理。仮に固有魔法が時間能力でもワームが通った跡を戻せる魔法なんて、今私が測れるタクマ君の魔力量でも無理。木々を急速に成長させる魔法もないしね?」


 マナの考察も沈没。


 行き詰まった。


 と思った矢先、

「…うぉ!?」

「タクマどうした?」

 タクマの驚きに、警戒に身を竦めるホープ。

「あの魔力のもやって!」

 3人に尋ねるが、

「え?どれ?」

 マナがタクマの指差す方を見るが、

「なんもないよ?」


 この距離じゃタクマ以外の皆わからないのか、何か別の施しがあるのか。しかし、今までとは段違いの気配が漂っている。


「えっと、こっちです!」

 思わず駆け出すタクマ。

「おい、待て!急に走るな!」

 大急ぎで追うホープ

「あっ、ちょっと!」

「もぅ……」

 そしてタクマとホープの後を追うマナとコガネ。

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