第二十七話:傀儡回廊
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「アルトよ、どこへ行くつもりじゃ?」
「傀儡回廊へ」
「ならぬ。この儂が許さん」
「友達を助けに行くのに許可が必要なんですか?」
「無論。これは冒険者協会特別顧問による命令じゃからな。このまま儂の言を無視するというのならば、お主の冒険者資格を停止せねばならん」
「どうぞご自由に」
俺と校長先生、両者の視線が交錯する。
「はぁ……友の危機に焦る気持ちはわかる。じゃが、少し冷静になれ。情報によれば、傀儡回廊の最上層には、『復魔十使』がおるらしい」
「復魔十使……」
「奴等は幻想魔術を手繰る、極めて危険な魔術師じゃ。敢えて言うまでもないが、幻想には幻想でしか勝てぬ。そして……お主はまだ幻想魔術を使えぬ。このまま行っても、無駄に殺されるだけのこと。悔しいじゃろうが、今は力を蓄え――」
「――かかっ、何を言うか。我が主様は幻想魔術を使えるぞ?」
俺の頭の上で寝ていたはずのイリスは、いつの間にか目を覚ましていたようで、自信満々にそう言い放った。
「なんじゃお主、は……っ」
校長先生は手乗りサイズとなった彼女を見て、驚愕に瞳を揺らす。
「ま、まさか……『神代の魔女』か!?」
「左様。まぁいろいろとあって、今はアルトの召喚獣となっておる。……あぁ、心配せずともよいぞ。今の儂は脆く弱い、路傍に咲く花の如き、儚い存在じゃ」
イリスはそう言って、鷹揚に頷く。
「アルトが幻想魔術を使えるというのは……そういうことか」
「うむ。儂は幻想魔術を修めておるゆえ、魔力さえ供給されれば、いつでも幻想魔術を使用できる。逆説的に言えばこれは、主様が幻想魔術を使えるも同然のこと。――違うか?」
「ぐっ、ぬぅ……」
校長先生は難しい表情で黙り込んだ。
「イリス、お前……」
「かかっ、勘違いするでないぞ、主様? 儂はただ『面白そうな方』に乗っただけじゃからな」
「そうか……ありがとう」
まったく素直じゃない魔女様にお礼を言った俺は、改めて校長先生と向き合う。
「――お願いします。傀儡回廊へ行かせてください」
「……」
しばしの間、熟考した彼は――やがて大きなため息をつく。
「……はぁ、何故こやつはここまで頑固なのじゃ……」
「すみません」
「やむを得まい。今回に限って特別に、傀儡回廊への遠征を認めよう」
「ありがとうございます」
「――但し、条件が二つある」
校長先生はそう言って、鋭く目を光らせた。
「なんでしょうか?」
「一つ、儂の愛弟子を同行させること。あやつは弱くこそなってしもうたが、冒険者としての知識はトップクラス。きっと助けになるであろう」
「わかりました」
校長先生が推薦する冒険者、断る理由がない。
「それからもう一つ、これは確認なのじゃが……。『卒業時の約束』は、忘れておらぬな?」
「……はい、もちろんです」
冒険者学院を卒業するとき、校長先生と交わした約束。
【極々限られた特定の条件下を除いて、アレを召喚することを此処に禁ずる。――よいな?】
アレは文字通りの『禁じ手』。
俺だって、もう二度と召喚するつもりはない。
「ふむ、ならばよかろう。我が弟子には、三十分以内にギルドへ集まるよう連絡をしておく。それまでの間、しばしここで待つように」
校長先生はそう言うと、まるで霧のように消えたのだった。
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月島秀一




