204 100階層ダンジョン ⑫
このダンジョンは70階層を超えると他の冒険者は居なくなる。
ここから先はもう何年も人が踏み込んでいないそうだ。
俺達は数日で到着したが普通ならここまでレベルを上げるには数えきれない程の命がけの戦いを潜り抜けなければならない。
何年もそんな事を行えば余程の精神の強さが無いかぎり、諦めと妥協で心が満たされてしまう。
すなわち、この時点で満足し先に進めなくなる。
中には家族が出来た者も居れば使い切れない程の大金を稼いだ者も居るだろう。
当然、中には死んだ者も居るはずだ。
そのため、60~70階層の間が一般的な冒険者の限界点となっている。
そして、俺達はまさにその限界を超えてこの先の階層を進もうとしていた。
しかし、俺達にはそんな一般的な限界は関係ない。
まさに目的に向かう道の途中というありふれた気持ちで先へと進んで行った。
「やっぱり大した事ありませんね。」
「所詮はここも通過点じゃからな。それにキラーアントのおかげでレベルは十分に上げることが出来た。これは予定通り行動しても問題なかろう。」
俺達は時間短縮のためにこれから単独行動に移る。
この階層の全ての魔物を片っ端から討伐し、下へ降りる階段で落ち合う計画だ。
「それじゃあ、楽しい狩りを始めましょうか。」
「そうだねえ。やっと自由にやり合えるとなると楽しみだよ。」
そして、俺達は魔物に向かい分散して行った。
このメンバーならここが広大なフロアだと言っても時間は掛からないだろう。
目標を昼過ぎに定めているので俺も急いで目標へと向かって行った。
通路を走り、壁さえも足場にして目の前の通路を駆け抜けて行く。
魔物を突き飛ばし、それと同時にその身を両断する。
そして、空中で魔石を回収して次へと向かって突き進んで行く。
移動が速いので1秒毎に魔物に遭遇しマップに表示されている魔物も次々に姿を消していた。
ちなみにこの階層に現れる魔物は初めて見るがエレメントといってそれぞれに得意な属性を持っている。
その姿は2メートル程の球体で目や耳も無く、常に浮いて移動をしているようだ。
考えようによってはアトラクション施設で遊んでいる様な錯覚を感じるがそれは俺達だからだろう。
アキトの様に遠距離系の人間だとかなり楽しめそうだ。
しかし放たれている各種属性攻撃は強力で試しに火属性のエレメントにナイフを放り投げると一瞬で飴の様に溶けてしまった。
それに唯の物理攻撃があまり効果が無いので自然と魔力を込めた攻撃手段が必要になって来る。
まあ、ここに来ているメンバーには問題は無いのは見ていればすぐに分かる。
そして、20分もしない内に俺達は下層に下りる階段の前に集合していた。
皆ウオーミングアップに丁度良かったのか出発した時よりも楽しそうだ。
怪我もしていない様で服すら汚れていない。
アキト以外は次の階層に早く行きたいのかウズウズしているのが伝わって来る。
そのため俺達は勢いのままに次の階層へと降りて行った。
そして進んでいるとカラスの様な鳥が飛んでいるのが見えて来く。
大きさも日本で見る物とそれほど変わらないようで翼を広げて80センチくらいだろう。
しかし、名前を確認するとバレット・クロウと表示されている。
そして、俺達が接近するとこちらに向かい弾丸の様な速度で飛んで来た。
その速度は今まで戦った敵の中では突撃攻撃に限定するなら最速かもしれない。
全員がその攻撃を余裕で避けたがカラスは壁に激突し岩でできた壁を粉砕して止まった。
自爆攻撃かと思ったが普通に壁から頭を引き抜くと再び飛び上って向かって来る。
「どうやら、避けていては不利になるだけのようじゃな。」
「そうですね、遠くから同じ魔物がどんどん集まって来てますし。」
先程からバレット・クロウはカアカアと鳴き続けているがあれは仲間を呼んでいる様だ。
奥からはカラスの群れがこちらに向かって急速に近付いている。
その群れが更に他の仲間を集め、次第にこの階層の魔物がここに集結しようと動き始めていた。
まさか、洞窟型のダンジョンで再び群れを殲滅する事になるとは思わなかった。
しかも今までと違い回避エリアが限定している俺達の方が不利になる。
そのため目の前のバレット・クロウの首を斬り飛ばすと集結が完了する前に奥に向かって走り始めた。
それでも既にこの先は魔物で埋め尽くされようとしているのでまさに総力戦だ。
しかし、キラーアントの様に階層を埋め尽くす数ではない。
埋まっている距離も200メートル程度なので逆に集まってくれたことで探し回る手間が省けたと言える。
剣を使っても良いのだが。面倒なのでここは一斉に魔法を放ち焼き尽くす事にした。
「なんだか魔法って聞くと魔法少女みたいだねえ。」
そう言ってトキミさんは魔法を発動し手の上に炎を浮かべる。
なぜそんな言葉を知っているのか知らないが最低でも彼女は少女と呼べる歳ではない。
あえて年齢だけで言うなら魔法老女だろうか。
しかも肉体言語が大好きなこんな魔法少女?が居たら夢どころか現実まで破壊されそうだ。
「それよりも魔法の発動は問題なさそうですね。」
「そうみたいだね。昔から体内の気の流れを扱うのには慣れていたからねえ。それの応用で問題なさそうだよ。」
トキミさんが魔法を使うのを初めて見たが俺が初めて使った時よりも遥かに上手い。
今では炎を操作してお手玉の様に自在に動かしている。
やはり彼女と俺では根本的に積み上げて来たものが違うようだ。
「それじゃあ、一斉に放ちますよ。」
俺達は火の魔法に限定し、前方から迫って来る魔物の群れへと一斉に放った。
その威力は凄まじく、通路を埋め尽くした炎は瞬く間に魔物の群れを焼き尽くしていく。
これでこの炎が酸素を消費していれば俺達は一瞬で酸欠で倒れていただろう。
事前に確認が出来ているとは言え常識的な思考で考えると心配になる光景だ。
一応は追い風を起こしてこちらに熱が来難くしているがレベル70以上の魔物を倒すにはかなりの火力が必要になる。
そのため、炎が消えた後も通路はいたる所が赤熱し、通れなくなったので俺達は一列に並ぶと空中を移動して奥へと進んで行った。
帰るのは転移陣を使えば良いのでワザワザ魔法で冷却する必要は無いだろう。
そして俺達は順調に進み79階層に到着した。
現在の俺達のレベルは83と進行速度とレベルアップでは進む速度の方が少し早い。
しかし、それでも十分な余裕があるのでそのまま進んでいる。
それにこの辺りの魔物は殆どが受肉しており素材が取れるようだ。
しかし、俺達は魔物に詳しい訳ではないので解体はギルドを通してお願いする事にした。
それなら解体作業が多くなりタキの仕事も増えて収入が増加するだろう。
やはり結婚資金は多いに越した事は無い。
そして、79階層はたった一つの大きな部屋があるだけだった。
しかも一面を巨大な地底湖が広がり、2キロ程離れた対岸に下層に下りるための階段がある。
そして、このフロアに居る魔物はたった一体だけだ。
しかもそいつは以前に遭遇した事のある魔物で少し懐かしさも感じる。
その為、俺は家に電話してヴェリルに来てもらう事にした。
「呼ばれて来ましたがどうしましたか?」
「実は懐かしい魔物が居たから相手してみないかと思ってな。」
俺がそう言うとヴェリルは湖に視線を向けて納得してくれたようだ。
彼女が来たタイミングで少し離れた所に分身で影を作り魔物を挑発したのだが、そいつはすぐに喰い付いて大きくダイブし、その姿を現してくれた。
「確かに懐かしいですね。ユウと出会った切っ掛けをくれたメガロドンさんですか。」
「どうだ、リベンジマッチでもしてみないか?」
「良いですね~。ちょっと行ってきましょう。」
そう言ってヴェリルは亜竜の姿に変わり湖へと入って行った。
そして次の瞬間、湖が揺れ始め水中からメガロドンが天井まで弾き飛ばされる。
するとヴェリルは蛇の様に体を使ってその体を拘束すると容赦なく首に牙を立て180度回転させて圧し折り秒殺して見せた。
やはり彼女の戦闘能力はリバイアサンの眷族になってから格段に上昇している。
既に亜竜では最強と言っても良いかもしれない。
ヴェリルはそのままメガロドンを収納すると変身を解いて俺の前に戻って来た。
「思ってたよりも張り合いが無かったですね。」
「それだけお前が強くなったって事だろ。それじゃあそれはライラに渡しておいてくれ。」
「任せてください。丁度メガロドンのお肉が少なくなって来たってメノウも言ってましたから喜んでくれると思います。」
そして彼女はゲートを潜って家に帰って行った。
解体は一度はした事はあるが今回は後の事も考えて損傷を最小限にしてくれている。
ライラもあれなら満足して喜んでくれるだろう。
これで肉の補充も出来てしばらくはご飯が美味しくなりそうだ。
そして先程の戦闘を見てトキミさんは俺に声を掛けて来た。
「あの嬢ちゃんがまさか龍だったとは思わなかったよ。」
「あれで亜竜なんですよ。元がマーメイドなのでまだ龍には至っていません。」
「それであの強さなのかい。人は見かけによらないねえ。それで、さっきの魔物は持って帰ってたけど美味いのかい?」
そう言えば、まだこの人には食材の説明は何もしてなかったな。
あの時のパーティーでも使っていたけど料理の種類が多くて食べ損ねたのかもしれない。
幾つか手元に食べられる物はあるがここは摘まみ食いはさせないで、夜まで待ってもらう事にしよう。
「それなら夜に一品作ってもらえる様にメノウに言っておきますよ。」
「そんなに美味いのかい!」
トキミさんは今にも掴みかかりそうな勢いで迫って来るのでそっと肩を押して距離を開ける。
そして俺はニヤリと返すと首を縦に振った。
「あまりの美味さにブレスを吐かないでくださいよ。」
「それなら丁度終わった事だし、とっとと次の階層の転移陣から帰ろうじゃないかい。」
「言っておきますが、まだ昼過ぎですからね。」
「わ、分かってるさね。夜まで待ってれば良いんだろ!」
どう見ても待てそうにないがそこはメノウに任せよう。
俺も用事があるのでそこまでは面倒は見切れない。
俺達は地上に戻るとそのまま我が家に向かって飛んで行った。
そして家に到着するとここでもやはり見慣れた光景が広がっている。
マリベルが作った部屋にメガロドンが置かれ、解体が始まろうとしていたのだ。
「お帰りユウ。まさかメガロドンがまた見れるとは思わなかったわ。しかもほぼ完全な状態だから色々な素材が取れるわね。ヴェリルが上手に倒してくれてるから腕がなるわ。」
そしてライラはとても嬉しそうに鼻歌を歌いながら解体の準備をしている。
他の皆もドレスの方をいったん中断して解体に来てくれているようだ。
特に食いしん坊であるホロの目がいつもに増して鋭い。
解体道具も今回は揃っているので前回よりも早く終わるだろう。
ただ、前回よりもこのメガロドンは明らかに大きい。
流石79階層の魔物だけあり、以前の奴に比べてレベルが高いのだろう。
パッと見ただけでも1.5倍の30メートルはある。
これはハッキリ言って食い応えがありそうだ。
しかもレベルが高ければ以前のメガロドンよりも美味しい可能性が高い。
味の方も期待できるので今にも涎が垂れそうになる。
「そう言えばあそこにメガロドンが居たって事は今後も定期的に狩れるって事か?」
俺が思っていた事をそのまま口に出すと周りから一斉に視線が集中した。
どうやら、ここにいる全員が気付いていなかったようだ。
メガロドンは世界に数匹しかいないとされる超レアな食材、じゃなかった魔物だ。
受肉を待つ必要はあるがそれが定期的に取れるとなると我が家の食事事情は大きく変わる。
「そう言えばそうね。流石にこれ程の魔物なら数日で現れるって事はないでしょうけど上手く養殖すれば1月に一度は取れるかもしれないわね。」
「養殖って、一体何を餌にするんだ?」
「強い魔物を与えるのが一番ね。何階層か下の魔物を生け捕りにして食べさせたらすぐに受肉するはずよ。」
そう言えば強い魔物の肉は食べた者に力を与えるんだったな。
そうなると食べられない魔物も回収しておけば良い餌になるかもしれない。
この事をもっと早くに知っていれば、他の魔物も回収して置いたんだけどな。
すると横で聞いていたゲンさんが珍しく遠慮がちに声を掛けて来た。
「もしそれが上手くいったら儂にも少し分けてくれんかのう。あれ以来、催促が激しくて困っておるんじゃ。」
そういえばゲンさんは交渉の道具としてこの肉を配った事がある。
その相手から催促がされているようだが今までは量に限りがあり必要以上には渡していなかった。
当然、必要な量とは彼らが自分達で食べる分なので他に回す余裕はない。
「まあ、先がどうなるか分かりませんが、今回は大物が取れたのでまた少し回しますよ。頑張ってる人たちにでも食べさせてあげてください。ゲンさんも仕事を任せっきりだと何かと言われるでしょう。」
「ホッホッ。痛い所を突くのう。まあ、その通りじゃから反論できんな。すまんがマリベル。近い内に一度帰るからその時は頼んだぞ。」
「任せてください。」
今では高品質の魔石が大量にあるので日本との日帰りも出来る。
すぐに帰って来れるかは分からないが数日中には帰って来れるだろう。
「トキミさんも解体に参加してみてはどうですか?きっと勉強になりますよ。」
「そうだね。暇だから手伝おうか。いつも食べてばかりだと悪いしね。」
「それじゃあ、俺はクラウドの所に行ってきますね。」
「ええ、行ってらっしゃい。」
俺は出かける前にトキミさん用の料理をメノウに頼み城に向かう。
そして俺は兵士に案内されて今日は執務室へとやって来た。
部屋に入ると当然だがクラウドは机で執務を行っている。
そのあまりにも似合わない姿に俺の口からは無意識に笑いが零れた。
「王になるとこういう仕事も増えるだよ。それで、今日はどうしたんだ?」
クラウドは俺が笑ったので少し不機嫌そうに用事を聞いてくる。
しかしコイツもゲンさんと同じで周りが優秀なので書類を読んでサインを書き込むだけだ。
ただ、今までに滞っていた仕事と俺が持って来た結界石の件で仕事が増えてしまったのだろう。
だが、これから正式に王家を復権させるなら仕事が増える事はあっても減る可能性は少ない。
そして、俺達の世界でも仕事に時間を取られて婚期を逃す者も少なくない。
なので、ここは是が非でも我が家に来て貰わなくてはならない。
「実はな今日は家で『宴会』をする事になったんだ。そのお誘いに来たんだが時間はあるか?」
「宴会・・・グググ!しかし、今日は仕事が多いんだよな。」
「そう言わずにソルダスとグルエドも連れて来ても良いぞ。今日は酒を飲み放題だ。」
『バキバキ、バタン』
「それは本当か!?」
「クラウド!貴様それでもドワーフか!酒と政では酒が重要に決まっているだろう」
どうやら部屋の外にいた二人は盗み聞ぎをしていたようだ。
事前に俺が頼んで来てもらっていたのだが二人はクラウドよりも欲望に正直なのだろう。
これだからデーモンに付け入られるのだと思いながらも二人の後押しは今はありがたい。
将軍と宰相からこう言われれば王であっても無視が出来ないはずだ。
「仕方ない。それなら夜に飯を食べに行くから頼む。それとアキは頑張っているか?」
「アキか。店に初めて行った時は呪いを受けて死にかけてたが今は大丈夫だ。でも少しトラブルに巻き込まれて困ってるみたいだったな。頼れる相手も居ない様だから気を落として落ち込んでいるぞ。」
「何?」
俺はあからさまにアキの現状を過剰気味に報告する。
ただ、嘘は一つも言っていないし、あの時のアキの言葉は明らかに本心ではない。
しかし、さり気なくアキの事を聞いてくると言う事はクラウド自身も気に掛けていると言うことだ。
それに俺の言葉を聞いた途端に雰囲気が一変したのを感じる。
まるでこの国に来てすぐに鎧を着たオーガを前にした時の様だ。
「それで、呪った奴の目星は付いてるのか?」
「依頼した奴は既に発見してあの世に送ってある。しかし、実際に呪った奴は分からない。今の所、ガストロフ帝国が怪しいが確証はないからな。工作員は粗方アキトとテニスが始末したからその中に入っているかもしれない。」
「そうか。すまないがしばらくアキの事は頼む。」
「自分で守らないのか?」
俺は少しお節介だったかなと思いながらも聞いてみるとクラウドは珍しく表情を曇らせた。
こういう迷ったような表情はいつも感情を素直に示す彼にしては珍しい。
「俺は一度アイツを置いてこの国を出た。そんな俺がアイツに何を言えば良いんだ?」
「素直に好きと言えば良いんじゃないのか?」
「ば、馬鹿野郎!そんな事言える訳ねえだろ!」
(否定はしないんだな。)
俺が冗談っぽく言うとクラウドは真っ赤な顔で俺に言葉を返して来る。
しかし、それを後ろで見ていた二人は同時に口元を吊り上げるのを俺は見逃さなかった。
それにクラウドの思いも確認できたので後は二人を素直にすれば良いだけだろう。
俺は部屋を出るとソルダスとグルエドを連れて少し離れた部屋へと入った。
「それで、アキとは誰の事なんだ。」
「俺も知りてえな。俺が知らないって事は鍛冶師じゃあないんだろ。」
「アキはドワーフの女性で裁縫職人だ。今は家で女性陣のウエディングドレスを作ってもらっている。ただ、クラウドとは同郷で幼馴染みたいだな。」
「ならば王族か。それなら血筋は相応しいと言う事か。」
「第1王妃にはドワーフでなければ内外に示しが付かんからな。」
どうやら、二人は俺が何も言わなくても先ほどのやり取りで大まかな事は理解してくれている様だ。
欲望に忠実な二人でも頭は優秀な様なので話が早くて助かる。
「それならお前らは俺に協力するって事で良いんだな?」
「当然だ。こんなチャンスは滅多にないからな。」
「俺も面白そうだから協力してやるよ。」
俺達は互いに頷き合うと拳をぶつけてこれから行う事への共犯者となった。
クラウドも王となったならいずれは妃を迎えなければならない。
そうしなければ血が残せず、一代で終わってしまう
ただ、その相手が常に愛し合う相手かは分からないが、一人くらいは互いに愛し合う相手と結婚してもらいたい。
少しお節介かもしれないがチャンスは継続する物ではなく一瞬しか訪れない。
それならその一瞬を目に見える形で迎えさせてやろうと思う。
それが俺がクラウドにしてやれる数少ない事だ。




