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異世界最強の自宅警備員  作者: 親交の日
第三章 ブルーブリッジ伯爵家

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3ー4 開校初日。問題発生

前回の投稿では600PVを記録しました。ありがとうございます




ーーーオリオンーーー


 伯爵家の将来を担う家臣を育成するために学校を設立しよう。そんな俺の思いつきがきっかけで始まった学校設立へ向けての活動は、予想以上にトントン拍子で進んだ。発案者である俺は王様への根回しなんかで忙殺されて実務の方にはほとんどタッチしていないが、かなり順調のようだ。なお、王様への根回しでこの話をした際、王様からもひとり生徒(貴族)を入学させたいから、奴隷だけという状況はなんとかならないかと相談された。結果、当初の計画を変更してアパートの住人や仲のいい商人たちにも声をかけることになった。すると予想外に応募者が発生し、最終的には平民と奴隷の割合が五対五になっていた(貴族は若干名)。事務を担当していた店員ーーシルヴィとイアンさんを中心に家臣団を編成したものの未だに不足しているため商会から店員を回してもらっているーーには、


「平民で伯爵家に幹部候補として仕えられるのですから、こぞって応募しますよ」


 と苦笑しながら言われた。俺はてっきり平民を幹部候補にするという学校の設立目的に苦笑していると思っていたのだが、それがまったくの見当違いであったことを後に知ることになる。


ーーーーーー


 計画は急ピッチで進められ、ほんのひと月足らずで学校が始められるようになった。ここで活躍したのが俺の能力。この世界では現代日本のように、学校を設立するための煩雑な手続きはない。生徒や教師を揃えればいいのだ。なので最も時間がかかるのが建物の建設なのだが、それは能力を使うことで一瞬で終わる。むしろ教師を集めるのに苦労した。が、最後は金の力で解決。出費と収入が釣り合ってない(むろん出費<収入)から、ちょうどいい散財の機会だった。ま、そんなことを言えば資金繰りで苦労している貴族たちから顰蹙を買うので、対外的にはギリギリということにしている。俺が商会と繋がっていることは相手も百も承知だが、営業成績については完全に秘匿していた。店員はその辺の守秘義務を含め、恒久的な《誓約》の魔法で縛ってある。生徒、教師、職員もまた同様だ。

 そしていよいよ学校の開校だ。


 行動には教職員、保護者、来賓が詰めている。生徒の姿はない。屋外に待機してもらっていた。式典が始まる前に保護者に対してこの学校の理念を説明しておくためだ。

 俺は演壇に立つ。必然、注目は俺へ集まった。


「皆様、本日は式典にご出席いただきありがとうございます。式典に先立ちまして、学校の理事を務めますわたしから、皆様に学校の理念についてご説明したく思います。皆様ご存じの通り、この学校の目的はブルーブリッジ伯爵家、オリオン商会の将来を担う幹部候補を養成することです。そのためにわたしたちは生徒たちそれぞれが平等であると考えています。身分の貴賤は能力に関係ありません。生徒同士は競争相手であり、また仲間でもあるのです」


 ――ざわざわ

 予想通り、保護者たちがざわつき始める。俺は文句を言われる前に話を進めた。


「それでは式を始めさせていただきます」


 俺の言葉が終わるのと同時に楽団(俺が召喚した)が入場曲(威風堂々)を奏で始める。同時に講堂の扉が開かれ、生徒たちが入場してきた。全員、制服を着用している。同じ学生なのに差が出てしまうことを嫌ったのだ。だからパッと見は見分けがつかない。教職員席から新入生を見守っていると、


「ぶっ!」


 知り合いがいた。婚約者のレオノールちゃんとお姫様。貴族はある程度固めたとはいえ、王族二人が並ぶとはなんという偶然。いや、それよりもなんでここにいるの!? あ、こっちに気づいた二人が手を振ってきた。気づかないふり、気づかないふり……。

 式典の間、俺は二人に気づかないふりを続けた。大丈夫だよね?


ーーーーーー


「どうして無視したんですか!」


 大丈夫じゃありませんでした。式典が終わり、別の仕事へ向かおうと思っていた矢先に二人に捕まり、理事長室(お飾り)へと強制連行された。

 お姫様が憤慨する一方で、


「ひどいです、旦那様……」


 レオノールちゃんは悲しげに目を伏せる。うっ。怒られるよりも罪悪感が……。


「ごめんね、レオノールちゃん。俺も立場上、特定の生徒と親しくするわけにはいかないんだ」


「でもわたし、旦那様の婚約者なのに……」


 今にも泣きそうだ。マジですんません。

 どうやって贖罪しようかと考えていたところで、お姫様が割って入った。


「レオノール」


「どうされました、お姉様?」


「今、オリオン様を何と呼びましたか?」


「はい。旦那様と」


「なぜ?」


「婚約者ですので」


「……………………ちょっと来なさい」


「ちょ、お姉様!? ち、力強い――」


 お姫様にレオノールちゃんが連行されていった。……なんだったんだ? ともかくお説教はほどほどに。ホームルームにも遅れないようにね。


ーーーーーー


王族二人が新設の学校に通う。これも問題といえば問題だが、こっちは想定外。夜になってテンプレの方の問題が発生したとの報告を受けた。


「オリオン様。学校で貴族の生徒と平民や奴隷の生徒とが衝突したようです。また、平民と奴隷とが衝突したものもあるようです」


「やっぱりか……」


 まあ、四民平等という概念が浸透していないのに規則の遵守を求めても守られないのは目に見えている。もちろんこれは予想されていたものであり、既に対策は考えてある。問題を逆手に取って規則の遵守につなげる策を。


「決まり通りにしたか?」


「はい。問題を起こした原因である貴族、平民の合計三名を退学処分としました」


 シルヴィが淡々と結果を告げる。

 そう。これがその対策だ。問題を起こした原因(喧嘩をふっかけた方)は問答無用で退学。概念が浸透しておらず、問題が起こるとわかっていながらこんなに厳しい処分を下すのは、差別的言動が即刻退学になることを周知させたいからだ。生徒たちは大人しく学校生活を送り、卒業すれば上級貴族の幹部あるいは大商会の幹部という輝かしい未来が待っている。なのにわざわざ問題を起こして退学になるバカがいるのだろうか、いやいない。だがいくら口煩くいったところでまず言うことを聞くはずがない。だから最初の三人は厳罰に処される実例になってもらった。これで差別やいじめは下火になることだろう。

 最初は上手くいきそうだ。さてさて、これからどうなるのかとても楽しみだな。




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