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198 100階層ダンジョン ⑥

メノウの声に反応し、上から猛烈な足音が複数聞こえて来る。

見れば全員が適齢期以上の者ばかりなので彼女達にだけ伝えられている暗号なのだろう。

すると降りて来てすぐに一斉に包囲すると俺の顔を見上げてくる。

そしていつもの様に皆を代表してライラが確認を行うようだ。


「本当に良いの?」

「良いよ。みんなの好きにすると良い。日本の家は無くなったけどクラウドがここを準備してくれたからね。日本での立て直しを待ってると1年以上待たせそうだ。だから後の決断は個人個人に任せるよ。」


すると俺の言葉を聞いて全員が大喜びだ。

その中にはリアも含まれているので後でしようと思っていた色々な確認が不要になった。

ワカバやアリーナは居ないが代わりにツボミは居る。

彼女に子供が産めるか分からないが判断は本人に任せよう。

見た目は子供だが体はそうではないのかもしれない。


「それで、アヤネには悪いんだが結界石の製造を頼む。この国の町や村に結界石を設置したい。」

「分かりました!」

「それなら私も手が空いている時は手伝うわね。」


ライラは万能薬がもうじき完成するところまで来ている。

完成すれば次は量産となるのであまり無理はさせたく無いがこれはライラとアヤネにしかできない事だ。

これならもっと早くに習っておけばよかった。


『それなら皆さんの代わりに私がどうにかしましょう。』


そう言ってスピカは勝手に聖剣を取り出すとそれを依り代にして姿を現した。

皆が彼女を見るのは精霊の住処以来になる。

いつもは俺の中で引き籠っているが珍しい事もあるものだ。


「皆さんお久しぶりです。」

「スピカって呼んで良いの?」

「構いません。こうして姿を現すのは2回目ですが私は世界が融合してずっと皆さんの事を見てきました。私の事も家族の一員としてくれると嬉しいです。」


サラリと家族の輪に入ろうとしているが誰も反対する者が居ないので承認された様だ。

しかし、そうすると俺は剣ともしないといけないのか。

結果がどうなるか分からないが切り取られないようにだけ気を付けよう。


「それで、どうやって手伝うんだ?」

「私が結界石の製造法を習いユウさんが寝ている間に製造を行います。錬金を習得すればクリエイトと模倣のスキルを補助にして作る事が可能でしょう。ユウさんのスキルもリンクを切っている訳ではないので使用可能です。」


確かにそれなら可能かもしれない。

それに、それならアヤネの負担もかなり減るはずだ。


「それじゃあスピカに頼むか。ライラ、すまないが最初だけコイツに製法をレクチャーしてやってくれないか。」

「分かったわ。」


そして、俺は錬金を習得してレベルを10に上げた。

すると錬金はクリエイトに統合され、そちらのスキルが強化される。

これなら複数のスキルを使う手間が掛からないのでスキル使用も楽になるだろう。

そして思った通り、スピカは見事にライラの製法を模倣で覚え、クリエイトのスキルでまったく同じ物を作って見せた。

それを確認してライラは太鼓判を押してくれる。


「驚いたわね。これは何処に出しても恥ずかしくない出来よ。」

「ありがとうございます。それでは今日から量産に入りますね。」

「あの、私はどうすれば?」


それを見てアヤネは不安そうな顔で声を出した。

恐らくは仕事を取られて不要と言われるかもしれないと心配しているのだろう。


「アヤネはこれから出産という大役が待っています。体に負担の掛からない範囲で手伝ってください。」

「は、はい。」


するとアヤネは真っ赤な顔になりると小さく頷いた。

スピカの言い方はいつも直球気味なのでその意味がしっかり伝わったのだろう。

俺もこの世界での出産が魔力消費でどう影響するかは分からない。

出来ればアヤネにも無理はさせたく無かったので今回の事は本当に助かる。

そして、伝える事が終わったので今日は解散となった。

これからは自分の意思でタイミングを決めるだろう。

その前に結婚式を挙げたいので明日にでもクラウドに相談してみよう。

この国には服飾を得意とする者も居るので誰か紹介してくれるかもしれない。


そして朝になると、珍しく少し疲れが残っている感じに襲われた。

横を見れば白髪の少女が一人、俺の手を取って真直ぐに見詰めて来る。

そう言えば昨夜からスピカが結界石を作ってくれていたんだった。

どうやら魔力などは俺のを使用していたようだ。

この疲労はその為だろう。

しかし、そうなると一体幾つ作ったのかが気になる。

普通に考えて俺が疲労を感じる程の数となると10や20では無い筈だ。

そう思い周りを見るが結界石は見当たらない。


「結界石なら収納してありますよ。」


俺はスピカの言葉に頷きステータスを開いて結界石の項目を探す。

するとそこには数えるのもバカバカしくなる程の大量の結界石が作られていた。

数も既に3桁は有りそうだ。

これだけあればしばらく作る必要はないだろう。

これを手土産にすればクラウドも良い職人を紹介してくれそうだ。


そして、一階に下りようとベットから起き上がるとスピカに腕を強く掴まれた。

そちらを向くと彼女は頬を膨らませてむくれている。

そう言えば一晩中頑張ってくれたのでお礼を言わないといけないな。


「頑張ってくれてありがとう。」


俺は言葉と一緒にスピカの頭を優しく撫でてやる。

そう言えば一番付き合いは長いのにこうして頭を撫でた回数は一番少ない。

その為少し長めに撫でてやるとようやくその手を放してくれた。


「それでは、私は再びユウさんの中に戻ります。」

「朝食は食べないのか?」

「・・・外は、まだ少し恥ずかしいです。」


そう言って彼女は俺の中に消えていった。

どうやら、昨夜に皆の前へ出て来てくれたのもかなり頑張ってくれたみたいだ。

それなら今回の功労者なのでその意見を受け入れて無理はさせないでおこう。


そして一階に下りると揃って朝食を取り始めた。

しかし周りを見てもアキトとテニスはまだ帰って来ていない様だ。

これは予想以上に工作員の数が多かったと言う事だろう。

マップを見ればこの王都からもかなりの数が居なくなっている。

ダンジョンの方が終わったのでこちらにも手を出しているようだ。

それにあのダンジョンからだとこの街が一番近い。

拠点を作って潜伏するには町の規模の関係でこちらの方が向いているはずだ。

あちらを片付けてもこちらの工作員を根絶させないと散発的な被害が出てしまうだろう。

これで、自然とこの家の安全性も高まるので二人には感謝しないといけない。


「食べながら聞いてください。今日は自由行動の日にしたいのですけど良いですか?」

「どうしたんだい。何か用事でもあるのかい?」

「クラウドの所に行って服飾関係の職人を紹介してもらおうと思いまして。そろそろ正式に結婚式を挙げようかと。」


すると周りの女性陣が色めき立ち歓声が上がる。

前々から考えてはいたが時間が取れず、結局ドレスも式場の予約も後回しになっていた。

しばらく時間はありそうなのでここで思い切って準備を進める事にしたのだ。


「なら、式を挙げるのは世界樹の下にしましょう。」

「良いのか?」

「当然でしょ。姉さんも喜ぶわ。」


そしてオリジンが式を挙げる場所を提供してくれたのでこれで後はドレスだけだ。


「アスカも作るだろ。後でみんなと一緒に依頼すれば良いんじゃないか?」

「はい、そうします!カエデも一緒にしようね。」

「はい。」


何やらアスカがウチみたいな事を言っているがアキトは知っているのだろうか。

アイツにとっては娘みたいな感覚かもしれないが、もしもの時は相談に乗ってやろう。


その後、俺はトキミさんと一緒にクラウドの許へと向かった。

彼女が一緒なのは武器の話をするためだ。

どうやらかなりお気に召した様でアイテムボックスに入れずに肌身離さず持っている。

後はゲンさん達と同じように細かな調節をしながら完成させるだけだろう。

材料は大量に渡してあるので既に試作は出来ているかもしれない。


俺達が城に到着して門番に声を掛けるとすぐにクラウドのいる工房へと通された。

それにしても執務室ではなく工房と言う所がドワーフらしい。

そして中に入ると強烈な熱気と轟音が俺達を出迎えてくれた。

この音には覚えがありオリハルコンを形成している時の音だ。

それにクラウドと一緒に鎚を振っているのはソルダスだろう。

相変わらずドワーフは髭で顔の半分が隠れているので判別が難しい。


「それにしても凄い音だねえ。」

「俺もそう思います。でもこれ位強くたたかないと凹みすら出来ないんですよ。」

「温度を上げればいいじゃないか。」

「あの炉の温度は既に2000℃を超えています。オリハルコンは軟化点が高いので炉の性能をフルに使ってもギリギリなんですよ。それにそれ以上になると人間の方が燃えてしまうのでこれ以上は無理です。」


恐らく、ソルダスは身を焼かれる痛みに耐えながら鎚を振り下ろしているはずだ。

その証拠に肌に火傷の痕が何カ所か見える。

クラウドは俺の眷族となって力が増しているので問題なさそうだ。

あの状態のクラウドは妥協をしないので声を掛けても反応はしないだろう。


「外で少し待っていましょうか。終わるまで声を掛けても無駄ですから。」


俺は滝の様に汗を流しているトキミさんに声を掛けて外に出た。

そこは城の中庭になっているので冷たい風が吹いて熱くなった体には心地良い。

トキミさんも一息ついて魔法で体を綺麗にすると大きく息を吐きだした。


「こちらの鍛冶は初めて見るけど日本のに比べると半端ないねえ。」

「俺も驚きましたよ。でも日本からはキテツさんが弟子に来ているのでいつかはメイド・イン・ジャパンの武器も手に入るようになりますよ。」


その後も雑談をしながら少し待っていると、運よく鎚を打つ音が止まりソルダスが工房から飛び出して来た。

そしてポーションを取り出してそれを一気に飲み干し、大きな溜息を吐き出す。

すると体の傷がゆっくりと治っていき、その場でバッタリと大の字になって倒れた。

どうやら限界ギリギリまで作業をしていたようで俺はソルダスに歩み寄るとその顔を覗き込んで声を掛けた。


「大丈夫か?」

「おお、ユウか。酒の差し入れか?」

(どうしてドワーフは会えば最初に酒を催促するんだ。)


しかし、ボロボロのソルダスに言うのは酷なので一応はブランデーを取り出して渡してみる。

するとソルダスはそれを受け取ると何故か収納し、代わりの酒を取り出した。

どうやら渡した酒は一人で独占し、持っていた安酒を飲むようだ。

ここで飲んでいればクラウドが出て来た時に取り合いになるからだろう。

そして、その予想は当たり、工房から出て来たクラウドはソルダスの手にある酒を見て奪い合いが始まった。


「お前は一人で何をしてるんだ!」

「酒を飲んでるに決まってるだろ!お前こそ何してんだこれは俺の酒だ!」

「鍛冶を教えてやってるんだ!料金を払え!」


しかし、ソルダスは既に一計を講じているのでかなり余裕が見える。

結果、半分はクラウドに奪われることになったがあまり不満は無さそうだ。


そして、ようやくクラウドも俺達に気付き「来てたのか」と軽く声を掛けて来た。


「今絶対に俺達の事、見えてなかったよな。」

「き、気のせいだろ。それよりも今日はどうしたんだ?」


ここで追及しても何も生まないので俺はクラウドの苦しい言い訳を素直に受けて本題に入った。

トキミさんの話は長くなりそうなのでまずは俺から話を振る。


「実はしばらくここに住む事になりそうだから俺達から結界石を提供しておこうと思ったんだ。幾つ要るか教えてくれないか。」

「ちょっと待て、今からグルエドを呼ぶからな。細かい数はアイツから聞いてくれ。」


クラウドはそう言って傍にいた兵士に声を掛けて宰相であるグルエドを呼びに行かせた。

そして、視線が再びこちらに向いたタイミングで次の話に入る。


「それと結婚式の為に皆のドレスを作りたいんだ。いい職人を紹介してくれないか。」


するとクラウドは表情を緩めると笑みを浮かべた。

髭が白ければ子供に夢を運ぶサンタクロースの様に朗らかな表情だ。


「そうか。やっと結婚するんだな。よし、最高の所を紹介してやる。」


するとその時、扉を蹴破る勢いでグルエドが現れた。

そして俺に詰め寄るとその血走った目で俺の肩を万力の様な力で握り締める。

流石ドワーフと言うか、文官で体はクラウドよりも細いが凄い力だ。


「それで、結界石を売ってくれると言うのは本当か?」

(あれ、売るんじゃなくて提供するつもりだったが話が何処かで変わったのかな。)


しかしクラウドに視線を向けると頷きを返されたのでどうやらこの流れのままで良いみたいだ。

それならと俺は決めていた価格をまずは口にする事にした。

ライラと話し合った結果、結界石は金貨200枚よりも高額にはしない事にしている。

日本円で1000万円ほどの価格ということだ。


「10キロ以上を覆える結界石1つで金貨200だな。それ以外にも5キロ、1キロもあるぞ。聞くが幾つ欲しいんだ?」

「村や町の数はそれほど多くないので50ほどあれば問題ない。5キロを40、10キロを10程で頼む。5キロの値段も教えてくれ。」

「それなら金貨100だな。全部で金貨6000ってところだが知り合い価格で5000に負けておくよ。」

「感謝する。まだ財政が安定してないからな。それにこれで国民にも少しは楽をさせられる。この人脈がある事を利用すれば王政を否定する者も減るだろう。」


俺はその後、金貨と交換で結界石を渡し、クラウドから紹介状を受け取ると軽い挨拶を済ませて城を後にした。

そしてまずは紹介された場所へと向かって行くとそこにはコンビニくらいの大きさの服屋が建っていた。

店の前面にはガラス張りのショーケースが並び数種類のドレスが並んでいる。

俺はそれを見て少し首を傾げながら店内へと足を踏み入れた。


「すみませ~ん。」

「・・・。」


しかし、返事が無いので仕方なくマップを見ながら奥へと入って行く。

反応はあるので奥に1人は必ず居るはずだ。

だが、見える素材や道具を見て俺の中に疑問が膨らんでいく。


(本当にここがクラウドが紹介してくれた店なのか?)


見れば素材や道具にも埃が薄っすらと乗っている。

長期間ではないがしばらくは仕事をしていない様だ。

外の飾ってあるドレスも見た目は綺麗だがよく見ればいたる所が痛んでおり、かなり古い物だと分かる。

それに人気のある店ならもう少し人の出入りがあってもおかしくない。

足元を見ればそこにも埃があり、俺の足跡が残っている。

これは客もあまり来ていないと言う事だ。


俺は少し気が引けるが反応のある部屋へと進んで行く。

するとそこにはベットが置かれており、その上に幼い少女が寝ていた。

いや、少女ではなくドワーフの女性の様だが顔色は悪く、周囲の空気もドンヨリと重たい。

俺はそこに歩み寄ると声を掛けた。


「大丈夫か?」


確認すると顔色が悪いだけでなく呼吸は早く浅い。

脈もかなり弱い様で首筋に触れても僅かに感じるだけだ。

これは俺が来なければ遠くない未来に死んでいただろう。

なんでこんな事になっているのか知らないが死なれると何も分からなくなる。

そのため、まずは秘薬を飲ませ快復させることにした。


(節約はしたいが今回は仕方ないな。)


俺は口を湿らすような速度でゆっくりと一滴ずつ口に入れていく。

すると体調が回復してきたのか、少しずつ顔色が良くなってきた。

そして、次第に呼吸も落ち着き、脈もしっかりしたものになったのでこれなら大丈夫だろう。


「これだけ回復すれば後は自分で飲んでもらった方が良さそうだな。」


俺は女の肩に手を掛けて体を揺するとその目が次第に開き始めた。

そして目を開けて俺を見ると彼女は目に涙を浮かべ始める。


「お願いします。助けてください。」

「いや、今助けた所だが違うのか?」

「私の手足を見てください。」


俺は言われるままに毛布を捲るとそこには彼女の体がある。

しかし、その手足は真っ黒に変色しており、触るとまるで石のように固い。


「これはもしかして・・・。」

「呪いです。一月ほど前から少しずつ感覚がおかしくなってある日完全に動かなくなりました。助けを呼ぼうにも体も急速に弱ってしまい大きな声を出せずにずっとこのままです。」


恐らく水や身の回りの事は魔法で対応したのだろう。

それでも何も食べなければ人は長期間生きられない。

それに今の秘薬には呪いを解く効果は備わっていないので体は回復しても呪いで受けたこの黒い手足だけは治らなかったようだ。


俺は少し考えてライラに電話を掛けた。


「ライラ、万能薬の開発はどんな感じだ?」

『試作品は出来てるけど都合よく呪いを受けた人が居ないからまだ試してないわね。』

「それなら丁度良いのが居るから連れて帰るよ。」

『分かったわ。同意だけは必ず取るようにね。』


そして電話を切ると俺は女に顔を向けた。

同意が必要な様なのでしっかりと確認だけは行っておこう。


「お前には二つの道がある。」

「二つ?」

「1つはこのまま置き去りにされて再び助けが来るのを待つか。」

「待って!助けてくれないの!?」

「最後まで聞け。二つ、家で作っている試験薬を飲んで実験に付き合うか。」

「あの・・・第3の選択肢は?」

「無い!」

「いや~~~!誰か助けて~~~!殺される~~~!」


しかし、既にこの店の音は外へ漏れないようにしてある。

幾ら騒ごうと助けは来ない。


「残念だったな。ここの声は外に漏れることは無い。さあ選べ。薬を飲まずに死ぬか、薬を飲んで死ぬか。」

「どうして二つとも死ぬ選択肢に変わってるの!それに呪いを解く飲み薬なんて聞いた事ないわよ!」


まあ、面白かったが悪ふざけはこの辺にしておこう。

後でドレスを注文しないといけないからな。

まだこの職人に不安はあるがそれは実験・・・、ゴホン。

治療を終えてからでも良いだろう。


「冗談はこの辺にして本当の事を言えば薬を飲んでも絶対に死なないから大丈夫だ。」

「なんでそんな事が分かるのよ。」

「飲んでもらうのはお前がさっき飲んだポーションに霊獣の素材と霊力を加えた薬だからだ。(恐らく、味は最悪だろが・・・。)」

「あ、あんた今、小声で何か付け加えたでしょ!」

「そんな事は無いぞ。それでどうする。飲むのか?飲むのか?」

「どうしてそこで選択肢が飲むしかないのよ!・・・まあ良いわ。飲んでやろうじゃない。さっさと私を連れて行きなさい!」


これで交渉成立だな。


「それで、俺はクラウドからここを紹介されたユウだ。お前の名前は?」

「何よアンタ。クラウドの紹介なの。それを言ってくれればこんなに疑わなかったのに。私はアキよ。クラウドとは同じ村の出身なの。」

「まさかそれでお前を紹介した訳じゃないだろうな。」


あのクラウドがこういう事に関して情で動くとは考えにくい。

しかし、外のドレスはどう見ても良い出来とは言えなかった。

綺麗ではあるがデザインが古い気がする。


「外のドレスは用途が違うのよ。あれば冒険者用のドレスアーマー。それに少し前まで冒険者が凄く横暴だったからワザとあんなドレスを飾ってたのよ。本気の私を見ればすぐに分かるわ。」


そう言って意気込んでいるが今は俺の肩に抱えられまったく様になっていない。

それなら早くコイツを治療してその本気とやらをこの目で見せてもらおう。

そし、俺は町を進み、アキを家へと運んで行った。

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