表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
10/92

9話 報告

 依頼を終え、洞窟を出ると、外はまだ随分と明るかった。


 かなり時間が経った感覚でいたが、そうでもなかった。刺激的過ぎる体験のせいだな。


 そして、都市に戻り、ギルドに報告に向かう。

 帰り道の途中では、歩いているだけなのに勝手に息が上がったり、何度も吐気がした。

 しかし、ギルドに戻った頃には、だいぶ心も安定を取り戻していた。


 思ったより呆気なかった。と言えば大嘘だが、落ち着きを取り戻すのは早かった。


 道中3人が心に寄り添ってくれたり、励ましてくれたお陰だ。


 3人とも、本当に強い。


「はい、確認します。少々お待ちください」

 と受付人が依頼の確認をしている時、

「あれ?そういえば、2人とも報告いるんですね?」

 コガネとマナを交互に見る。


 報告は行かない的なことを昨日辺りに聞いていた気がしたのに、

「私は行くよ!時々……」

 時々だけやけに小声になるマナ。

「私が行かないのは、ギルドマスターに報告するとき」

 何故か胸を張って言うコガネ。


「コガネ、そんな胸を張って言うな!マナも時々じゃなくて毎回にしてくれ!」

 そして呆れるホープ。


「じゃあ、昨日はギルドマスターに報告に行ってたってことですか?」

「あぁ、昨日はギルドマスター直々の依頼だったからな!」

 ホープがそう返す。


「ちなみに、ギルマスから直で依頼が来るのは私達のパーティくらい」

 コガネがドヤ顔で言う。その顔には「驚け!」と書いてあった。

「え、このパーティだけって、それってめちゃすごくないですか?」

 顔の文字通り驚いて見せると、

「そうなの!私達のパーティはすごいの!」

 と自慢げ胸を張るマナ。

「さらに言えば、俺たちのパーティは他の町や都市のギルドにも精通している数少ないパーティなんだ!」

 こちらも自慢げに言うホープ。


 何この精鋭部隊感溢れる人たちは。


「すみません、このパーティってどれくらい凄いんですか?」

 と受付人に聞いてみると、

「そうですね、全てのパーティも含めて比べてみても、1、2を争う強さのパーティですよ」

 と答える受付人。

「はぇ〜……」


 正直すごいのはわかったけど、スケールがわからない。


「まぁ僕以外がチートって考えればいいか……いやおかしくない?普通転生者がチートでしょ?こんな異世界転生を希望した記憶はないよ!」


 魔法使えばトップ狙えそうだけど魔法使う勇気がない。全部詠唱のせい。


「あぁぁ、なんか、凄いですね……」

 正直なんて返せばいいのかわからない。

「はい、依頼の成功を確認しました。ありがとうございます」

「……」


 いや、どうやって確認したんだ?


「私、着替えて武具店行く。昨日買った防具取りに行く」

 颯爽とこの場から去るコガネ。

「私は着替え終わったらここにまた戻ってくるから待ってて!」

 マナもこの場から去る。


「ホープさんは専用の個室的なのないんですか?」

 立ち去らないホープに尋ねると、

「あるけど全然使ってないね。防具は家にあるものを使ってるから、基本個室に置くものがないんだ。剣も持ち帰ってるし」

「個室あるにはあるんですね。いずれ僕にも専用の個室出来たりするんですかね?」

 カラカラと笑いながら言うと、

「既にありますよ。ご案内いたしましょうか?」

 聞いていた受付人が答える。

「へぇ〜……え?もうあるんですか!?」

 思わず声を荒げてしまった。


「はい。ご案内いたしましょうか?」

 と同じ言葉を繰り返す受付人。

「あぁいや、大丈夫です。預けたいものもないですし」


 準備がはやいことで。


「さて、俺はマナが戻ってきたらコガネの武具店ついていくつもりだけど、タクマはどうする?一緒に来るか?」

「僕はいいです。ちょっと服を見に行きたくて。学生服……じゃなくて、あの重たい服だけしか持ってないので……」

「おっけい。でも服屋の場所わかるか?」

「あ……わかんないです……」

「なら、私が付いていくよ!」

「うぉ!?ビックリした……付いてきてくれるのは嬉しいですけど、マナさんにも自分のやりたい事とかあるのでは?」

 戻ってきたマナに申し訳なさそうに言うと、

「大丈夫!私が行きたいの服屋だし!」

 可愛らしい笑顔で返すマナ。


「それよりホープ、1人で大丈夫?」

 心配そうにホープを見つめるマナ。


 しかし、

「まぁなんとかなるだろ!多分……」

 なんともフワッとした言葉で返ってきた。


 大丈夫って何がだろう?


「ちょっと心配だけど、わかった!コガネをよろしくね!あと頑張って!」

 と親指を立ててグーするマナ。


「よし!じゃぁ、行こっか!」

 タクマの手を引いてギルドを後にする。

「あぁ、はい!えっと、よくわかりませんが頑張ってください!」





「あれ、ホープだけになってる。」

 戻ってきたコガネが2人を探すようにキョロキョロしていると、

「2人なら服屋行ったよ」

「だから今日付いていくのは俺だけ。だけどあんまり振り回しすぎないでくれよ?」

 苦笑いで言っているが、

「うん、気をつける」

 右から左へ流れていそうな返事を返す。


 こりゃ気をつけないな。


「で、他はどこ行くんだ?」

 恐らく武具店だけでは終わらないだろうと言う確信込みで尋ねると、

「楽器屋、買いたい楽器が沢山あるから」

 まるで恋する乙女のような顔になるコガネ。

「……沢山?今沢山って言ったか?」

「ううん、なんでもない、行こ」


 コガネがホープの手を引っ張り、連れ回しが始まった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ