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瑞雲高く〜戦国時代風異世界転生記〜【1周年感謝】  作者: わだつみ
三章・明日をも知れぬ村(青年編壱)

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68・四の五の

 たとえ、大規模な賊が襲ってくる可能性が有ったとしても開拓作業は止める訳にはいかない。我等は住居の仕上げに掛かった。

 とは言え、いつまでも全員でここに掛かりっきりになる訳にもいかない。女衆は一足先に作業を切り上げて麦と冬野菜の種を撒きに畑へ向かう。

 夏場に蕎麦や黍等の穀物を植えた畑には野菜を、大豆を植えた畑には麦を撒き、野菜を植えた畑は休ませる事にした。要は輪作の真似事なのだが、詳しい事は分からないので何となく連作を避ける様にしただけだ。順に書くと穀物→冬野菜→大豆→麦→野菜→休耕、と言った具合で三年周期で回して行くことを考えている。

 本当は休耕の畑には蓮華なんかを植えたくて春先に野に咲く蓮華から種を採ったんだが、まだまだ数が少なくて実用に耐えないので現在は畑の端っこに種を撒いて数を増やしている段階だ。その為、休耕畑は今の所は単純に休ませるだけとしている。春に一面の花を咲かせる蓮華畑はこの世界に来る直前に見た思い出深い景色であったりもするのだ。


「そらっ!」

「よっと!」

目の前では今まさに長屋に屋根が葺かれている。下から萱の束を投げ上げる者、それを屋根の上で受け取る者、そして押し木に萱の束を挟み込んで固定する者。各々が役割分担をして作業を進めている。

 使っている葦は昨年の冬に採取した物だが、実際の所、量が心許無いのが不安材料だ。一応の概算はして有るが、ひょっとすると最後の最後に端だけ屋根が葺けないなんて可能性も若干だが有る。何故ならこんな長屋の屋根を葺いた経験なんて誰にも無いからだ。

 足りなくなった場合は急遽崖下の沼地へ葦を刈りに行かねばならないのだが、これはこれで問題大である。まず、この時期の葦はまだまだ水分を多く含んでいる為に一月ばかりは乾燥に時間を要するし、ここに来て襲撃の可能性と言う大問題が追加されてしまった。何せ沼は敵が来る下流方向に在るのだ。草刈鎌で大規模な賊と遭遇戦なんて状態は御免被るのである。つまり、何が言いたいかと言えば。萱が足りなくなっても気軽に追加の葦を刈りに行ける状況では無いと言う事なのだ。どうか足りますように…

 え?内壁?そんなのは雪が降って外での仕事が出来なくってからやれば宜しい。


「すまんが、ここは任せるぞ。」

屋根を葺く男達にそう言い置いて、俺は双凷川と名付けた西の川の上流へ向かう。

「やぁ、吉兵衛殿。首尾は如何ですかな?」

そこで北敷からの労働者を取り纏める流澤吉兵衛に声を掛ける。

「あぁ、祥治殿。今の所は石を掻き出すだけの仕事ですからな。問題無く進んでおりますぞ。」

横に並んで眺めると川原の石を一心に掻き出す北敷の男達の姿が見られた。

 予定では蜻蛉返りで代田へ買い付けた穀物の残りを受け取りに行くはずだった彼等だが、状況の変化に伴い徒に外に出る事は危険と判断、そして良く考えたら冬を越すだけの食料は確保出来ているのだから受け取りに行くのは春先でも良いのでは?と気が付いてしまった俺は満助を遣いに走らせたのだった。勿論、理由は賊の襲撃が予想される為と伝えるし、直接代田の人間に伝えるのでは無く、返坂関を守る才田弘兼殿に伝言を頼むと言う手に出る事にした。彼の地の一領主でもある彼から伝えられれば代田の連中も不満を言い辛かろうと言う、才田殿の人の良さに付け込む様な手を使う事については心が痛むが直面する危機に際しては四の五の言って居られないのである。


 さて、築堤の作業の手順としては、予め縄の張られた区域の石を土留めを施しながら一度全て撤去。その後に地盤に基礎となる材木を打ち込み、それを中心に堰の堤体を三和土で築造すると言う流れだ。因みに土留めは川原の幅一杯の長さを上流側、下流側の二箇所に設置しなければならない関係上、必要になる資材が相当量に上る事になる。その為、一々板材等を使う訳には行かないのでそこらの細木や竹等、適当な物を必要になったら必要量だけ調達して行く事にしている。

 又、川の流路は彼等がやってくる直前に突貫で川原の端を迂回する様に変えてある。方法は川原の石を迂回流路になる場所で掘り下げ、そこに山で採って来た粘土を敷き詰めて止水しただけの安易な物だ。恐らく相当量の水が漏れていると思われるが、一応堰が築造される近辺だけは三和土で固めてある。後は今後の作業を見ながらどうするか検討する予定だ。

「明日には我等も合流出来るはずだ。それまで申し訳ないが宜しくお願い致す。」

「畏まった。」

 彼等が留まっている間に堰の完成まで持ち込めるかどうかは不透明なのだが、春までには何としてでも完成させなければならない。幸いなのは夏の間に水路の方は概ね完成していると言う点だろう。

随分、時間が掛かってしまいました。

前回の体調不良以降、家族の不幸まで重なったりで忙しかった事もあるんですが、何しろ書けない。毎日の様にエディタは開くのですが驚くほど進まないのです。これがスランプという奴でしょうか。どなかた良い解消法をご存知でしたらご教授頂きたい。あ、書きたくなるまで書くのをやめるは駄目です。確実にエタるタイプです私…

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― 新着の感想 ―
[一言] 小説を書いてるわけではないので参考になるかどうかですが…自分が文章を書くときに、書き初めが億劫な時は、とりあえず生成系AIに書かせてみて、それを手直ししながら書くことが多いです。とりあえず一…
[一言] 解消法は存じませんが、一読者として応援しております。
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