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213 100階層ダンジョン ㉑

オヤツタイムとランチタイムを堪能した俺達は再び席に着いて話を聞くことになった。

みんなもある程度は打ち解けたのか、最初の様な緊張は無い。

男もお腹を大きく膨らませているので最初の様な威厳が無いからとも言える。

そして、男は満腹になった腹を擦りながらのんびりと話し始めた。


「自己紹介をしなければならないな。そうしないとお前から食いしん坊や、私の服装からピカピカ男とか変な名前で覚えられそうだ。」

(何故わかった!)


そう言えばコイツも心が読めるんだった。

まあ、インパクトはあるので名前くらいは覚えられるだろう。

難しい名前でなければだが。


「何やら不穏な心の声が聞こえるな。まあ良いだろう。」


なぜか周りから俺に向かって冷たい視線が向けられている様な気もするが気のせいだろう。

それに男からも何処となく呆れを含んだ視線を向けられている気がする。


「私の名はヴィシュヌ。少し頼まれてお前たちに試練を与えに来た。」

「試練?何かさせようって言うのか?」


俺がそう言うとヴィシュヌから再び呆れた目を向けられてしまった。

何故かと思いきやトキミさんが俺の頭を叩いて説明してくれる。


「アンタに分かり易く説明するとだね。この方はとってもえらい神様で宗教によっては最高神の座に居られる方なんだよ。そして、世界が悪の脅威に晒された時に現れ世界を救うって言われてるんだ。あんたもネット世代ならこれ位は知っときな!」

「ネット世代でも興味の無い事は知りませんよ。それに日本の宗教は寛容なんですから。良い考えは取り入れて悪い考えは排除するっているのが最近の主流です。クリスマスやハロウィンを見れば分かるでしょう。」

「口答えするんじゃないよ!そんな事よりもこれからの話をしっかりお聞き!」


そう言って最初の一撃を上回る痛みが俺の頭頂部を襲う。

防御すると更に重たい一撃が来そうなので敢えて受けておいたが本当に痛い。

スキルのおかげですぐに痛みは消えるがとても理不尽を感じる。

貫通も使った様で俺の足元まで衝撃が突き抜けて地面を抉っていた。


(死んだらどうするんだ・・・。)

「私の事は理解してくれたかな。」

「とっても偉い食いしん坊の神様とだけ。」

「・・・まあそれに間違いは無いからそれでも良いよ。それじゃあ名前を言ってごらん。」

「ビシュヌ」

「ヴィシュヌだよ。は~、覚えるか心配になって来た。」

「すみません。私の方でしっかりと体に刻み込んでおくので。」


そう言ってトキミさんは珍しく丁寧な口調で言葉を返す。

ヴィシュヌはそれに対して「任せたよ」と声を掛けて話を進める事にしたようだ。


「それで、話の続きだけどね。君たちに試練を与えて新たな能力を授ける事にした。貢物が気に入ったのでなるべく簡単な物で終わらせてあげよう。」

「もし、先ほどの食べ物が不味かったら?」

「私自ら君らを蹴散らしていたかもしれないね。フッフッフ!」


何やら最後に黒い笑みを浮かべているが本当に世界を救う神なのだろうか。

そして、ヴィシュヌは少し悩むように考えると「あれにするか」と立ち上がった。


「お出で、私のヴァーハナ(乗り物)であるガルーダ。」


するとヴィシュヌの前に空間の裂け目が出来ると巨大な翼を持った真っ赤なグリフォンの様な魔物が姿を現した。

ただ、グリフォンと違い顔と足は猛禽類の様だが体と手は人に近い。

手には鋭い爪があるがあれなら武器も持てそうだ

そして出て来てすぐに俺を睨みつけるとその口を開いた。


「我は魔物に非ず。このヴィシュヌ様に仕える神鳥のガルーダである。無知なる人間よ、次に間違えれば我が炎で焼き尽くすぞ。」


そう言って体から炎を発生させるとその熱風をこちらにぶつけて来る。

俺の仲間には熱への耐性が完全でない者が殆どだ。

その様な行動は遠慮してもらいたい。

しかし、魔物ではなく神鳥だったか。

間違えたのはこちらなので一応は謝っておこう。


「それはすまなかったな。こちら側にはいろいろな魔物がいて勘違いしてしまった。」

「分かれば良いのだ。それでヴィシュヌ様。如何いたしますか?」

「そうだね。そちらは何人で来るんだい?」


そう言ってこちらに声を掛けて来る。

俺は手でTの文字を作ると「タイム」と言ってみんなで集まった。


「誰が参加する?」

「私達は今回不参加だね。ガルーダって言うのは鱗ある者の天敵なんだよ。」


そう言う事ならライラ、トキミさん、ゲンさん、サツキさん、ヴェリル、クオーツは不参加だな。

あと年少組と戦闘慣れしていない者も参加させられない。

それだけでかなりの主戦力が居なくなった。

そうなるとクロヒメも除外しないとな。

自衛隊組だとアキトが参加してもらう位か。

チヒロなんて知らない間に死亡フラグを立ててそうだからな。


アヤネも危険だな。

アリシアは参加できそうかな?


「アリシアは参加するか?」

「頑張ってみます。」


後は・・・。


「ヘザーとホロはどうする。」

「私も大丈夫だと思うわ。」

「鶏肉好き~。」

(ホロはあれを鶏肉と見るか。神鳥なので食べたら罰が当たりそうだ。)


ヘザーはちょっとやそっとで死なないから大丈夫だろう。

カーミラも危険だし・・・そう言えばオリジンは今回どうするんだ。


「オリジンはどうする?」


するとオリジンは珍しくビクリと肩を跳ねさせた。

そう言えばオリジンには神に裏切られてから苦手意識があるんだったな。

でもずっと苦手と言う訳にはいかない。

アティルはそうでもないがもしもの時に動けなくなっているかもしれない。

ここは克服する良い機会だろう。

まさか、どちらかが死ぬまで闘えとは言わない筈だ。


「オリジンは参加してくれないか。」

「・・・分かったわ。私も頑張ってみる。」


オリジンはどうやら俺の考えを理解してくれたようだ。

それに自分でもこのままでは良くないと思っているのだろう。

少し震えているがまずは戦いに参加してみて自分がどこまで動けるのかを知るだけでも重要だ。

最近の俺は何故かトラブルに愛されている。

こんな命を掛ける様な事は以前なら年に一回あるくらいだったのに今ではまるで日常の様だ。

本当に俺の平穏は何処に逃げてしまったのか。

可能なら早く帰って来てほしい。


そしてメンバーは決まった。

俺、オリジン、ホロ、アリシア、ヘザー、アキト。

この6人でガルーダと戦う。


俺達は準備を整えると緊張しながらもガルーダの許に進んだ。

俺の危険察知はコイツにも強く反応している。

ヴィシュヌ程ではないが油断していると死ぬかもしれない。

これは最初から全力で行くしかないだろう。


「待たせてしまってすまないな。」

「構わないよ。いきなり呼んだのは私だからね。それに神に属する我々に時間なんてものは意味の無いものだ。人の一生でも一瞬と変わらないからね。」

「我も構わんよ。全力で戦うために準備を怠らないのは当然の事だ。」


そしてガルーダは少し前に出ると空中に飛び上った。

ヴィシュヌはいつの間にか椅子ごと俺達の後ろでみんなと一緒に居るようだ。

さらに食べ物を催促している所を見るとあそこは安全地帯となるだろう。

ガルーダは飛び上ると同時に炎を纏っているので少し心配だったがこれなら全力で戦えそうだ。


「さあ、掛かって来い。よもや空も飛べぬと言う事はあるまい。」

「それじゃあ行くぞ皆。」


そして戦闘が開始された。

俺は即座に飛び上ると一直線に向かって行く。

それを目隠しにしてアキトとアリシアが遠隔攻撃を放ち俺のすぐ後ろにはホロも付いている。

オリジンは遊撃として一旦待機してもらい相手の出方次第で行動を決めてもらう。

ヘザーは影移動で俺の背中の影に潜んでいるので接近と同時に攻撃に参加してもらう。


「正面からとは最初に死にたいのはお前の様だな。」

「それはどうかな。」


それと同時に俺の後ろから放射状に大量の魔弾がガルーダを襲う。

即座に回避行動を取ったがこの魔弾には必中のスキルが付いている。

最高速度なら躱すのかもしれないがここは狭いダンジョンの中だ。

それにどうやらスキルの様な能力は無い様で縮地は使っていない。

5メートルを越す巨体で飛んでいるので物理法則が何処まで適応されるのかは分からないが、今の所は飛んでいる事以外は常識の範囲で動いてくれている。

そしてアキトの魔弾が命中するとその隙を突いてアリシアの矢がガルーダを襲う。


「ぐおーー!これが今の人間の力なのか!?しかし、この程度で神を倒せると思うなよ!」


ガルーダは体に纏う炎の火力を上げると向かって来る魔弾を全て防いで見せた。

その熱量は高く耐性が無ければ離れていてもダメージをくらいそうだ。

しかし、その程度の熱なら問題ない。

俺達を焼きたいなら2000℃は越えて貰わないとな。


「この熱さの中で顔色1つ変えんとは予想以上に面白い戦いが出来そうだ。」

「それはどうも。そろそろ躱していてもつまらないだろ。これは挨拶代わりだ。」


俺は聖剣を手にして容赦なく斬りかかった。

その攻撃に対しガルーダは武器ではなくその手にある鋭い爪を向けて来る。

そして、一瞬の均衡もなくその爪は聖剣の刃に切り取られた。


「なんと!?神の身を容易く切り裂く武器を持っていようとは!」

「これは色々な者の思いと力が籠ってるからな。爪切りくらいにならないとこちらが困る。」

「ハハハ、我はそう言う事を言っている訳ではないのだが中々に面白い奴よ。ならば我も武器を手にして戦うとしよう。」


するとガルーダは両手に剣を取り出して二刀流の構えを取った。

俺もそれに習い聖剣と共に水の魔石を使用した青色の刀を取り出す。


「貴様のその剣は一本だけか?」

「もう一本あるがそれは他の奴にやったんだ。だから一本だけだな。」

「ならば忠告しておく。水色の武器で防ぐ時は命が無いものと思え。」


どうもこのガルーダという神物はとても親切なようだ。

こうしてアドバイスをしてくれたので俺は聖剣で防御、刀で攻撃をしてみる事にした。


「行くぞ。」


そう言って攻撃をしてくるが今の所は受けられない速度ではない。

俺は聖剣で一撃目を受けるともう二撃目を体を逸らして躱し、ついでに剣の軌道上に刀を添えてみる。

すると聖剣と違い刀は呆気なく切り取られ手応えすら感じなかった。

ガルーダの言う通り、もしこちらの刀で防御を行っていれば俺は深い傷を負うか、死んでしまっていた可能性が高い。

俺は短くなった刀を収納すると聖剣を構えた。


「なんなんだ今の攻撃は?」

「言っておくが今の攻撃は我ら神からすればタダの振り下ろしにすぎない。お前の持つ聖剣が異常なだけと心得よ。お前は知らない内にその剣に命を救われて来ているのだ。」


確かに、この剣の事はいまだによく分かっていない。

マニュアルはないし知っているはずのスピカは何も説明をしてくれなかった。

しかしこれで戦闘に耐えられそうな武器は聖剣だけになってしまった。

一本でも不可能ではないが手数が足りるだろうか。


「それでは参るぞ。試練と言えども相応しくない者には死を与える。これは遊びや訓練でない事を心に刻みつけておけ。」


そう言ってガルーダは剣を振って来る。

攻撃は流れる様に流麗で、まるで空中で剣舞を舞っている様だ。

更に次第に火力も上昇しており、体に纏う炎も激しさを増している。

そのため魔弾が表面で防がれ、まるで効果を発揮していない。

しかもアリシアの矢も鏃が溶けてしまっている。

あれは確かオリハルコンで作った特別製のはずなので既にその表面温度は3000℃にはなっていそうだ。

熱に関してはホロは大丈夫そうだ。

アリシアが心配だがあちらはオリジンが守ってくれている。

しかし、ヘザーは既に無理の様でアリシアの所まで下がっている。

火傷をしているがバンパイアは回復能力が高い。

回復もしていっているのであそこに居れば安心だ。

空気も大丈夫そうなので問題は無い。


「その炎、攻防一体の能力ってところか?」

「その通り。しかし、この状況で人間が普通に戦闘に耐えられている事に驚きだ。貴様もそれなりに修羅場を潜って来たと見える。」


そう言いながらも攻撃の手は緩むどころか次第に速度が増している。

今の所は聖剣1本で防げているがここでホロまで抜けるとかなりのピンチだ。

しかも、この激しい炎の鎧のせいで魔法が一切通用しない。

牽制も放てないので完全に剣のみでの戦闘になってしまっている。


「久しぶりに楽しい戦いだ。我の炎がここまで燃え上がったのは数百年ぶりか。ハァーーー!」


そしてテンションも同時に上がって来たのかここに来て大きな一撃を放ってくる。

その一撃は炎を纏い質量がある様に俺達を後方へと弾き飛ばす。

そして次にガルーダの姿を視認した時にはその口に炎を溜めてこちらへと放って来た。

その瞬間、熱無効のスキルがあるにも関わらず、俺の危険感知が大きく鳴り響き危険を知らせてくれる。

どうやらただの炎ではなさそうだ。


「スピカ、あれは吸収可能か?」

『今は不可能です。数秒耐えれば可能になるかもしれません。』


流石にあれを躱すと後ろにいるアキトはともかくアリシアは危険かもしれない。

ここは一か八かに賭けてみるしかなさそうだ。


俺はクロスを最大まで強化すると迫って来る炎を体で受け止めた。


「ぐおーーー!何だこれ!?すっげー熱いぞ!」

『神の使う滅びの神炎です。通常なら触れた瞬間に消え去っています。』


しかし、クロスで守っていてもそれが触れる先から燃え尽きているのが分かる。

なのでクロスを次々に作り出して対応しているがそうするとどうしても雑になり隙間が生まれる。

そこから侵入してきた炎に俺の体が触れるとその部分が一瞬で灰になり崩れ落ちてしまった。

しかし、回復に使う力の余裕はない。

奴は攻撃が止まるか俺自身に何かが起きるのを待ち続けた。


「スピカまだか?」

『経過時間1秒です。まだ耐えてください。』


どうやらまだまだ時間が掛かりそうだ。

今では腕の半分が灰に変わり、両足も無くなっている。

クロスを纏う面積が減った分なんとか耐えれているがそれも何時まで続けられるかは分からない。


『スキルが発生しました。』

「ならすぐに習得してくれ。」

『その前に一つ聞きます。』

「何だ?あまり余裕が無いぞ。」

『人間をやめても良いのですか?』

「それはどういうことだ?」

『そのままの意味です。これを習得すればあなたは人の枠から外れるでしょう。それでも構いませんか?』


いつもは俺を騙してでも面白いスキルを取らせようとするスピカにしてはとても珍しい事だ。

こいつなら俺が妖〇人間やキングコ〇グになるようなスキルでも平気で進めると思っていた。

しかし、このままでは俺は燃え尽きて死ぬのは確定だろう。

俺は何処かのボクサーの様に白く燃え尽きて死ぬのではなくベットの上で安らかに死にたい。

それにこうなる選択肢を取ったのは俺なので生きるための道が一本しかないならその選択肢を選ぶしかない。


「スピカ、そのスキルを取れ。」

『了解です。スキルポイントを500使用し神気のスキルを取得しました。』

『それにより目の前の神炎を吸収可能になりました』

『吸収開始。それと同時に体を修復します。』

『右腕完全再生、左腕完全再生、右足完全再生、左足完全再生。』

『神気のレベルが2に上昇しました。』

『インフィニティ・エナジー・ドレインに新たにエネルギータンクを形成、神気が貯蔵可能です。』

『ユウさんの種族が人間から亜神に変わりました。』

『体内に新たな器官、神臓が形成されました。』


色々な事が頭の中を飛び交ったが俺は今回も生き残れたようだ。

ただその代償で人間ではなくなってしまった。

亜神が何なのかは後で聞くとして、まずはこの炎を食い尽くそう。


先程まで熱いと思っていた炎だが今では焚火に手を翳した程度に感じる。

それに先程までは分からなかったがこの炎に含まれる神気と言う物も感じられるようになった。

そこから感じるのはその者に対する人々の信仰。

どうやら、神気とは人から信仰を向けられると得られる力の様だ。

そこは少し天使と似ている気がする。


「フハハハ!試練を越えたか。ならば我の役目は終わったようだ。」


そう言って俺に向けられていた炎は消え去りガルーダは空から下りて来た。

俺も地面に降りるとガルーダの許に向かい声を掛ける。


「これで終わりか?」

「あれ以上やっても我の神気が吸い尽くされるだけであっただろう。昨今では信仰を集めるのも大変なのだ。今後の為にも無駄には出来んよ。お前はお前で信仰を集めるのだな。」


そして、俺達は肩を並べてヴィシュヌの許へと歩き始めた。

サイズも調整可能なようで今は2メートルくらいの身長だ。

そしてその間に基本的な事を教えてもらい信仰についての知識を深めていく。

どうやら、信仰を一番集めやすい形が偶像崇拝という、その者を形どった像などを使うのがが一番効果的らしい。

イメージもしやすく他の神と間違われる事も少ないそうだ。

そして、亜神というのは人から神に至る過程の存在らしい。

この期間にしっかりと宣伝活動をしなければ神にはなれないそうだ。

そして、寿命に関してだがそれは分からないと言われた。

信仰があれば死なないそうなのでそれ次第らしい。


「それと神にも伴侶が居る事は多い。お前が力のある神になれば神の世界で死後も暮らせよう。頑張るのだぞ。」


最後にとても重要な事をサラリと言っていたがとにかく今まで通り頑張れば良いと言う事だ。

結果とは後から付いて来るものなので悩んでも仕方ないだろう。

そしてヴィシュヌの前に立つと俺達は彼の拍手で迎えられた。


「よく試練を乗り越えたね。新たな同胞よ。君を歓迎しよう。それとこれはちょっとしたサプライズだ。」


そう言ってヴィシュヌが腕を振ると周りに神気が広がり皆の体に降り注いでいく。

するとステータスが勝手に開きそこに新たな項目が追加された。


「何だこれ?称号・・・。」

「その通りだ。何らかの偉業を成し遂げるとそれに沿って称号が与えられる。例えばユウなら聖剣の担い手や魔王殺し、人を捨てし者や神を目指す者とかがあるんじゃないか?」

「確かにあるな。それが何か意味があるのか?」

「その欄に説明があると思うがそこに書かれている称号は加護と同様にプラスの補正が掛かる。まあ、普通なら3つあれば良いと思うけどね。」


そう言っているが俺の称号欄にはそれでは収まらない程の称号が並んでいる。

簡単なのでも。

精霊の友。

火、水、風、土の精霊王の友が各1つずつ。

精霊の母の愛を受けし者。

世界の意思から愛されし者。

世界樹の守護者。

霊獣を救いし者。

世界を護りし者。

ダンジョン踏破者。

ドラゴンキラー。

容赦なき殺戮者。

聖剣の担い手。

魔王殺し。

人を捨てし者。

神を目指す者。

その他にも沢山の称号がある。

読んでみれば「ああ、あの時の事かな」と思えるがこれが一つ一つ加護と同じような役割を果たすなら凄い事だ。

トキミさんが言う様にここに来て良かったと言える。

しかし、こうして見るとなんだかファンタジー小説のステータスに更に近づいた気がするな。

これは少し聞いてみるか。

もしかしたら俺と趣味が合うのかもしれない。


「それにしてもヴィシュヌはこういう事に詳しいんだな。もしかして日本の小説とか好きなのか?」

「いや、最初に言ったが私はある者に頼まれて君たちに試練を与えに来ただけだ。その者はとても恥ずかしがり屋の引き籠りでね。この称号というのもその子が考えたんだよ。まったく、自分で試練を与えれば良いだろうにね。」


そう言って「ハッハッハ」と笑って俺を見て来る。

当然、俺もその視線の意味は理解している。

神気を感じられるようになってからは俺の中に俺とは別の神気を感じられるようになったからだ。


(スピカさんや。)

『な、何でしょうか?』

(後でゆっくりと皆の前でオ・ハ・ナ・シしましょうね。)

『・・・了解です。』


スピカにはいろいろな事をこれから説明してもらう必要がある。

何処まで教えてくれるかは分からないが今までと違って少しは教えてくれるだろう。

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